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カムイヌプリ(摩周岳)、西別岳
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10/25(木)朝、私たちは道の駅「摩周温泉」で目を覚ました。
気温は-2℃、霜が降り地面も車も白く凍っている。
近くのコンビニで朝食を摂り、お昼ごはんを買って登山口である西別小屋へ向かう。西別小屋へは虹別から養老牛への国道243号線〜道道865号線を走り、西別岳の看板標識(2ヶ所あり)で左折しその後は標識に従って林道を走る。
林道から西別岳が朝日を受け優雅に聳えているのを見ながらの走行だ。
西別岳(左) 右のピークはリスケ山
お天気は快晴、実に気持ちが良い。
視界も抜群で標津山地の山並みがくっきり姿を見せている。
昨年登った武佐岳は霜で白くなり雪が降ったのかと見間違えるほどだ。
そして斜里岳が本物の雪で覆われた美しい姿を悠然と見せている。
ピークにたなびく雲が雪煙のようで、そこだけ見ればヒマラヤだ。
朝の斜里岳と標津山地、右は武佐岳
西別岳登山口にある西別小屋は木組みも素敵で立派な小屋、別棟にトイレがあり駐車場も広い。
覗いてみると、一階は広間でストーブや椅子・テーブル、二階には布団も備えられている。
水場はないが大きなペットボトルに入れられた水が何十本と置かれていて、利用する人が快適に過ごせるよう配慮されていた。
こんなに素敵な小屋だったら、昨夜はここでお世話になれば良かったとちょっぴり後悔。
準備を整え歩き出す、植林された林の中をのんびり歩く。
10分ほどで林を抜け、笹原に出る。
ゆるやかに登ると、間もなく「がまん坂」との標識。
最初のピーク、リスケ山への登りである。
何故リスケなどという名なのか? もしかしたら利助さんが登山道を開いたのかな。
登山道は素晴らしく手入れがされ幅も広く歩き易い。
がまん坂はそれなりの斜度があるが、巾が広いので小さなジグを切りながら登ることが出来、いつの間にか登ってしまう感じだ。少し暑く感じるようになり汗をかかないうちにと上着を調節、見上げる空に筋雲が数本、斜里岳と相まって清々しさが強調されているようだ。
斜里岳と秋の空 実に清々しい程なくリスケ山山頂、西別岳への登山道はリスケ山を巻いているが、僅かな距離だし初めての所なので立ち寄ってみる。
意外と言っては失礼だが、眺望の良い山頂である。
カムイヌプリと摩周湖を望むことが出来、斜里岳も存分に眺めることが出来る。
縦走路でも出来るのか、すぐ北のC770mPへ道が続いている。
リスケ山山頂からの、カムイヌプリ(摩周岳)と摩周湖
リスケ山から西別岳へは、ほぼ平らな稜線づたいに30分ほど、気持ち良いプロムナードだ。
この一帯はお花畑らしく見覚えのある花々の葉が赤茶色に変色して点在している。
ちょっと珍しい花を見つけた。
花の萼(ガク)だけが残って、まるで花が咲いているかのようなのだ。
萼がそのまま残って花が咲いているよう
西別岳山頂に着いた、寒くもなく風もない。
日差しが一杯、ポカポカして気持ちが良い。それまで見えなかった阿寒の山並みが姿を表し、美しい。
ここからの眺望は初めてのカミさんは歓声をあげている。
昨夜泊まった摩周温泉の町並みも見えている。
西別岳から見る阿寒の山並み 中央は雌阿寒岳と阿寒富士、右に雄阿寒岳
前回訪れた時には登山道にロープが張り巡らせていたと記憶しているが今回は外されている。
冬に備えての整備なのかもしれない。
それにしても登山道はじめお花畑や指導標など、至れり尽くせりの手入れ・整備ぶりはありがたく、頭がさがる思いだ。
昨年登った武佐岳でも同じように感じたことを思い出した。
地元の方々、山岳会の方々、本当にありがとうございます。西別岳から摩周岳へと足を進める。
5分ほどの次のピーク、西牛別岳から100m位下るとしばらく平らな遊歩道のような道が続く。
木々の間から摩周岳の姿が近くに見え辿る稜線の険しさに、初めてのカミさんはどうやって登るの? と不安げだ。
カムイヌプリ(摩周岳)
西別岳から小さな岳樺のトンネルを30分ほど歩くと、摩周湖第一展望台からの道へぶつかり、ここからカムイヌプリ(摩周岳)への登りが始まる。
しばらくは穏やかだが、やがて火口壁に沿うように右側が切れ落ちた急な細い斜面を登っていく。
途中2・3箇所、火口壁側が見られる場所があり、一息入れながら覗きこむと怖いぐらいだ。
切れ落ちている火口壁、中央右上が山頂。
最後にグルっと回りこむように登るとカムイヌプリの山頂だ。
深く吸い込まれるようなブルーに輝く摩周湖。
思わず歓声。
摩周湖と斜里岳
摩周湖の北東端がまゆ玉のように回り込み、その先に斜里岳が佇んでいる。
そのまま摩周湖を左に眺めていくと、藻琴山のゆったりした姿が目に入る。
摩周湖のシンボル、カムイシュ島は摩周岳の山頂部に隠れて見ることは出来ない。
上の写真の続き、遠くに藻琴山の姿
更に左に目をやれば、摩周岳噴火口と摩周湖、更に向こう側には阿寒の山々が見えている。
あまりにもの素晴らしさにしばし無言で見入ってしまうほどだ。
西側には第一展望台や阿寒の山々が
山頂は岩場で真下に100m以上も切れ落ちているので十分注意しながら恐恐と火口を覗きこんだり、大展望を楽しみながら山座同定に時間を過ごす。
支笏湖ブルーに親しんでいるカミさんは摩周湖の深いブルーもさることながら、岸から急に深く落ち込みエメラルド色に染まってゆく水の色の変化、グラデーションに心を惹かれているようだ。足場を固め、安全を確認し岩に腰を下ろし、コーヒーやココアを飲みながら昼食。
コンビニの菓子パンもさることながら、リンゴが美味しい。カムイヌプリ山頂でまったりした時間を楽しんでいると、若い人たちが登ってきて急に賑やかになった。
狭い山頂だ、彼らに場所を譲り私たちは下山にかかる。
カムイヌプリ山頂にて
下山は登ってきたルートを忠実に戻る。
摩周岳火口壁沿いの急な下りを慎重に降り、後はお散歩気分の稜線歩き。
西別岳に戻ってくると、地元の方々らしいご婦人たちが楽しそう。
地元の方に愛され親しまれている山なのだ。標津産地の山は東西方向から北はウネウネとした山地が続く一方、南側は大平原。
その平原に防風林が縦横の縞模様を描いて独特の景観を形作っている。
この茫洋とした景観も道東地方の魅力の一つだとつくづく思う。
果てしなく続く平原に防風林の縞模様が美しい
カムイヌプリ(摩周岳)と西別岳、前回の記憶通り気持よく歩け展望も素晴らしい良い山だった。
カミさんも道東の山がお気に入りの様子、計画したかいがあったというものだ。下山後は摩周温泉でゆっくり入浴、疲れをとって翌日の標津岳に備えた。
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