ウヨロ川・フットパス

道央  2012.10.13(土)  晴れ、曇り


 

 

萩の里

 

2012.10.13(土)
萩の里自然公園入り口 1020
センターハウス 1030
ウヨロ川出合い 1100
オーシャン・ファム 1115

ウヨロ小屋

1215〜40
オーシャン・ファム 1325
萩の里自然公園入り口 1430

ウヨロ川・フットパス

ウヨロ川、聞き慣れない名前だ。
ウヨロとは岩から滲み出る水と言う意味のアイヌ語、ホロホロ山の南側山麓を源流域として白老へと流れる全長約18kmの小さな川である。
さして特徴のある川でもないが、秋には鮭が遡上し自然産卵する川として知る人ぞ知る川なのだそうだ。

そのウヨロ川の川辺と白老町萩野にある雑木林の里山「萩の里自然公園」及び、その北側にある唐松林の「トラストの森」を繋いで歩く自然豊かなフットパスコースがある。
ゆっくり歩いても所要時間は4時間程度だ。

この日天気予報は下り坂、山へ行く予定はなかったのだが予想外の良い天気に庭仕事だけではもったいないと急遽、ウヨロ川フットパスを訪れることとした。

 

炭焼きの里

白老町萩野にある萩の里自然公園、大変よく手入れされた里山の公園である。
幾つもの散策路が設けられている、有り難いことに要所要所に現在位置と地図が表示されていて理解し易く分かりやすい。
中心部を北上する道を行くと、立派なセンターハウスがある。
屋外にパラボラアンテナのようなものがある何だ? パエリアの鍋とも違うらしい、正解は砂金採りに使う道具。どうやら姉妹都市との関係で設置されたようだが意味不明。

センターハウス
公園のセンターハウス、綺麗に手入れされている

この自然公園は丘陵地帯、雑木林の里山である。
かつては炭焼きの山だったようで、幾つもの炭焼き場の跡があり、木の種類も炭の原料になるミズナラやカシワ、クリなどが多い。
今の時期は栗のイガやドングリが大量に落ちていて、栗拾いをしている人達も多い。
私達も面白半分で少し拾ってみた。
爪の先ほどの小さな栗で、ドングリのほうが大きいぐらい。味はどうなのかな?

栗拾った栗

土曜日というのに散策している人は少なく、広い里山の中は寂しいぐらい。
「紅葉していればな〜」と思う姿形の良いもみじが何本もあるが、まだ緑のままだ。

もみじ
枝ぶりの良いもみじの木、まだ真っ青だ。

ゆるやかに登り詰めた所からは、樽前山・風不死岳それに恵庭岳が姿を見せている。
私達が見慣れている東側からとは違う南からの姿に、改めて見入ってしまう。

樽前山
萩の里自然公園から見る樽前山(右)と風不死岳それに恵庭岳(左)

里山を降りるとウヨロ川の川筋に出た。

 

命の営み

川沿いに進んで道央自動車道を潜ると、オーシャンファームと言う牧場に出る。
ここは引退した競走馬を飼育する、いわば競走馬の養老院だそうだ。
広い牧場でのんびり草を食む馬たちを見ていると「ご苦労様」とねぎらいたくなる。

牧場
広大な敷地に引退した競走馬達が過ごしている、人より幸せかも・・・。

道は牧場の柵を回りこむようにしてウヨロ川沿いに出る。
水面に水しぶきが上がっている、なんと鮭が跳ねているのだ。
数えきれない黒い影、それがすべて戻ってきた鮭なのだ。

しばらく歩くと、川から生臭い嫌な臭いが漂ってくる。
産卵を終え、使命を果たした鮭たちの死骸から立ち上る臭いだ。
川の中に朽ち果てたものからまだエラやヒレを動かしている鮭が累々と横たわっている。

そしてその脇では、何千という鮭が群れ合って上流を目指し、あるものは浅瀬で産卵している。
まさに命の営みが目の前で展開している。

命の営み
産卵する鮭

鮭の産卵シーンはTVで何度も見たことあるが、実際には初めてだ。
平らな浅い川床に丸い穴を掘り二匹並んで産卵している、激しく身震いする鮭の姿は感動的。
河床にはイクラが見えている。
イクラや死骸を狙って、カモメやトンビが川の中に首を突っ込んでいる。

小さな支流にも鮭が大量に遡上し、小さな落差のある場所は押しくら饅頭状態だ。

鮭遡上
小さな支流にも鮭の大群が遡上

鮭の群れが一途に遡上する姿は、単に子孫を残すだけでなく自分の命をかけた壮絶なスペクタクル。
ただただ言葉も無く、彼らのひたむきな行動に感動し見守るのみの1時間だった。

 

カラマツの森

ウヨロ川から離れ、次のトラストの森へと足を向ける。
途中、美味しさで有名になった白老牛の牧場を通る。
自然の中で逞しく生きる鮭とは違い、こちらは管理され生かされている命だ。
それでも近くを通ると、仔牛を守るがごとく母牛が鋭い警戒の目線を送ってきた。

白老牛
カメラ目線? 警戒の目線だろう。

打って変わって静なカラマツの森、動きは小鳥たちの一見平和な姿だけだ。
ゴジュウカラ、ハシブトガラなどの小鳥が集団になって飛び回り、ヒヨドリが鋭い叫び声をあげている。
樹林の下にはキノコが沢山、キノコに詳しい人なら大喜びするかも・・・。

やがてウヨロ小屋という立派な小屋が建つ一角へ、大きなツリーハウスやトイレなども備えられている。

ウヨロ小屋
ウヨロ小屋


時間も丁度良いと、ここでお昼に。
温かい飲み物とおにぎり、果物を食べ、ツリーハウスに登って遊び、周りを歩いて椎茸を見つけて、しばしの時を楽しんだ。

 

珍品?

フットパスの正規の道は、小屋から森の東側を回ってオーシャンファームへ戻っていくコース。
桜並木などもあり春には綺麗なのだろうが、私たちはもう一度鮭のひたむきな姿を見たいと少し北側から西へと戻りウヨロ川沿いを歩くことにした。

鮭たちのひたむきな行動に感銘を受け、ただ臭いには閉口しつつオーシャンファームへ歩く。
そして再び萩の里自然公園を行きとは違う西側のコースを選んでセンターハウスへと戻った。
このコースは小さな起伏が幾つもあり、ちょっとした山歩き気分を味わうことが出来る。

途中で、私達にとっては珍しい花と果実を見つけた。
その一つはセンブリ、関東などでは何度も見ているが北海道には無いのかと思っていた花、とても可憐で可愛い。
子供の頃、乾燥させた茎を水に浸した苦い水を飲まされた記憶が蘇る。

センブリ
見かけたセンブリの花

もう一つは、赤い小さな実。
何なのか皆目見当もつかない。


ヒロハヘビノボラズ

家に帰り花辞典をひっくり返して多分これだろうと思っているのが、ヒロハヘビノボラズ(広葉蛇登らず)と言う面白い名前の小木の実。
もし違っていてお分かりの方は教えていただきたいと思います。

 

思わぬ喜び

ウヨロ川フットパス、正直さして期待もしていなかったのだがとても素晴らしく気持良く歩けるコース。
特に鮭の遡上と命の営みは感動以外の何物でもなく、思わぬ喜びを与えてくれたフットパスであった。

ここはお勧めのフットパス、春にはまた違った風情を感じに訪れようと思った。

帰宅途中、苫小牧のウトナイ湖に立ち寄った。
夕暮れ間近のウトナイ湖、少し寒かったけれど空の大きさと湖の美しさをしみじみと感じることが出来た。

ウトナイ湖
夕暮れ間近のウトナイ湖

 

オジロワシ歌壇

 

・ひらすらに上流めざす鮭の群れ
         切なきまでの生き様に会う

・一日を天気次第でみぎひだり
         歳をとるのも悪くはないね

 


 

 

 

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