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ホロホロ山
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ホロホロ山の北西尾根の登山口は大滝工芸館。
ここから北西尾根を忠実に辿っていく、巾の広い所もあるが尾根の真ん中を登っていけばC1100m付近でホロホロ峠からの北東尾根と合流し、C1280mの肩を経由して山頂に至る。この日は移動性高気圧にゆるやかに覆われ風も弱く晴れる予報である。
だが通ってきた支笏湖の山々は山頂を雲に隠していた。
大滝も薄い雲に覆われていて時折薄い日差しがもれる程度、時間とともに回復することを願って歩き始める。辺りはシ〜ンと静まり返っている、風も木木を揺らす音も小鳥たちのさえずりも聞こえない。
スノーシューの雪を踏みしめるギュ・ギュ!という音と自分の呼吸音だけが辺りに響いている。
静すぎて落ち着かない位、鼻歌でも歌わなければ寂しいほどだ。木木に付いた雪模様が面白い、幹の片側だけに付いているもの、風が回りこむのか幹に円周状に付いているもの、階段上になっているもの、球形のもの、見ているだけでも時間が過ぎていく。
木に付いた雪模様が面白い
斜度が急になるC800m付近までに1時間半以上掛かっている。
同じように歩いているつもりなのに数年前よりだいぶ時間が掛かるようになったと思う。
これが歳のせいなのか?
C900m付近から雪が急に綺麗になりふかふかフワフワに変わってきた。
雪の結晶が一粒一粒見分けられ、それが無数に積み重なっている。
足を踏み出す度に軽い雪煙になって舞い上がり、実に気持ちが良い。
雲が切れると日差しを受けて雪の結晶がキラキラと輝いている。木木を覆っていた雪が高度とともに分厚くなり、樹氷の様相を見せ始めた。
日差しがない時はモノトーンで味気ないが、日差しが少しでもあるとはっきりしたコントラストを見せ美しい。
樹氷もどきの木木が多くなる
樹氷もどきになった木木を眺め、軽く美しい雪を舞い上げながら淡々と高度を上げていく。
C1050m付近で北西尾根を登りきり、樹林帯からだだっ広い雪原に出て空も大きくなった。
吹き抜ける風が心地良い、硬く締まった雪原にスノーシューの歯を食い込ませる。
空は青空が半分弱、6割を雲が覆っていて、目ざす山頂方向は雲の中だ。振り返ると支笏湖や白老三山が明るい日差しを受けて輝き、登る雪原は日差しが陰り沈んでいる。
C1100m付近の雪原から支笏湖(中央)方向を見る
雪原の右手には羊蹄山の姿が見えるが中腹から上は雲の中、南の太平洋方向は晴れている。
頭上を覆う雲は薄く時折太陽が透けて見える、「太陽、頑張れ! 雲を払い除けろ!」
太陽と雲がせめぎ合い
C1280mのピークの直ぐ手前で雲の中に入り、山頂に繋がる岩尾根に到着。
視界は100mほどで山頂も隣の徳舜瞥山も見ることは出来ない。
日差しのない雲の中時間は12時、タイムリミットと決めてきた13時までに山頂を往復する時間はある。
だが雲の晴れる可能性は限りなく低いように感じる。
どうするか、しばし躊躇。
もし地吹雪状態だったなら即諦めて下山なのだが、風も弱く寒さも厳しくないから諦めきれず躊躇するのだ。
山頂へはこんな岩尾根を約30分
初登頂というわけでもないし、執着することはない。
可能性がないのに切り立った岩尾根を往復するのは馬鹿らしい。
そう考えて、山頂を諦めた。暖かい樹氷の樹林帯まで降りて、のんびりしよう。
大雪原を淡々と降りる。
C1150m位で雲の下に出る、急に視界が広がった。
正面には風不死岳と樽前山が何とか山頂を見せている。
風不死岳と樽前山(右)
左には羊蹄山が姿を見せているが、頭を隠している。
ニセコアンヌプリは見えているから雲底は1200mぐらいなのかな?
羊蹄山
登ってきた北西尾根に入り1000m位まで降りてきた、樹林帯の中だから風もなく暖かく感じるほどだ。
ザックを下ろしお昼ごはん、カミさん手作りのお赤飯のおにぎりにはホッカイロが貼ってあり暖かく美味しい。周囲の木木は樹氷もどき、本物の樹氷のようにエビのしっぽが積み重なった氷ではなく雪だから柔らかい。
それでも分厚く張り付いた雪は鎧のようだ。
雲が切れるとモノトーンだった景観が色彩もコントラストもクッキリ
日差しが出ると美しい
エゾマツやトドマツには大量の雪が分厚く、岳樺のは霧氷のようだ。
姿形も様々、雪も柔らかそうで美しい
雪の額縁の中に
ふかふか雪と樹氷もどきの木木を存分に楽しみ、下山にかかる。
下りは登ってきたトレースもあり、考えることもなくただ降りるだけ。
ジグを切った急斜面の登りも一直線に駆け下る。下る尾根の正面に羊蹄山が姿を見せていた。
羊蹄山 雲は晴れなかったな〜
工芸館手前の緩斜面に戻ってきたら徳舜瞥山が霞みながらも全体像を見せ始めていた。
14時過ぎに登山口へ着き、後始末をして帰路へつく。国道に出ると、何という事だろう!
ホロホロ山も徳舜瞥山もしっかりと姿を見せ、夕日に輝いているではないか。
「ありゃまぁ〜! 半日遅いんだよ・・・」
それとも普段の行いが悪いのかな〜?
ホロホロ山(左)と徳舜瞥山(右)