火口縁から最高点の薬師岳山頂
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岩手山
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朝カミさんに足首の状況を聞くと、あまり芳しくない。
岩手山は火山で石もゴロゴロしているだろうから、これまで作った短歌に手を入れたり整理をしたりしていると言う。この程度なら大丈夫だろうと昨日姫神山の岩場をしっかり確認せず歩かせたことを今更のように反省するが、もう遅い。
登山口で私が下山するまでたっぷり時間があるので、小岩井農場や石川啄木記念館などに行けるようカーナビに必要な場所をインプットする。
天気予報は曇のち雨で下り坂、外に出ると濃い霧が立ち込めている。
馬返しへの道は道路標識も見えない深い霧、カーナビにしっかり助けられた。馬返しの駐車場につくと何台かの車が停まっていてすでに出発した人もいるようだ。
準備をしている間にも、霧は少しづつ上がっている感じ。
「霧の日は晴れる」の格言通り、良い予感がする。カミさんに午後2時頃には降りてくると言い残し、岩手山への第一歩を踏み出した。
駐車場の直ぐ上に登山口広場がありトイレ・水場・登山届記入所などが整備されている。
しばらくは林の中の道を淡々と進むが、1合目・2合目までの間隔が長い。
1合進むのに30分以上掛かっている、とすれば登るのに5時間以上掛かる、これはとんでもないことになりそうだと気合を入れ直す。幸い霧は順調に晴れ始め、2合目を過ぎ旧道に入る頃から晴れてきた。
振り返ると雲海が広がり美しい朝の光景が目に飛び込んでくる。
岩手三山伝説の姫神山も早池峰山もスッキリした姿を見せている。
広がる雲海 雲海の左に姫神山、中央右に早池峰山
旧道は思ったほどのガレ場もなく、歩きにくいとも感じない道。
ただ日差しを遮るものが無いので夏の暑さ厳しい時期には辛いかも知れない。
焦っても仕方が無いので、自分のペースを維持し淡々と高度を上げる。
旧道を行く
次第に火山らしい雰囲気となってきた。
霧から変わった雲が中腹を漂い、下は白い雲海、上は真っ青な空、歩いているのは赤い火山岩と色の変化だけでも面白い。傾斜が増し、ジグを切りながら火山岩の道を耐える。
火山らしい山肌を登る
7合目の標識で新道と合流、急に斜度は緩み一息だ。
岩手山の山頂部がはっきり確認できる。見る限り1時間ほどで行けそうな感じがするがどうなのだろう。
7合目から岩手山
ここからは快適なプロムナードを歩き、僅かな時間で8合目小屋・9合目不動平へと進んで行く。
小屋は改装中であったが、利用は出来るらしい。
豊かな水が流れ、溜り水が凍りついていた。
改装中の8合目小屋
小屋から10分で9合目の不動平、不動平にも新しい避難小屋があり鬼ヶ城の険しい岩峰が印象的だ。
鬼ヶ城の岩峰
不動平から右の火口丘へ取り付く、途中で二股に道は分かれるがこれはお鉢を一周する道なのでどちらを選んでも問題ない、私は左から時計回りに歩く。
火山砂礫に足を取られないように火口丘の縁を歩くと点々と設置された観音像が出迎えてくれる。
一体一体お顔も姿も異なるが、いにしえ人が祈りと共に担ぎ上げ設置した仏像だ、軽く会釈しながら通りすぎる。
祈りの道を山頂へ南西方向には秋田駒ヶ岳、遠くには鳥海山の姿も望める大展望が広がっていて胸のすくような爽快感である。
火口縁から秋田駒ヶ岳(中央)、 中央左はるか遠くに鳥海山
荒々しい火口の中央部にこんもり盛り上がった小山がある、妙高岳と呼ばれているらしい。
二つの頂きがツンとしていて乳房を思わせる。
妙高岳、右奥に早池峰山・左に姫神山
岩手山山頂に着いた。山頂にも小さな祠が祀られている。
無事山頂へ登れたお礼に心を込めて礼拝。
登り始めて2時間40分、2合目付近では5時間位掛かるかも知れないと少々焦ったが、まあまあの時間で登れたようだ。スッキリ晴れ渡った空、遮るもののない大展望が広がっている。
岩木山から八甲田の山々、八幡平、秋田駒ヶ岳、森吉山、姫神山、早池峰山、和賀岳、焼石山、鳥海山、栗駒山など一望である。大展望を存分に楽しみ、お鉢を一周して下山することにした。
火口縁を10分も下れば、岩手山神社奥宮が鎮座していて鉾が幾つも天をさして突き立っていた。
岩手山神社奥宮の天を指す鉾
岩手山神社奥宮を過ぎると間もなく往路に合流、往路を戻り7合目から新道に入り下山した。
途中、秋色に染まりだした山肌から盛岡市街地方面がよく見え、岩手山登山を堪能した思いがした。
岩手山中腹から盛岡市街方向を眺める
登山口へ戻ると時間は11時、実質4時間半で歩いたことになる。ガイド本などでは実質8〜9時間と書かれておりカミさんには午後2時過ぎに降りてくると言ってあったので何処かに行っているのではと思ったが、麓の林にある小屋を借りて歌を作ったり手直ししたりしていたそうで、あまり早く降りてきたので驚いていた。
下山後温泉で汗を流し盛岡へ出て名物の冷麺を頂く。
ぴょんぴょん舎というお店、雰囲気もよくスッキリした味で大変美味しかった。
珍しくカミさんがもう一つ食べたいという。
桑の葉を練り込んだという緑色の冷麺を追加で注文、こんなに食べたら山に来て太っちゃうと大笑いした。
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