雌阿寒岳 (1499m)

阿寒湖畔コース

道東  2012.10.27(土)  晴れ


 

剣ヶ峰

 

2012.10.27(土)
登山口 0640
3Km 見晴台 0740〜50
雌阿寒岳山頂 0920〜1000
見晴台 1050
登山口 1135

雌阿寒岳

阿寒湖を挟んで対峙する雄阿寒岳の凛々しい山容とは対称的に、なだらかなスカイラインを見せている一見大人しい静かなイメージの山であるが、毎年何回か登山禁止の措置が取られるほど活発な活火山である。

前回はオンネトーの野中温泉から登り阿寒富士を経由してオンネトーキャンプ場へ降りるコースを歩いた。
今回は新たな出合い感動を求めて、阿寒湖畔からのコースを歩いてみた。

 

寒っ!

この日私たちは道の駅「あいおい」で目を覚ました、まだ暗い午前5時。
カミさんが驚いたように「雪が降ったみたいよ」。
エッ!と外に出てみると、建物や木々や道路も真っ白。
ただ、雪ではなく、一面の厚い霜。
-5℃、今期最高の冷え込みだったらしい。
エアコンで車の暖房とガラスの霜取りをしている間に、コーヒーを沸かし暖を採る。

阿寒湖畔のコンビニで朝食と買物を済ませ、温泉街の外れにある林道に入り雌阿寒岳登山口へと向かう。
狭い上、小石が多く、おまけに片側が落ちているので緊張を強いられる林道である。

登山口では気温-6℃、ひんやりを通り越して寒いぐらいだ。

 

エゾマツの森

入山届に記帳して歩き出す。
夏用の手袋では指先が冷たく痺れる。
10分ほどの旧登山口までは車も通れる硬い歩きにくい道。
本当の登山道に入ると足に優しくホッとする。
周りはエゾマツを中心とする深い森、直径1m以上の大きな木も目立つ。

30分も歩くと体も温まり指先の感覚も平常に戻った。
森の中から振り返ると雄阿寒岳がモヤに霞んで立っている。
晴れすぎて大気が白く霞んでいるようだ。

雄阿寒岳
霞む雄阿寒岳

 

お出迎え

やがてハイマツのトンネルとなり、そこを抜けると素晴らしい光景が待っていてくれた。
雌阿寒岳の剣ヶ峰(1328m)と北隣のC1278mPが並んで出迎えているのだ。

剣ヶ峰
剣ヶ峰(左)とC1278mP(右)

鋭く尖った剣ヶ峰、C1278mPとの間の平らなC1260mPの岩峰はグランドキャニオンもどきで何とも不思議な魅力ある光景だ。
それにハイマツの緑とナナカマドの赤、地肌の赤茶色、霜の白とが入り混じり、色彩的にも不思議な色合いである。

道が二つに分かれている、地図で確認するとこの地点は南の峠に通じる道との分岐点になっている。
雌阿寒岳へは右の道だ。

 

荒涼!

道は剣が峰を左から巻くようにして登っていく。
剣ヶ峰から雌阿寒岳へ延びる尾根に乗る。
この付近はすでに木々はなく、火山礫の赤茶けた地面。
硫黄の匂いが何処からとも無く漂ってくる。

荒涼たるゆるやかな斜面を行くと、剣ヶ峰へ行く道との分岐があり、この辺りから雌阿寒岳の山頂部や阿寒富士の山頂などが見えだした。

荒涼
一帯は荒涼たる火山特有の景観になる

火山特有の荒涼たる景観である、そんな荒れた地面にメアカンキンバイやメアカンフスマなどの葉が茶色になって点々とへばり付いている。
花の時期はそれなりに賑やかで美しいのだろう。

火山礫の斜面には明瞭な道はなく、尾根筋にそって登っていく。
所々にガラス質の硬く光った地面が現れる、石英が混じっているのかと触ってみると、どうやら水分が凍っているだけのようだった。

尾根筋
徐々に高度を上げていく。

右手には噴煙を上げる広大な火口原、十勝岳にグランド火口と言うのがあるが、この火口原にこそ似合いの名前ではないかと思った。

 

青池

やがて雌阿寒岳本体へ取り付いてゆく、この付近は樽前山と地形や植生が似ている感じである。
山頂の稜線を歩いている人の姿が目に入る。
高度差100mほどをのんびり登れば、山頂と阿寒富士に通じる登山道に合流した。
そこはもう雌阿寒岳の山頂部、阿寒富士やあちこちから立ち上る噴煙、荒々しい火口が間近に感じられる。

噴煙
縦走路合流地点からの光景

南側の噴気孔のそばには、丸く小さな青い池が。何とも可愛い。

青池
青池と阿寒富士

いよいよ雌阿寒岳の山頂は目前である。

 

圧巻!

歩き出して2時間半、雌阿寒岳山頂である。
まず目に飛び込んできたのは、今まで見えなかった大雪や日高の山並み。
大雪はすでに雪化粧して白く輝いている。
久々の白く輝く姿である。

大雪
雪化粧した大雪の山並み 右には旭岳や白雲岳など、左に石狩岳などを挟んでトムラウシ山

日高の山並みもずっと南の方まで見えているが、やや白く霞んではっきりとしない。
ともあれ大雪や日高は冬将軍の季節となり、私には登る山から見る山へと変わってしまった。

そして北東側には阿寒湖を挟んで雄阿寒岳が凛々しい姿を見せ、その左横には斜里岳が頭を出している。

雄阿寒岳
火口原と雄阿寒岳、遠く頭を出しているのは斜里岳

そして山頂足元の火口からは轟々と言う音とともに水蒸気が噴出し、荒々しい火口壁は現実のものとは思えない創造記の星を見ているかのようだ。

噴気
山頂の火口 噴気と水蒸気が激しく噴出している

驚きおののくようなあまりにもの激しさにたじろぎ、後退り。
火口から離れ、安全な岩に腰を下ろしコーヒーブレイク。
朝の冷え込みが厳しかったのだろう、岩に氷のエビのしっぽが角々にくっつき10cmほどに発達している。

 

語らい

オンネトー側から次々に登山者達が上がってくる。
挨拶し合い、上天気を喜び合う。

快活な若者と話をしながら記念撮影、カミさんが「私達には二度と来れない山だから・・・」と言うと、彼はまさかと大笑いをしていた。
そうだよな、あの若さの時には老いとか体力とかそんな事考えもしないだろうから。

山頂にて
山頂にて

 

下山

当初の計画では、道東の山を楽しみ厚岸や釧路で牡蠣や夕日を楽しんで帰る予定であった。
時間はいくらでもあるのだが明日からは天候も崩れるとのこと。
さらに娘が海外旅行から戻ってくるのとも重なり、カミさんは何かあったら可哀想だから早めに帰っていたいと言う。
そんな訳で、雌阿寒岳山頂の滞在時間は約30分、早々に下山することにした。
その前に雄阿寒岳と斜里岳そして大雪や日高の山々にサヨナラだ。

雄阿寒岳
雄阿寒岳と斜里岳を見納め

阿寒湖畔からのルートは6Kmと歩く距離はやや長いが、斜度が緩くほぼ一定なためか思ったより楽に登り降りできる。
下りも自然に足が出てゆく感じでとてもスムース、1時間半強で降りてきた。

下山後は温泉にも入らず、そのまま高速に乗って帰宅。
午後3時半には自宅で風呂に入っていた。

 

オジロワシ歌壇

・大観の「生々流転」おもわせる
        阿寒の山並み穏やかに烟る

・装いし白樺並木金色の
        光まといて良き風を待つ

 

 

 

 

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