武佐岳山頂から斜里岳を望む
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武佐岳
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11/10(木)、この日私たちは弟子屈の「道の駅・摩周」で目を覚ました。正しくは寒くて寝ていられなかったのだ。
一応冬用のシュラフに包まっていたのだが寒気が入り込んだこの日、車内は寝息で曇った窓が白く凍りつき、掛けていたタオルもゴワゴワに凍り、気温は−6℃を示していた。暖房を効かせ人心地がついてから、武佐岳登山口へと車を走らせる。
緩やかにうねりながら何処までも続く牧草地を断ち割るように付けられた一直線の道路、他に走る車も無い。
知らぬ間にスピードが出ているのに気づき自制するが、道東や十勝特有の事故の原因が分かったような気がした。開陽台前の道をそのまま東へ進み、クテクンベツ川を渡って直ぐのクテクン林道を登山口の標識に従って左折して走ればトイレのある展望台駐車場、そこが武佐岳の登山口である(第1登山口)。
ここから歩き始めても良いが、更に伸びる林道を1Km強行くと5・6台止められる駐車帯があり、そこが実質的な登山口になっている(第2登山口)。
林道の延長のような道は登山の助走区間、極めて緩やかに樹林の中を延びている。
20分ほど行くと小屋があり、憩清荘の看板が掲げられている。
中標津山岳会と地元の武佐地区の人達が管理しているこ奇麗な小屋、水場もある。
憩清荘
道はここから山道に変わり尾根へと取り付いていく。
笹は刈られ、倒木は整理され、落葉が降り積もった道は実に気持ちよく歩きやすい。
中標津山岳会の皆さんや地元の方々の熱意によるものだろう、感謝しながら歩かせていただく。
有難うございます。
道は4合目〜5合目と8合目〜9合目の間が急になるが、その他はお喋りしながら楽しく登れる道。
樹林の間から右前方に武佐岳の姿を見ながらの登りである。
武佐岳
道は武佐岳山頂の西側に向かって登っていき、6合目付近で西からの別の尾根と合流、北西から巻くように武佐岳本体に向かっていく。
葉が落ちているこの時期でも樹林の枝が煩く見通しは余り利かないが、7合目を過ぎると南の根釧原野や阿寒方面の展望が良くなり、思わず見入ってしまう。
阿寒方面の展望 遠くに雄阿寒岳と雌阿寒岳・阿寒富士
C800mの8合目、ちょっとした広場になって休憩にはもってこいの場所だ。
みかんを食べ、熱い紅茶で喉を潤す。
これから登る武佐岳へ突き上げる尾根と山頂部が待っている。
山頂(右側)と登路の尾根
南側には広大な根釧原野が広がり、地平線が湾曲して見える。
まさに「地球は丸い」を実感でき、感動してしまう。
根釧原野の広がり。地球は丸い?
8合目からうっすら数センチの雪が出てきた。
9合目までの急坂を滑らないよう慎重に登る。
9合目へ
道東の名峰、斜里岳の頭が見え始め次第にその姿が大きくしっかり見えてきた。
斜度がゆるみ、大きな岩が見えたと思ったら、そこが武佐岳の山頂であった。
カミさんが歓声をあげている。
紺碧の空、360度遮るもののない大展望、道東中標津から初めて見る景観である。
武佐岳山頂
晴れすぎてやや霞んで入るが、北東には羅臼岳などの知床の山々、遠音別岳・海別岳が見えている。
羅臼岳(中央右)などの知床の山々
西側には標津岳などの標津山地の連なりと阿寒の山並みだ。
斜里岳(右)と標津山地、摩周岳・西別岳、阿寒の山々が一望
暖かく風もない山頂、時間は早いが温かい飲み物や果物、菓子パンなどを頬張りながら大景観に酔う。
野付半島が横たわり、トドワラなどを訪れた遠い昔を思い出し、話が尽きない。
野付半島
武佐岳からの一番の展望は何と言っても斜里岳の勇姿だろう。
斜里の街から見る優美で端正な姿と違って南側からはゴツゴツした厳つい姿を見せていて迫力満点である。
斜里岳に立った時、武佐岳は低山の連なりの一つとして意識もしなかったが、次回からはそれも変わってしっかり見つけられるに違いない。
斜里岳
東遙かに我が国固有領土である、国後島が横たわっている。
早期に領土問題が解決し、自由に訪れられる日が来ることを心から期待したい。
そして爺爺岳にも登ってみたいものだ。
国後島
下山後、丹頂鶴を見に鶴居村へ行ってみようという話がまとまり、もう一度武佐岳からの大景観をじっくり眺める。そう簡単には来られない所、忘れないよう目と心に焼き付ける。
もう一度しっかり目に焼き付ける
山頂から下山路を見下ろすと、急坂の下に7〜8合目にかけての平らな尾根がよく見えていた。
下に7〜8合目の平らな尾根
道東の標津山地の山は展望も良く、地元山岳会や地域の方々が手入れをされているお陰で手軽に登る事の出来る山、ありがたい事だ。
同じような標高の私の地元の支笏湖周辺の山々とも雰囲気が異なるが、私は好きだ。
ただ遠いため気軽に訪れることは出来ない、来年知床半島を歩く計画を持っているのでその時に残りの山々を歩くのを楽しみにすることにしようと思う。
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武佐岳下山後、一路釧路の鶴居村へタンチョウ見物へ。
毎年見に行きたいと思いつつ、冬道の運転を考えると億劫になって延ばし延ばしになっていたのだ。
今の時期、タンチョウに出会えるのかどうか定かではないのだが、せっかく道東まで来たのだからダメ元で行ってみることにした。幸い鶴居村郊外のトウモロコシ畑で落穂をついばむ一群とサンクチュアリーで十数羽を見ることが出来た。
青空をバックに舞い飛ぶタンチョウを撮りたかったのだが、鶴たち一見の客にはよそよそしく思うような写真は取れなかったけれどさすが鶴の里、自然の中でたくましく生きるタンチョウを見ることができ嬉しかった。
せっかく来たのだからと晩は厚岸の道の駅「コンキリエ」に泊り、翌11/11の朝再び鶴居村の鶴見台でタンチョウ見物。
40年に亘って餌をやっているという、管理人をしているおばあちゃんから苦労話や愚痴を聞くことが出来、なかなか面白かった。
以下、何枚かを写真でご紹介しよう。
親子?
トウモロコシの落穂をついばむ
もう少し高く飛んでくれれば・・・
さすがに優雅な飛翔である
舞い始めるのか・・・?
親子仲睦まじく
接近し、牽制し合う
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タンチョウ見物を午前中で終え、帰路オンネトーに立ち寄った。
相変わらずの美しい神秘的な色彩で迎えてくれたオンネトー、初めてのカミさんは深い緑色の湖面や雌阿寒岳・阿寒富士を映す湖に魅了された様子。キャンプ場から遊歩道を歩き、オンネトーの魅力に触れた一時であった。
雌阿寒・阿寒富士を映すオンネトー
湖面に映る白樺が美しい
雌阿寒岳山頂部
阿寒富士(左)と雌阿寒岳
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