イチャンコッペ山 (829m)  幌平山 (718m)

道央   2013.2.23(土)   晴れ時々小雪・強風


 

恵庭岳
雪煙舞う恵庭岳

 

2013.2.23(土)
登山口 1010
C560mコル 1055
8合目ピーク 1215〜20
C560mコル 1255
幌平山山頂 1330〜45
登山口 1415

今期最強の寒波

あと1周間で3月と言うのに、今年最強の寒波がやって来ている。
家のボイラーはフル稼働だしストーブは真赤に燃えているが、確かに寒い。
写真の整理でもと思っていたら、8時頃から晴れ始め外に出てみると樽前山も見え出した。

急に、寒さに負けず雪原でも歩いてみようと思い立つ。
オコタンペ湖にしようと冬季閉鎖中のオコタン分岐まで行くが漁岳やオコタンペ山などは強風が吹き荒れ分厚い雲の中。

でも直ぐ南東側の紋別岳とイチャンコッペ山は晴れている。
時間も遅目だから途中まで遊んで帰ろうとイチャンコッペ山へ向かうことにした。

 

太陽と北風

支笏湖の湖畔を走ると波しぶきが道路を濡らしている。
轟々という湖面を渡る風音も凄い。
北西には黒い雪雲がべっとりと貼り付き丹鳴岳や漁岳は雲の中だ。
恵庭岳は陽光を浴びているが、山頂の岩峰は雪煙に包まれている。

雪煙
ポロピナイから見た恵庭岳

一方、湖面や紋別岳、イチャンコッペ山などの南東側は燦々と日差しが照りつけ眩いばかり。
思わずイソップの寓話「太陽と北風」を思い出した。
そしてこの日はその思いが現実となり、実感することになるのである。

 

太陽

登山口を出発したのが10時過ぎ、私としてはこんなに遅い時間の出発なんて珍しい。
遅くても午後3時までには下山しようと決めて歩き出す。
すでに何人かの人が入っていて新しいトレースが残り、楽をさせてもらう。
何時もはラッセルに苦労させられる取り付きの急な尾根も楽々だ。

一登りしC560mコルへのトラバースに移ると支笏湖と紋別岳の姿が目に飛び込んでくる。
何時見ても何度見ても清々しく美しい光景である。

支笏湖
支笏湖と紋別岳

幌平山の東斜面をトラバース、冷たい北西風を阻み春の日差しを一杯に受ける斜面は寒さどころか暖かいほどだ。
点在する岳樺の枝先は赤く芽吹きの色に染まっている。
彼らの正確な季節感には驚くばかり、一体何をもって計っているのだろう。

岳樺
明るい南斜面の岳樺達

C560mコルからはC615mP、C625mPを軽く巻きながらイチャンコッペ山8合目に続く急な登りに取り付いてゆく。
樹林帯の中は風は無いけれどシンシンと冷えていて、首に巻いていた目出帽を鼻先まで引っ張り上げる。

 

北風

8合目に続く尾根は真北に向かっていて、C700mを超えると左手から冷たい風が巻き込むように吹き付けてくる。
振り返ると強風で雪煙を吹き上げる恵庭岳の凄惨な姿が目に飛び込んできた。


寒そう!

想像するだけでも震え上がる光景だ。
「俺だったらすぐに逃げ帰るな」などと思いながら急斜面を登っていくと、それまでしっかり付いていたトレースが消えかかっている。
吹き付ける風がトレースを消しているのだ。

樹林が薄くなるにつれ、風は本性をあからさまに現しはじめた。
雪煙にまかれ視界が狭ばり、体がふらつくような強い風が吹く。
尾根の雪庇から雪煙が巻き上がり真横に流れていく。
目出帽をしっかり被り、パーカーのフードも被る。
「北風よ、負けるものか!」

雪煙
巻き上がる雪煙

 

上の写真から数秒後には

雪煙
飛雪となって巻き上がる

 

勘弁して!

強い風が吹き寄せる度に立ち止まりやり過ごしながら、8合目ピークへ着いた。
そこからはイチャンコッペ山山頂が目と鼻の先に見えている。

春の日差しを受けた山容は相変わらず優しげだが、強風による雪煙にしばしば姿を隠す。
まさに「太陽と北風」が競い合っているかのようだ。


イチャンコッペ山山頂(右)

 

東には紋別岳がどっしりした山容をみせて佇んでいる。

紋別岳
紋別岳

 

そして登ってきた尾根の向こうには支笏湖と風不死岳・樽前山が。
先程まで雲に覆われていた風不死岳も何とか姿を見せている、その西側には雪雲が依然として漂っている。


支笏湖と樽前山・風不死岳

時間はお昼を少し過ぎた頃、十分山頂まで行ってこられる時間であるがイチャンコッペ山山頂は何度も立っている所。
風も強いし寒い思いをするは必要はないと、ここで引き返すことにする。

尾根を下っている最中に、風のイタズラを見つけた。
ウ〜ム! なかなか面白い。
雪が柔らかそうなクリームチーズのような風合いでバームクーヘンのようになっているのだ。
こんなの食べてみたいなと思いつつ、シャッターを。


雪のバームクーヘン?

 

幌平山へ

C560mコルから久しぶりで幌平山へ登ってみようと、そのまま尾根を登っていく。
もう4〜5年振りになるかも知れない、前回訪れた時はウサギなどの足跡がたくさんあった記憶があるが今回は見当たらなかった。

幌平山
幌平山と恵庭岳

記憶では尾根を登り切って少し奥と思っていたが、新しい小さな山頂標識がすぐ傍の木に付けられていた。
恵庭岳の最良の展望台の筈なのだが、ちょうど小雪が舞い始め恵庭岳は霞んでいた。

幌平山山頂
幌平山山頂

お腹も減ったので少々腹ごしらえ。
暖かいコーヒーもタップリ頂いて、のんびり下山した。

思いつきのようなこの日の山行だったが、思いの外楽しかったし想定外の景観を眺めることも出来た。
やはり訪れる度に違う光景を目にすることが出来るのだ、歳をとり難易度の高い山には行けなくなる。
優しい低山でも訪れる毎に違う感動が得られるのなら嬉しいことだ。
そんな感動を求めて少しでも長く自然と付き合っていきたいものだ。

 

 

 

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