雨竜沼湿原

 増毛   2013.7.23(火)   晴れ

 


 

暑寒別岳

 

 

・雨竜沼湿原

6月〜7月にかけての大雑把な今年の予定では、
・ニペソツの残雪と花を
・黒岳から白雲付近のお花めぐりを
・黄金ヶ原〜トムラウシの花と大景観を
テント泊でのんびりゆったり楽しみながら歩くのをメインの計画としていた。

天候の関係で時期を逃しニペソツは諦めた。
黒岳〜白雲岳は、期待通り大雪の花を堪能した。
残るは黄金ヶ原〜トムラであるが、7月下旬のお天気はままならず予報では全く期待できない状況だ。

どうしようか迷っていると、7/23(火)の石狩方面だけが晴れの予報に。
何の計画も持っていないが、この機を逃す手はない。

カミさんと相談、エゾカンゾウで黄色に染まる湿原を期待して雨竜沼湿原へ、そして翌日も天気が持てば暑寒荘から暑寒別岳を歩くことに急遽決定したのだ。

雨竜沼湿原は私達のお気に入りの場所。
これまで何回も訪れているが、期待を裏切らない素晴らしい場所。
まさに「北海道の宝石」、「北海道の尾瀬」なのである。

家を朝6時に出発、南暑寒荘へは午前9時過ぎ。
雨竜沼湿原を散策するだけの予定だから、この時間からでも全く問題はない。
のんびりゆったり花三昧・花散歩なのである。

 

・ルンルン気分!

天気はほぼ快晴、私達と同年輩の数パーティと相前後して9時半ごろ南暑寒荘を出発。
日差しが強くとても暑いが、急ぐ必要はないとのんびり足を進める。

途中の白竜の滝は、変わらず豪快な瀧音を響かせながら白い滝水を勇壮に落としている。

白竜の滝
豪快に落ちる 白竜の滝

 

二番目の吊り橋を渡り、ペンケペタン川の左岸をジグを切りながら登り切ると目ざす雨竜沼湿原は近い。

時間は10時半近く、暑いしお腹も空いたと湿原手前の水場でおにぎりを一つ。
水場の冷たい水が有り難い。
顔を洗い、頭から被り、タオルを濡らし、元気百倍だ。

広々とした湿原に足を踏み入れると、暑寒別岳・南暑寒別岳が大きくゆったり聳え、なんとも気持ちが良い。

湿原
雨竜沼湿原入り口で 南暑寒別岳(中央)と暑寒別岳(右)

 

早速、ワタスゲやヒオウギアヤメ、オオバタチツボスミレなどの花達が、ようこそと迎えてくれ期待は否が応でも高まっていく。

ワタスゲ
風に揺れ動く、ワタスゲ

 

あやめ
ヒオウギアヤメ

 

・花散歩

湿原に入ってすぐの展望台兼休憩台には数組の花好きさん達が休んでいる。
急ぐとか急かすとか云う気配の全くない、リラックスした穏やかな雰囲気が伝わってくるようだ。

展望台の前には湿原らしい景観が広がっている。

湿原
湿原らしい広がり

 

歩き始めると、点々と黄色が広がっている。
エゾカンゾウである。
でも心なしか数が少ないような気がするな・・・。

エゾカンゾウ
エゾカンゾウ

 

以前は黄色い群落が湿原を埋め尽くしていたイメージがあるのだが、今年は外れ年なのか群落というには気が引ける感じだ。

湿原の雰囲気を高める池塘が次々に現れる、空を映す池塘は美しいけれど、期待のコウホネやヒツジグサの姿はない。
どうしたのだろう?

池塘
広々とした湿原には池塘が点在している

 

花はともかく、葉も見えないのだ。
昨年見た池塘で丹念に探してみるが、見つけられない。
ワタスゲが風に揺られているだけだった。

ワタスゲ
ワタスゲが風に揺られて踊っている

 

・爽快!

陽射しはきついけれど、風もあり、広々とした湿原をのんびり歩くのは「爽快!」の一言。
緑の湿原、点々と咲く花々、遠くシルエットになった岳樺、そして雄大な暑寒別の山々。
何時見ても、何度見ても、気持が大きくなり優しくなっていく。

湿原
雄大な景観に癒されながら・・・

 

ミズバショウは流石に盛りを過ぎて巨大化した葉が可憐なイメージを壊してしまう。
ヒオウギアヤメは優しい色と表情で、他とはちょっぴり違った高貴なイメージを漂わせている。

あやめ
優雅に咲く、ヒオウギアヤメ

 

ワタスゲやエゾカンゾウが目立つ湿原だが、良く見るとイワイチョウやハクサンチドリ、ツマトリソウ、ミツバオウレンなども草に隠れるように咲いているし、ショウジョウバカマの花殻も面白い色と形をしている。

湿原
色々な種類の花が咲く、湿原の風景

 

湿原を流れる川の畔に白い筋が見える。
コバイケイソウの花だ、今がまさに旬で大きいだけによく目立つ。

コバイケイソウ
川の畔にはコバイケイソウの群落が

 

・流れと花

雨竜沼は湿原だから、当然水の流れが縦横に走っている。
ただ今の時期だけなのか今年だけのことなのか分からないが、水位が20〜30cmほど下がっているのが気にかかった。

水の流れと水面に映る青空、咲く色とりどりの花々は夫々が調和して実に美しい。
自然でなくては創り出せない風情なのだと思う。

流れと空
流れに映る空と雲、そして緑と花達が創りだす風情

 

ミツガシワが咲いているが、遠くてその表情を切り取ることが出来ない。
やはり望遠レンズを持って来るべきだったかと反省しながら、精一杯のショット。

ミツガシワ
上の写真の中央右部分を

 

ミツガシワとはよく言ったもので、特徴である三昧の葉を真上から見ると、まさに「葵の御紋」
自然を題材にして、美しく図案化した人たちの美意識には頭がさがる。

水に映る青空と白い雲、そしてコバイケイソウを切り取ってみる。

水に映る
水に映る、青い空・白い雲・そしてコバイケイソウ

 

暑寒別岳と湿原も絵になる光景だ。
険しくない優しく広がる暑寒別岳のゆったりした山容が、湿原によく似合っている。

暑寒別岳
湿原によく似合う暑寒別岳 (左は南暑寒別岳、右に暑寒別岳)

 

・侵略者

南北約2Km、東西約4Kmの雨竜沼湿原は標高800mにあり、高層湿原でありその規模と端の素晴らしさでは尾瀬に匹敵すると言われている。

その雨竜沼湿原の西端近くまでやって来た。
絶滅が危惧されつつある、クロバナハンショウヅルが目立つようになった。
まだ雨竜沼には多いようだ。

クロバナハンショウヅル
クロバナハンショウヅル

 

つる性植物なのに株立し自立しているのも珍しい。
なにより、毛むくじゃらの花弁が可愛いというか滑稽というか、なんとも面白い。

チングルマの花が終わり、穂を風になびかせ輝いている。
山では普通に見られる光景だが、見るたびに惹かれるのは何故だろうか?

チングルマ
風になびいて輝く、チングルマの穂

 

こんな貴重な湿原にジワジワと既成事実を積み上げて侵略しているのが、笹。
気付かぬ内に浸透し、勢力を拡大しつつある。

外来種であれば環境省始め多くの関係する人々が注目し対処するのであろうが、笹は外来種ではない。
手付かずの自然が大事というのであれば、笹の侵略は認められてしまう。
しかも一旦勢力範囲に取り込められれば、その除去は難しい。

すでに対策は検討され取られているのだろうが、貴重な雨竜沼湿原を何としても守って貰いたいものである。

湿原
守っていきたい、貴重で美しい湿原風景

 

 

 

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