チセヌプリ (1135m)

道央 (ニセコ)   2012.9.29(土)   霧・雲中


 

チセヌプリ
低い雲が垂れ込めているチセヌプリへ歩き出す

 

2012.9.29(土)
千歳市役所 0545
神仙沼登山口 0845
神仙沼 0910〜0915
長沼 0935
シャクナゲ岳分岐 1030
チセヌプリ山頂 1125〜1140
昼食休憩 1210〜30
コルの登山口 1310
雪秩父温泉 1330〜1500
千歳市役所 1745

チセヌプリ

チセヌプリはニセコ連峰の中心部にあり家型というか台形をした姿が可愛らしい、また周辺には豊かな湿地や沼が点在しているだけではなく山頂部にも小さい湿原がある花も豊かな山である。
さらに羊蹄山からニセコアンヌプリ〜イワオヌプリ〜チセヌプリ〜白樺岳〜目国内岳〜雷電岳とほぼ一直線に並ぶ山並みも独特であり一見に値する。

チセヌプリは子供たちがまだ小さい頃に家族で訪れたことがあるのだが、その後は何故か縁遠く訪れる機会を失っていた。

 

市民登山会

千歳市の広報誌に千歳山岳会がチセヌプリを歩く市民登山会を催すとのお知らせが載っていた。
私自身は支笏湖パークボランティアとして支笏湖を訪れた方たちをご案内することはあっても、このような催しに参加したことは無かった。
さらに歳をとり勝手気ままに山歩きを楽しめなくなる時が来て、このような企画にお世話になることもあるだろう。
一度体験しておくのも意味があるのではないかと思い参加してみることにした。
市役所からバスで送迎、登山後は雪秩父温泉での入浴までセットで¥3,000と言うお値打価格も魅力である。

 

手厚い体制

朝、市役所に行くと一般参加者20名、千歳山岳会会員12名の計32名が集まった。
参加者2名に山岳会員1名という手厚い体制。
バスの中ではニセコ連峰の特徴や登山での注意事項、体調不良時の対処などが説明され、千歳山岳会の用意周到な準備ぶりが伝わってくる。

登山口で準備を整えストレッチ、生憎お天気は今にも降り出しそうな曇り空。
羊蹄山は3合目位からアンヌプリは7合目位から雲に覆われ、神仙沼の登山口でも雲が迫り霧っぽい。
参加者の中には初めての方もいて、スパッツを付けられなかったりストックの使用法が分からなかったりなどのトラブルが続出するが、山岳会員が丁寧に対応している。

 

神仙沼

まずは紅葉の名所・神仙沼へ。
列の中ほどに入れてもらい、皆さんに続く。
例年になく暑かったせいだろう、神仙沼も紅葉には程遠い状態だ。

神仙沼
紅葉はまだまだの神仙沼

実質的な登山口である神仙沼で小休止、皆さん記念撮影に余念がない。

神仙沼で
参加者の皆さん

周囲に秋を感じさせるものは見当たらない、シダの類が赤茶色に色変わりしていたので少しばかり強調してみた。

草紅葉草紅葉を感じられるかな?

 

雲中登山

神仙沼から長沼を経てシャクナゲ岳とチセヌプリのコルへと登っていく。
雲が頭のすぐ上に漂い流れも早い、濡れなければ良いがと気をもんでしまう。


垂れこめた雲がかかる山中へ

間もなく雲の中に入る。
けれど視界は100m位あり明るく、雨の心配は無さそうな気配だ。

30人もの列、ちょっとした地形の変化などで列がアコーディオン状態になるのは仕方がない。
しばらく立ち止まったり、小走りになったりと忙しい。

登山の列
時々立ち止まり、「休憩ですか?」

学生時代初めてトップをやらされた時、リーダーや部長から後ろの様子を見ながら歩けと叱られたことをふと思い出した。
カミさんに列の動きに惑わされず、先頭を行くリーダーと自分達との距離を保つように一定のペースで歩いてゆこうとアドバイス。

雲は次第に濃くなり、風も強くなってきた。
リーダーから雨着を着用するよう指示が出る。

雲
霧が濃くなり、風も強くなってきた

雲中での登山は展望もないし体が濡れ風に吹かれれば寒い、それらに耐えながら登るのみだ。
そんな時、花に出会うと元気をもらえ気分も変わって嬉しい。
シャクナゲ岳との分岐をやり過ごしさらに湯本温泉との分岐を過ぎると、チセヌプリへの急斜面。
ここにエゾオヤマリンドウやフデリンドウ、ツルニンジンなどが点々を咲いていた。
霧の水滴をタップリつけた花たちは可憐で青紫や赤が霧によく映えている。
立ち止まって花を愛でたり写真に収めたりしたいけれど、隊列を乱しては申し訳ないと諦める。

疲れて遅れだす人に山岳会のメンバーが付き添い、面倒を見ている。

 

山頂。でも・・・

雨着を着て、汗をかくかな? と思ってたがそんな事もなく山頂へ着いた。
霧と風の山頂は残念ながら何も見えない、30人がまとまって風を避けられる場所も無いようだ。

リーダーの指示は写真を撮ったら少し下山し風を避けて昼食にするとのこと。
お腹が空いていたのでチョコやチーズを口に入れ、私達も記念撮影。

山頂にて
霧と風の山頂で

登ってきたのとは反対側の東への道を下る。
道はゴロゴロした大岩の急坂、とても休める広い場所はない。
結局、風のしのげる下山道に腰を下ろして昼食。
まあこんなお天気だから登ってくる人も居ないし迷惑をかけることもないか・・・。
しかし何ともわびしい昼食ではある。

昼食
道に腰を下ろして昼食

昼食にラーメンをと思ってきた人は狭いゴロゴロ石の不安定な斜面でコンロを使えず、チョコやお菓子で我慢の一字、ちょっぴり可哀想。
いつも早め早めに食事を摂る私たちは、少々低血糖気味。
用意してきたおにぎり一個と漬物数切れに温かい飲み物は、あっという間にお腹に収まった。

昼食休憩の間も山岳会の人が参加者の様子を見周り、希望する人には温かい飲み物を提供するなどしっかり見守ってくれる。

昼食後は滑り易い大きなゴロゴロ岩の道を転がるように急降下、このような道に慣れていない人には山岳会の人がマンツーマンで、人によっては1人に2人が付き添い手助けしている。

滑る急坂に耐えて下ると、やがてニトヌプリとのコルに走る道道66号線がぼんやり霧の中から見えてきた。
そこには手回しよく、バスが待っていた。

コル
急な道を降りると、バスが待つ道道に

 

気遣い? それとも天真爛漫?

下山後は近くの雪秩父温泉で入浴、ぬるめの硫黄温泉にゆっくり浸かって疲れと汗を流す贅沢を味わった。
千歳山岳会の皆様、お陰様で良い思いをさせていただきました。
それに行き届いた配慮とサポート、ありがとうございました。心から感謝です。

 

大勢の仲間で登ることなど滅多にない私達、今回のような企画に参加して初めてお目にかかる方たちと行動を共にする経験は皆無に等しい。
今後年令を重ねるにつれてお世話になるだろう形態の登山会、どのようにすれば存分に楽しむ事ができるのだろうか?

登山会の性格、目的などは都度の山行の計画を見ればある程度分かり自分の希望と照らしてどうなのか判断することは可能だと思う。
問題は人、参加する方、特に知らない方同士で互いを尊重しつつ、どの程度自分の楽しみや希望を叶えられるかが鍵だと思う。
いずれにしろ100%満足できる登山会などある訳ない。100%満足するには個人で計画し行動するより他はないのだ。
要は何処でどの位妥協できるかが、楽しめるか否かの分水嶺なのだと思う。

単独行
今までは単独やカミさん・親しい仲間との山行が主体だった

参加してみて思ったのだが、私やカミさんはどちらかと言うと自分の言動が人様にどう感じられるかを考えてから行動する部類の人間である。
自分の言動が原因で人様が不快に感じたり、その行動を制約させてしまうことはしたくない。
こう思っている人は結構多いようで、今回の登山会でも明らかにそのような感じの人が何人もおられた。
こういう配慮は登山会のみならず、地域社会の中や職場の中で上手くやっていく知恵の一つなのだと思う。
だけど、余り自分を抑えるとストレスもたまるし第一楽しくない。
ストレスを解放し楽しむための趣味なのに、逆になっては意味もない。

反面、自分に対しありのままでいることがとても上手な人もいる。
人様のことは考えない、まさに子供のようで微笑ましく多少のことは許してしまうような人。
私などはこのような人を見ると羨ましく感じるのであるが、天真爛漫な人の中には初めて会う人に対し仲の良い友達のように、時には従順な召使に接するように付き合う方が居る。
このような人は常に前向きで明るく何事も楽しんで過ごせるのだろうが、逆に付き合わされる側はどうなのだろう?
私は出来るなら召使にされるのは御免被りたい。

登山会に限らず、人が集まればそこにはかならず気遣いの人と天真爛漫な人が混在する。
そして事前にどのような人が参加するのか分からないし、選別して参加することもむずかしい。
これまでの経験と知恵で上手く付き合うしか無いのだろうが、考えるだけでも疲れそうだ。

私のような性格の人間は団体行動には向いていないのかと、つい後ろ向きに考えてしまうけれど、社会人として一つの組織に40年以上勤務していたのだから自分を貶めることもないだろう。
ただ今まで単独であるいは理解しあえている仲間とで山を楽しんできたのは、その形態の山行が自分に合っていたからだと思う。
今後は単独行が不安になるからこそ、登山会に参加させてもらおうとしてるのだ。
かなりの部分で自分を殺し、妥協しなければならないことは分かっている。
分かっているつもりだけれど、何を何処まで妥協したら良いのかが分からないのだ。

まだ当面は自分で計画し行動できると思うので、登山会にいずれ参加させて頂くことを頭の片隅に置いて考えながら、カミさんや親しい仲間と楽しんでいきたいと思う。
相棒さん、よろしくね。

 

オジロワシ歌壇

 

 

・白絹を展げるように霧は降り
        神仙沼に草紅葉(もみじ)波打つ

・純白のベール冠りてチセヌプリ
        誰が鎮魂か祈りは止まず

 

 

 

 

 

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