当別丸山から函館方面の景観
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当別丸山
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11月も中旬を迎え、例年なら雪が降りだしている季節。
いつでも峠越えが出来るよう車のタイヤも変え冬支度も整えた。
昨年の11月には道南を訪れ岳友のSGさんに横津岳と袴腰岳を案内して頂き、とても良い思い出を残すことが出来た。
今年はどうしようかと思っていたら、高速道路が大沼まで開通するという。
2・3日、お天気が続くようなら函館近辺の山々を訪ねてみようかとカミさんと相談、どうせ行くなら函館山やトラピスト修道院をも訪ねてみようと観光気分半分のお気楽登山だ。ぐずついた天気が続いたが、11/10・11は晴れるよう。
雪が降る前の一山と急遽道南行きを決め、高速を走る。
丁度高速道路の開通日だから大沼まで行くつもりなのに、開通は午後3時からだった。
それでも朝6時に家を出て、トラピスト修道院には午前9時過ぎに着いた。
便利になったものである。
当別丸山の登山口はトラピスト修道院の駐車場。
北海道には珍しい杉の並木が立ち並ぶ道路の正面に気品ある教会が建っている。
トラピスト修道院の正面入口
男子のみの修道院、何人の人が生活しているのか知らないが周辺は綺麗に手入れされ塵一つ落ちていない。
自給自足の生活を送っているそうだが、人の気配が感じられないほど静まり返っている。どんな人達がどんな理由で修道院に入っているのか見学したい気持も正直あったが、そんな覗き見的な気持を吹き払う厳粛な空気が辺りを支配している。
神妙に言葉少なく準備をし、修道院の敷地をひたすら静に通らせて頂く。
修道院脇の道から当別丸山を見る。 杉林が目に新鮮だ。
修道院の建物や農地を過ぎると北国には珍しい杉林へ入っていく。
直径4・50cmはあろうかと言うほどの杉の美林である。間もなく階段となりルルドの洞窟と言う所に出る。
聖母像が置かれ、祈りの場であるようだ。
気品に満ちた白磁の焼き物「聖母像」が紅葉した蔦に守られている。
ルルドの洞窟に置かれた聖母像
ルルドの洞窟からも函館方面を眺めることが出来るが、ここから山道を辿り杉やミズナラの林を少し歩くと展望台に出る。
展望台といっても僅かに樹林が開けているだけの場所だが、ここからの展望が当別丸山から一番の素晴らしさ。
函館山や函館市街、函館の後ろに広がる山地や恵山への山並みを一望することが出来る。
展望台から函館山をはじめ、函館市街地、横津岳〜恵山の山並みを見る
これまで函館には何度も来ているのだが、霞んでいる時が多かったせいか地形に自信が持てなかった。
この日は視界良好、遠くまではっきり見渡せ、お陰で地図と頭の中のイメージが概ね一致した思いだ。
やや霞んでいるが青森の山々もうっすら見え、知内方面の山や岬も見えている。
函館市街地と函館山 五稜郭タワーも見えている
眼下にはトラピスト修道院の全景が俯瞰できる。
整然と立ち並んだ施設や畑、綿々と続けられてきた祈りと労働の賜物なのだろう。
トラピスト修道院の全景
展望台を後にカエデとミズナラの多い林を登ると尾根に出て、枝越しに山頂を望めるようになる「ほんの一息、楽勝だね」
ミズナラの葉はすでに落ち、まだ葉を残しているカエデが林全体を黄金色に染めている。
まさに晩秋の光景だ。やがて斜度が増してきた。
周りはブナの美林に変わる。
道南地方ではさして珍しくもないのだろうが、私達には目新しく新鮮に映る。
滑らかな樹皮、すんなり伸びた太幹、焦げ茶色の落葉が道に分厚く積もり歩くとガサゴソ大きな音を立てるのも気持ちが良い。それまで汗一つかかず「裏山散歩だね」などと軽口を叩いていたのだが、傾斜は緩まず増々急になり汗が吹き出し息が弾む。
堪らず一休み、大きなブナの大木が私達を見下ろしていた。
立派なブナの大木
思わぬ急登に喘ぎ、汗まみれになること小1時間、ようやく当別丸山の頂上に到着だ。
「お疲れ様、してやられたな〜!」当別丸山登山の正直な気持ちである。ザックを下ろし、楽しみの展望は?
木々が邪魔して残念ながら楽しめない。
僅かに駒ケ岳が枝の間から見えているが、頭に雲をかぶっている。
天は二物を与えずか・・・コーヒーを飲み、おやつを口にしていると、カミさんが「あの変なもの、何かしら?」
コンクリート製の高さ1m少々の四角柱、近寄ってみると天測点第一号と書かれている。
確かペラリ山や写万部山にもあった天体観測の基点だったような・・・
山頂で
カミさんは思い浮かんだ歌を手帳に書きとめ、私は写真を撮りにうろつき回る。
良いアングルで撮れそうな所は枝が張り出し邪魔をする。
私を撮ればとポーズを決める駒ケ岳には雲がベットリ。
仕方ない諦めよう。
山頂で30分ほどゆっくりし、函館山へ向かおうと下山にかかる。
苦労した急斜面、下りも大変だ。
分厚く積もった落葉で滑る上、足場が見定められない。
慎重に慎重に、へっぴり腰で一歩づつだ。ブナの急坂をやっと下り、カエデで黄金色に染まった森に戻ってきた時は心底ほっとした。
楓の紅葉と落葉の赤茶色で明るく染まる林を行く
再び展望台で景観を楽しみ、ルルドの洞窟を経由して修道院へ戻ってきた。
修道院の塀の隙間からのぞく、古ぼけて風格を感じさせる牛舎とサイロが目についた。
修道院の牛舎とサイロ
修道院の施設見学は予約制のため、見学はできなかった。女性はお断りだそうだ。
施設の正面ゲート付近を散策し、厳粛な雰囲気を味わった。
駐車場脇には売店もあり、記念品やソフトクリームなどを買い求めた。
修道院正面
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