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樽前山
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昨年末から体の不調が続いている。
これまで傷めた所や弱い所に、次から次にこれでもかと言うほど痛みやしびれなどが出て、お祓いでも受けようかと思うほど痛めつけられた。
68歳の大厄なんて聞いた事も無いのにな〜・・・。
老化は目・歯・○○からと良く言われる、眼科や歯科は当然として整形外科や整体など病院通いに明け暮れ、何とも耐え難く山を楽しむどころではないのである。特に頸椎から来る首から肩・腕の凝りや痛み、しびれ と 数年前に断裂損傷した膝の半月板から来る左膝の痛みは耐え難く整形外科に通い続ける日々であった。
約半年間リハビリと治療を続け、何とか手術を回避してリハビリで様子を見ようと言う所まで回復した。
痛み止めの薬のお陰か、首から肩には圧迫感と違和感が残るものの痛みとしびれはほとんど無くなり、膝はしっかりしたサポーターを付ければ1時間位はウォーキングも出来るようになった。今日はまさに恐る恐るの数ヶ月振りの山行である。
幸い、樽前山中腹のお花畑は起伏も少なく膝への負担は平地とさして変わらない。
痛くなってもそんなに無理せず戻れる筈、山の神様に診察して頂くつもりで行ってみよう。
霧模様のはっきりしないお天気も支笏湖への道を走るうちに青空がのぞき始め、樽前山初め支笏湖の周りの山々も雲の間からその姿を見え隠れさせている。
7合目ヒュッテに着くとすっかり晴れ渡って、気持ちも高ぶる。
入念に膝にサポーターを付け、祈るような気持ちで準備を整える。まずは東峰へ向かう道では無く、北側の中腹を巻きながら風不死岳との分岐へ向かう道を採る。
マイズルソウが林床部を埋め尽くしているナナカマドの樹林帯を少し行けば、すぐに大きく開けた溶岩地帯に出る。
ここからが気持ち良い樽前山のお花畑が続いている。早速イソツツジのお出迎えだ。
開花し始めたばかり、まさに旬の花々が一面を白く染めて咲き誇っている。
純白の清楚なイソツツジ
マルバシモツケは数えるほど数株が咲き出したばかりだ。
咲けば白に近い薄いピンクなのだが、蕾は赤に近いピンクで咲き出した直後はピンクの花だ。
出だしからこのお出迎え、写真を撮るのに忙しく先に進めない。
まさに咲き出したばかりのマルバシモツケ
お花畑の北には支笏湖が珍しく霧と言うか雲海と一体になっている。
チョッピリ珍しい光景で美しい。
イソツツジと雲海に覆われた支笏湖
花はこの他に、ウコンウツギ、ミネヤナギ、イワヒゲなどが咲いている。
盛りが過ぎたイワヒゲに変わってイソツツジの大群落が素晴らしい。
どれも美しい旬の花ばかりだ
お花畑のトラバースが終わって、道は岩尾根となり緩やかに登っていく。
膝の調子が悪ければここで引き返すつもりだったが、写真を撮りながらのんびりゆっくり来たせいか、痛みも無い。
それではと岩尾根を歩き、932m峰へと歩みを進める事にした。
岩尾根ではまだ何とか見頃のイワヒゲが残っていて楽しませてくれる。
イワヒゲ
そして樽前山に多い為タルマイソウとも呼ばれるイワブクロが目立ち始めた。
こちらも咲き出したばかりの花である。
タルマイソウ(イワブクロ)
タルマイソウやイソツツジを愛でつつ風不死岳への道を分け、樽前山への道から外れて932m峰へ登っていく。
溶岩帯のガレた滑り易い道、膝を庇いつつ慎重に足を置く。
いつもの半分位のスピードだが歩ける喜びに浸りつつ、ゆっくり高度を上げていく。932m峰からの樽前山、ゆったり大きい山体に圧倒されるようだ。
932m峰からの樽前山
ザックを降ろししばし休憩、サポーターを締め直す。
痛みも無ければ腫れも無いようで、嬉しくそしてありがたい。コーヒーを飲みゼリーを食べる、ふと見るとここにもミネヤナギに混じってイワヒゲが結構咲いている。
カメラを片手にブラブラ歩いてみる。
イワヒゲ
可愛くタルマイソウも咲いている。
タルマイソウ
霧もすっかり晴れ少しぼんやりしているが支笏湖の向こう側に羊蹄山と尻別岳が親子のように並んでいる。
支笏湖ブルーが殊の外青く深く輝いていて引き込まれそうだ。
932m峰山頂から支笏湖を挟んで羊蹄山と尻別岳
樽前山の外輪山は一周しながら花や景観を楽しめる良い散策路なのだが、5月に西峰から樽前神社奥の院の間が一部崩れ通行止めになっているとの情報を得ている。
そこで今日はのんびりリハビリ登山と言う事もあり、西峰へは寄らず真っ直ぐ東峰を廻って下山する事にした。花と景観を楽しみつつ東峰への稜線を歩いていると、支笏湖に懸かっていた雲海がとれ始め面白い風情である。
覆っていた雲海が晴れ始め、湖面が見えだした。
北側の斜面から吹き上がってくる風が結構強い。
溶岩ドームが良く見える所で風を避け、お昼ご飯。
日溜まりの暖かい日射しの中でおにぎりを頂く。やはり山での食事は美味しく清々しい。溶岩ドームは一見すると何時もと変わらないように見えるが、噴気穴付近の色が変わっていたりして生きているなと言う感じがする。
樽前山山頂部 溶岩ドームの直径は約450m
良く見ると溶岩ドームはなかなかの迫力だ。
溶岩ドームの噴気穴付近
東峰へやってくると、結構大勢の人達が居て休憩したりお昼ご飯を食べたりしていた。
お天気もよくなり日高の山や夕張の山々も見えだした。
苫小牧や白老の町並みも半分霧に覆われているが、半分は見えている。
団体の初心者の皆さんが多いようだが、歓声を上げて喜んでいる。
そんな歓声を聞きながら微笑ましい気持ちで、慎重にヒュッテへの道を下った。
心配した膝は家に帰っても痛みも腫れも熱も無い、異常はないようだ。
念のためしっかりと手入れをし、湿布薬を貼る。
また山を歩けるかも知れないと思うだけで嬉しくなる。
カミさんを誘って、低山に花を見に行ってみようかと考え出している今日この頃である。