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風不死岳
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風不死岳の9月は花は終わっているし紅葉には早い、天気も曇りで大展望も期待薄。
ただ登るだけの体力練成に終わるかも知れないと思うとテンションも上がらずグズグズしていて登山口に着いたのはすでに9時過ぎ。一組のご夫婦が丁度出発する所だった。台風12号の大雨で大災害が発生した和歌山や奈良ほどではなかったが、北海道も大雨が降り続いた。
登山道も雨で崩落したり泥濘になっている可能性が高いと足元はスパイク長靴にした。
ゲートから続いている林道を15分も歩けば風不死岳北尾根の取り付きだ、ここからはひたすら尾根をたどる。尾根は急で高度は見る間に上がっていく。風不死岳の深い森の中だから見通しは利かない、目の前に立ちふさがる急坂に挑戦し続ける時間が続く。
先行していたご夫婦に追いつき道を譲っていただく、ご主人のゼイゼイした呼吸音が苦しそうだ。
大雨の後だからか、湿度が高く蒸し暑い。汗が流れ落ちこれなら半ズボンで来ればよかったと悔やむ。
ただ湿度が高い分、呼吸は楽だ。景色も楽しめないのでひたすら足を進める。
天気予報では曇のち晴で昼前からは晴れて暑くなると言っていたのだが、一向に晴れる気配はない。
雲の下端部に入ってしまったようで霧とも煙霧とも言えないような湿度が高く煙ったような状態だ。
視界は全く利かなくなってきた
6合目付近で先行していた男女3人パーティに追いつき先に行かせてもらう。
幅広かった尾根が狭くなってくると北尾根のすぐ東側の谷「大沢」が迫ってくる、8月に大沢を遡って来た時に合流した辺りだ。よく見ると谷の斜面の一部が土砂崩れのためか崩落している、今回の大雨のせいかも知れない。8合目付近からは尾根は狭くさらに急になり、ロープが付けられた所が何箇所も出てくる。
登りには必要ないが、下りには有り難い。
北尾根の急登に耐え、山頂部へ出てきた。
年々気になっている笹が一段と深く被ってきているような感じ、僅かな距離だが慣れない人には踏み跡を探すのも大変かもしれない。次回来る時は鎌を持ってきて笹狩りしたほうが良さそうだ。空は相変わらず曇っていると言うより雲の中、50m先も霞み山頂にいる人達の姿も影絵のようだ。
霞む山頂
挨拶しながら山頂の一員に加えていただく。
風不死岳の山頂から樽前山も支笏湖も見えないなんて初めてではないだろうか?
残念極まりないが、悔しがるのも大人気ない。ここはグッと堪えて達観を装う。ヒュッテから来た人たちはお花畑を通るルートが大雨で崩れ通行止めになっているので樽前山の東山経由で登ってきたそうだ。
最近はやりの山ガールさんたちは、晴れて欲しいと太陽にお願いをしている。達観を装う山おやじは、悠然とコーヒーを楽しむ。
15分ほど経って少し明るくなって雲の下に出たのか、樽前山と支笏湖が微かに見えるようになってきて山ガールさんは大喜びだ、勿論私も良いぞ!良いぞ!とルンルン気分。
微かに姿を見せ始めた支笏湖と恵庭岳
晴天時の大展望とは比べものにならないが、それでも今日一番の景観だし今日一番のうれしさだ。
コーヒーやグレープフルーツの味が一段と良くなったように感じるのも、その表れだろう。
樽前山
途中で抜かせてもらった3人パーティもやって来て歓声を上げ、昼食の準備に余念がない。
30分以上山頂でのんびり過ごしたが天候が回復する気配はなく、もはやこれまでと下山することにした。
降りる北尾根の先には支笏湖温泉や紋別岳などが姿を見せている。
風不死岳北側の展望
狭く急な尾根を慎重に降りていく。残雪期にカミさんが足を滑らせ「ヒヤッ!」とした所だ。
8合目半辺りで私より登山口を10分ほど先に出たご夫婦の奥様が登ってくるのとすれ違う、そして8合目付近で喘ぎながら登ってくるご主人・・・。
可哀想に奥様から見捨てられ足をふらつかせ激しい息遣いで登る姿に、老後の男の哀れさを見せつけられたようで複雑な思いだ。
今回の山行、お天気にも恵まれず中身的に大したレポートも出来なくて申し訳なく思う。
そこで、8月に登りながらレポートをしていなかった風不死岳大沢の滝をご紹介しようと思う。風不死岳大沢は沢好きの人たちは一度は登ってみたいと思っている沢ルートの一つなのだが、沢好きでもない私にとっては正直あまり好きになれない沢。
私が良いなと思う沢は雰囲気がよく爽やかで美しい沢、大沢はその基準からは明らかに外れているように感じるのだ。
8月に登った時も途中でやる気が無くなり、北尾根に合流した所からそのまま下山してしまった。そんな大沢に掛かっている滝の一部である。
まずはF-2(二番目の滝)。狭い谷を塞ぐように嵌った大岩(チョックストーン)が滝を形作っている。
水に濡れながら何とか私でも直登出来る滝だが、左岸に大きな巻道もある。
F-2
次はF-3。
F-2の直ぐ上にある滝。落差8mほどでほぼ垂直に落ちていて直登はできない。
右岸に巻道がある。
直下から見たF-3
少し角度を変えた所からのF-3
F-3の少し上流にF-4がありこれも直登できない滝で左岸に付けられている巻道を使って乗り越えるのだが、この時はいい加減嫌気がさしていて写真も撮らなかったのでご容赦を・・・。
なお大沢を登ろうとする方はヘルメットにハーネス、ロープは必携ですし、出来れば経験者に同行してもらうことをお勧めします。