樽前山 (1041m)

道央   2013.8.21(水)   曇り

 


 

噴気

 

・秋の気配

帰省や旅行で何かと気ぜわしかったお盆が過ぎると、季節も進んだようで早くも秋の気配を感じるようになってきた。
虫の声がにぎやかになり、桔梗やコスモスがいつの間にか満開だ、何より涼しくて心地良く眠れるのが有り難い。

お盆中は山や海には行かず静かに過ごしたので、そろそろ山が恋しい。
ぐずつき気味の予報に反し朝から晴天の一日、散歩がてらに近場の樽前山を訪れた。

 

・思いは同じ?

急に思い立っての山行だからバタバタ、朝7時過ぎに家を出る。
残念なことに、カミさんは夏風邪気味でお留守番。

樽前7合目ヒュッテに着くと既に10台以上の車、皆さん登山準備に余念がない。
思いは同じなのか? こんなに多くの人が居るとは思いもしなかった。
早速三々五々出発する人たちに混じって、東山へと登り出す。

お天気は青空が多いものの、予報通り不安定な天気を思わせる積雲系の雲があちこちに湧いている。

樽前
青空に山頂稜線もクッキリ見えている

 

樽前山は外輪山を回り932m峰に立ち寄っても、3〜4時間もあれば十分だ。
散歩気分でゆっくり歩を進める。

タルマイソウやミネヤナギ、イソツツジなどの花はさすがに終わっていて茶色くなった花殻が名残を見せている。
代わりに薄い紫色が目の端々をかすめる、イワギキョウだ。
樽前山のイワギキョウは全体に小ぶりで可愛い。

花を愛でたり話に夢中のグループをパスさせてもらい、一路東山へ。

 

・爽やか、涼風!

のんびり歩いて30分弱、外輪山の稜線に出る。
爽やかな風が吹き、気持ち良い。

思ったより雲が多く雲底が低いため、見晴らしが利かず残念だ。
樽前山をじっくり観察するには良いチャンスかもしれない。

溶岩ドームと西山が対峙するように並んでいる。

溶岩ドームと西山
溶岩ドームと西山

 

何時もは目立たないウラジロタデが主役の座を占めて誇らしげだ。
シラタマノキとコケモモの実が白と赤のコントラストを振り撒いている。

外輪山をのんびり歩いて樽前山神社の奥の院へ。
途中の岩尾根には紅白のコマクサが群生していたのだが、樽前山本来の植生ではないと全て駆除され今は見る影もない。

久しぶりに奥の院へお参り。
健康管理に勤めながら精一杯活動的に生きていきます、どうぞお見守り下さいと祈願した。

奥の院
樽前山神社 奥の院

 

稜線をゆったり進んでいると、蝉の声がうるさい程。
近くの声を頼りに探してみると、居た居た!
トムラウシでも見かけた、背中の模様が独特なコエゾゼミである。

コエゾゼミ
コエゾゼミ

 

セミの他にコガネムシが大量に飛び交い、ウラジロタデに群がっていた。
緑や黒光りする羽は綺麗だが、触る気にはなれない。

 

・溶岩ドーム

樽前神社奥の院を過ぎ、荒れた沢型を一本やり過ごせば西山である。
西山も砂礫地なのは変わらないが、苔むしているところが結構ある。
黄緑や濃い緑の苔はなかなか美しい。
苔の中からコケモモが赤い実を付けていて、まさに苔モモ?である。

コケモモ
苔の中から苔モモが・・・

 

西山からは風不死岳と支笏湖が見えている。
点在する雲の影で、支笏湖対岸の山々がまだら模様になっている。

風不死岳
西山から風不死岳(右)と支笏湖の西半分

 

樽前山にはシラタマノキも多い、今の時期一面白く見えるほど実が付いている。
私は疲れた時など、この実を潰したり噛んだりしてハッカのような香りをかぐのが好きだ。

シラタマノキ
シラタマノキの実

 

西山からは溶岩ドームの噴気孔が間近に見え、一段と迫力を感じさせる。
何回見ても自然の不思議さを目の当たりにするようで、惹きつけられてしまうのだ。

溶岩ドーム
西山から見る溶岩ドーム

 

今は特に活動が活発なわけでは無いようだけれど、それでも大変な迫力である。

噴気孔
噴気を上げる溶岩ドーム

 

少し角度を変えて見ると

噴気
さかんに噴気を上げている

 

・グルリ一周! 932m峰へ

西山からは外輪山の体をなさなくなった山腹を北へと向かい、932m峰へ。

この辺りはガンコウランやナガバツガザクラが多い所。
咲き残りのタルマイソウが何輪か咲き残っていた。

タルマイソウ
タルマイソウ (イワブクロ)

 

ウラジロタデがこんなに多かったかと思うほど目立っている。

ウラジロタデ
ウラジロタデ

 

今は通行禁止になっている支寒内沢ルートを横切れば、間もなく溶岩ドームともサヨナラだ。
小さな尖塔が立ち並ぶ溶岩ドームは、異様で異次元の世界。

溶岩ドーム
北西から見る溶岩ドーム

 

・932m峰

樽前山と風不死岳の間に立つ932m峰はペウレ峰(子供)とも呼ばれている。
風不死岳を父に、樽前山を母に持つ子供のイメージなのだ。

932m峰からは支笏湖(西半分)が美しく、晴れていれば羊蹄山やニセコ連山、徳舜瞥山・ホロホロ山などがよく見える。

支笏湖
932m峰からの支笏湖 遠くの正面左は尻別岳 羊蹄山は雲に隠れている
対岸右側の富士山型の山は丹鳴岳


またニセピークを従えた風不死岳も山頂を見ることが出来る。

風不死岳
ニセピーク(右と中央)の間から風不死岳の山頂が

 

歩いてきた樽前山を見ると、発達した積雲に覆われ始めていた。

樽前山
雲に覆われ始めた樽前山

 

雲の切れ間から垣間見ると積雲は日差しを受けてどんどん発達しているよう、一雨来るかもしれないな・・・。

積雲
どんどん発達し大きくなる積雲、雲の下は真っ黒だ。

 

・逃げ帰る!

雨具は持ってきているが、できれば雨に濡れたくない。
早々に下山。

目に付いた花などを撮りながら、逃げ帰る。
イワギキョウが陽に透けて可愛らしい。

イワギキョウ
イワギキョウ

 

ヤマハハコも932m峰には多い。

ヤマハハコ
ヤマハハコ

 

そしてネジバナも盛りは過ぎているが、まだ何輪か咲いていた。

ネジバナ
ネジバナ

 

やはりウラジロタデがこの時期には圧倒的だ。

ウラジロタデ
ウラジロタデ

 

あと10分ほどでヒュッテに戻れる。
通称お花畑の開けた山腹の左手には支笏湖と紋別岳が美しく見えている、けれど頭の上には真っ黒い雲がのしかかって来た。

支笏湖
支笏湖と紋別岳

 

お花畑を過ぎ、樹林帯へ。
ヒュッテまであと5分、パラパラ降ってきた。
急げ〜!

ついに本降り! 大粒の雨だ。
走る!
なんとか濡れる前に車に到着、荷物を放り込み逃げこむ。
ギリギリ、セーフ! 良かった〜!

まだ大勢の人たちが山中に残っている。
可哀想にきっと濡れネズミ。

皆さんには申し訳ないが車の中で昼食を食べ、激しい雨の7合目を後にした。

 

 

 

Homeへ

 

 

 

 

inserted by FC2 system