樽前山 (1041m)

道央   2013.3.4(月)   晴れのち風雪


 

標識

 

2013.3.4(月)
樽前錦岡ゲート 0735
5合目ゲート 0840
7合目ヒュッテ 0945
樽前山山頂 1055〜1100
7合目ヒュッテ 1145〜1210
樽前錦岡ゲート 1345

春嵐

3月といえば春なのに、3/1・2の両日北海道では冬の嵐が吹き荒れた。
日本海で発生した低気圧が台風並みに発達、北海道に等圧線が8本も縦に並ぶ猛烈な冬型気圧配置になったのだ。

千歳でも一晩中風が唸り怖いぐらいだったが、オホーツク方面では雪と風により車が動けなくなったりホワイトアウトで方向を失った人が遭難し、9名もの命が奪われるという悲惨な状況になった。
ご冥福をお祈りしたいと思います。

事前に気象庁などから暴風雪警報などが出されていたせいか、山での事故が無かったことは救いであったように思う。

 

観天望気?

3/4、目覚めると5cm程度の積雪があり朝食後雪かきに外に出ると支笏湖の山が朝日を受けて輝いている。
予報は曇りのち雪であったが、山々の素晴らしい景観が頭に浮かび居ても立っても居られなくなった。
急遽ザックや靴を車に放り込んで家を出る。

恵庭岳や漁岳方面は薄い雲が掛かっているようだが、南の風不死岳や樽前山はスッキリ晴れて輝いている。
「よし昨年12月に強風で敗退した樽前山をリベンジだ」と気持もたかぶる。

 

木漏れ日

冬季閉鎖中の樽前・錦岡線のゲートには7合目ヒュッテ管理人さんの車が雪に埋もれて停めてあった。
その横に車を停め出発準備、今日の一番乗りだ。
7合目ヒュッテまでは雪の状態にもよるが、2時間半ぐらいは掛かる。焦らずのんびり動物たちの足跡でも見ながら行こうと歩き出す。
幸い、道には昨日のものと思われるしっかりしたトレースが残っていた。

樹林に赤っぽい朝日が斜めから差し込んで作る木々の影と雪のコントラストが美しい。
その表情を切り取れないものかとカメラの設定を色々変えて撮ってみた。

 

木漏れ日
雪面に描かれる木漏れ日の表情

光の差し込む角度なのか雪面の斜度なのか木々の混み具合なのか、分からないが色や表情が場所によって微妙に異なる。
面白いものだと何枚かシャッターを切った。

 

木漏れ日
光と影の表情が微妙に異なり面白い

何時も思うのだが、冬の樽前山7合目ヒュッテまでは遠い。
車で20分も走れば行ける夏場には決して思わないこと、冬ならではの風情を楽しまなければと思うのだがその単調さにいい加減嫌になってくる。
特に今日のように晴れてお天気の良い内に登りたいと思う時ほど長く長く感じてしまうのだ。
そんな自分の表情をカーブミラーに映してみた。

 

カーブミラー

樽前山5合目ゲートを過ぎた頃から時折日差しが陰るようになってきた。
樹林でよく見えないが、樽前の上空に雲がかかり始めているらしい。

 

雲との競争

7合目ヒュッテには2時間と少しで着いた。
最近の私にしては早いほうだ、気持の高ぶりが足を早めたのだろうか?
見上げると樽前山の山頂には雲がかかり、眩いばかりに輝いていた山体は薄いグレーに変わりだしている。
早く登らなくては・・・、休憩も取らず登り出す。
ルートは遠回りになる夏道沿いではなく、真っ直ぐ山頂を目指す最短距離ルート。

樹林帯を抜け、大雪原に出る。
振り返ると何時もは思わず声が出るほど美しい支笏湖と紋別岳に薄い膜がかかったよう。
天気は明らかに下っている、急がなくては・・・。

 

支笏湖
紋別岳にも薄い雲がかかり出し、霞んできた。

風不死岳はまだしっかり見えているが、時間の問題のように見える。


まだ日が当たっているが、雲が間近に

次第に急になる斜面、何時もは固く凍り付きアイゼンでないと不安になるのだがこの数日の嵐のせいか雪が張り付きスノーシューの歯でも十分食い付いてくれる。
一歩一歩慎重に、だけど休まず少しでも早く。

強い風が吹き荒れたのだろう、面白い形の風紋が至るところに出来ている。
何時もなら写真に収めるのだが、気が急きそれも無視して登り続ける。

 

遅かった!

9合目付近と思われる辺りから雪が降り始め風も強くなってきた。
とうとう雲の中に入ってしまった、遅かったか!
フェースマスクに毛糸の帽子その上にパーカーのフードを被ったが冷たく痛い。
前回に続いて今日も敗退なんてと、真っ直ぐ山頂目指して頑張る。
視界は50mぐらいか。

急に斜度が緩んだ、一瞬何処なのか分からなかったが降る雪越しに周囲を見渡すと5mぐらい右手に山頂標識がボンヤリ立っていた。
しかし山頂標識のすぐ奥にあるはずの溶岩ドームが無い。
無いのではなくて見えないのだ。
「ありゃ〜、山頂から溶岩ドームが見えないなんて初めてだよ〜!」

少し待てば少しは見えてくるだろうと思い、その間にとカメラを出すが10m先も見えず写すものは山頂標識ぐらい。


標識
山頂標識に付いた エビのしっぽ

風が吹き付け、寒くて痛い。
周囲は何も見えず視界は変わらず10mぐらい。
ザックを下ろして温かい飲み物を出す気にもならない。

少し待とうと思ったのにその僅か1分後には諦めていた。

 

尻滑り

下山も何も見えないし、登ってきた自分のトレースもよく分からない。
方向を間違ったら一大事だ。コンパスで方向を確認し、下りだす。

スノーシューでまっすぐ降りるには苦しい急斜面、風不死岳で若い人たちがやっていたのを思い出して尻滑りを試みることに。
万一を考えストックをピッケルに変えいつでも止まれるようにした。
これが大正解、硬い風紋でお尻が痛いけれど三本ほど長めに滑ると斜度が少しゆるくなる辺りまで滑り降りてきた。
雲からも脱出、ヒュッテの方向を確認して、無念の思いを抱きつつヒュッテに戻った。

鐘
ヒュッテの傍にある鐘

ヒュッテで管理人さんとお喋りをしつつお昼ごはん。
3/1から3/3までヒュッテは大荒れで大変だったそうだ。
スノーモービルが完全に埋まってしまい、掘り出すのに2時間以上掛かったとぼやいていた。

管理人
7合目ヒュッテと管理人さん (昨年12月に撮影)

私も期待を裏切られた今日の樽前山にテンションも上がらず、お腹を満たしてヒュッテを後にした。
ヒュッテ下に広がる岳樺林は春に備えて美しい木肌に赤く色付いた芽吹きが私を慰めてくれているようだった。

芽吹き
春色の岳樺林

 

やはり素人の観天望気より専門家の予報のほうが正確だと思い知らされた一日であった。

 

 

 

 

 

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