秋の黄金山
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黄金山
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今年は春先から初夏にかけて気温が上がらず寒さが続き、冷夏になるのではと心配された。
ところがお盆明けから暑くなって真夏日が連続し、9月中旬になっても暑い日が続いている。
先ごろ気象台から観測史上最も暑い年になったと発表されたぐらいだ。この日も湿った南風が吹き湿度も高く、暑くジトジト。
浜益へと走る車中でも、朝なのにエアコンなしではいられないほどだった。黄金山へは浜益と新十津川を結ぶ道道451号線を浜益から約6.7Kmの実田橋脇にある案内標識に従って林道へ左折、約4kmで登山口へ着く。
登山口には、立派な休憩小屋があり水洗トイレやベンチなどが設けられている。
準備をしながら空を見上げると、秋空というより夏空。
積雲系の雲がゴツゴツした姿を見せ、蒸し暑い。
秋というより、ギラギラした夏の空の雰囲気だ
歩き出して20分ほどで旧道との分岐、水場がある。
ゆるやかな登りだったのに、もう汗が噴き出し冷たい水が体に染み込んでゆくようだ。旧道を左に分け、右手の新道を行く。
間もなく森の一角が急に開けたような所にでると、黄金山の山頂部が望むことが出来る。
「ちょっと急だけど、距離が短いからね。楽勝かな?」
お気楽な会話が・・・。
黄金山山頂の岩塔が見える
ここからが黄金山の登り。
一気に勾配が変わり、緩むことのない急斜面が山頂まで続く。
汗が吹き出す、蒸し暑さが拍車をかける。
体調なのか、暑さなのか、それとも歳なのか、ともかく堪らない!私だけかと思ったら、カミさんも同じらしくタオルを手離せない。
グビグビ水を飲んでいる。
登山道の縁にはイカリソウやアズマギクの葉が沢山、だけど励ましてくれる花の姿はすでにない。
見晴らしも利かず、ひたすら耐えるのみだ。
200mごとに記されている距離表示だけが気持ちの支え。堪らず一休み、タオルを絞れば滴り落ちるほど。
カミさんの顔、日焼け止めクリームが汗で浮いて小さな水玉のようになっていて大笑いだ。
こんな登りが延々と続く
小さな岩場やロープ場が連続する。
「旧道より楽なはずなのに・・・」
「道を間違えていることなんて無いよな?」
「旧道が合流してくるのはまだかい?」
あまりの辛さに、ぶつくさ一人文句を呟きながら高度を上げていく。
やっと旧道が左から合流してきた。
山頂はまもない筈だ。
潅木を掴み、岩混じりの急斜面をよじ登ること、約10分。
山頂部の東西に長いナイフリッジの岩稜の一角へ飛び出した。
登り着いた山頂岩稜
山頂は一旦下がって上がる岩稜、潅木に覆われている。
黄金山 山頂
汗でグッショリ濡れたザックを下ろし、ゆっくり休もうとするけれど日陰がない。
潅木の陰を探すが、岩稜はスパっと切れ落ちているので端には寄れない。
「きつかったわね〜、こんなだったかしら?」
「僕も高を括っていたせいか苦しかったよ。この前の時のことを忘れてしまっていたんだな〜」
半日陰に身を寄せて、しばらくは何をする気も起きなかった私達でした。水とフルーツで喉を癒し、期待してきた景観に目をやる。
なんと、群別岳や奥徳富岳などの山並みには雲がかかっているではないか。
雲が切れるのを念じて反対側の南西方向を見ると、浜益の町と石狩湾そして札幌から積丹に至る山影がうっすらと見えていた。
黄金山山頂から石狩湾方向を見る。はるか遠くに札幌〜積丹の山影が見える
一度同じ秋の時期に登っているのだが、山頂からの増毛山地の景観が素晴らしかったことが印象深く、他はあまり記憶にない。
眺望の素晴らしさを期待してきたのに、その景観が今ひとつなのである。「雲よ、どいてくれ〜!」
群別岳と奥富徳岳への吊尾根
前回は旧道から登ったが、覚えているのは大きな岩壁をトラバースしたことぐらい。
カミさんも小さいけれど良い山だったと言う印象しか無いという。
人間の記憶なんていい加減なものだ。都合の良いことしか覚えていないのだな。
汗でびっしょり、疲労でぐったり
群別岳は雲が沸いているようで頭を見え隠れさせている。
残雪期の登路の一つになっている群別川の大きな谷が正面に見えている。
昨年登った幌天狗と群別へ続く稜線はしっかり見えている。
いずれも凛々しく白く輝く峰々は深く心に焼き付いているが、今見る光景はどんより暗く沈んで陰気。
湧き上がる雲で頭を隠す群別岳、残雪期に左の谷を経て登った
黄金山山頂は岩稜で切り立っている。その崖を覗きこむと背筋がゾッとする高度差。
ビクビク覗きこみながら写真にしたが、高度感を十分表すことは出来なかった(下手くそ!)。
山頂から身を乗り出して真下を見る。
1時間以上山頂での時を過ごし雲が切れるのを待ったが、増毛山地の山々はスッキリとした姿を見せてくれることはなかった。
何とか姿を見せてくれた群別岳のショットをどうぞ。
雲にけむる群別岳
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