初冠雪の恵庭岳
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・台風で初雪?
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軒並み初冠雪で白く輝く峰を見て、居ても立ってもいられなくなった。
どこでも良いやと防寒具をザックに放り込み、とりあえず近場の恵庭岳を目指す。恵庭岳はアルペンムード漂う山として人気なのであるが、長い間登山口や第二展望台に山頂部立入禁止の看板が立てられ立ち入り規制が行われていたが、最近になってこの規制は徐々に緩やかになり、この度完全に解除された。
でも山頂部岩稜の崩壊の危険性が無くなったわけではなく、自己責任で立ち入るようにとのことである。山歩きには危険は付き物でありリスクを完全に排除することは出来ない。
危険やリスクを見極め、自己の技量や能力と勘案して楽しんでこその山歩きなのである。
私達登山者は自分で安全をしっかり確保して楽しむのが当たり前で、安全管理を行政などに頼るのは本末転倒だと認識することが重要なのだと思う。いずれにしても、恵庭岳の山頂部立ち入り規制が公に解除され、多くの人達が楽しむことが出来るようになったことはとても喜ばしい。
登山口へ着き、登山届を記入。
すでに今日一番乗りの人が40分ほど前に入っていて、私は二番目である。ひんやりした快晴のお天気、至極気持が良い。
汗をかかない位のペースでゆっくり足をすすめる。
3合目過ぎ位から尾根に取り付き、傾斜も増してくる。
登山道に落ち葉が積もり、カサカサ音を立てながら歩くのも秋ならではの楽しみだ。5合目付近から雪が出始めた。
黄色に色づいた木々と雪のコントラストが美しい。
黄葉の雪道を
登るにつれ雪は量を増すが、気温が高めなせいか湿っていてグズグズだ。
6合目過ぎのロープ場で先行の男性に追いついた。振り返ると、樹林の間からイチャンコッペ山が見えている。
イチャンコッペ山や支笏湖が見え出した
第一展望台に到着、登山口から約2時間だ。
支笏湖の東半分が綺麗に見えている、何回見ても飽きない景観だ。
第一展望台からの支笏湖と紋別岳
爆裂火口と山頂岩稜が秋空に映えている。
ここからの景観でこんなに雪のある光景を見るのは初めてかもしれない。
冬の恵庭岳へは北尾根から登るので、第一展望台は通らないのだ。
雪の山頂と爆裂火口
私が写真をとっている間に先に進んだ先行者が「急に雪が深くなってスパッツ無しでは歩けない」と戻ってきた。
そこで、「私が踏み跡を付けましょう」と先を歩く。なるほど北側で溶けていないのか、雪は膝近くまである。
道は明瞭だが、登るに従い吹き溜まりが多くなり膝上まで。
雪が柔らかく潜って始末に悪いが交代してくれる人はいない、一人で頑張らねば・・・。
とんだ今シーズン初ラッセルだ。なんだかんだと第二展望台まで小1時間も掛かり、汗もかいてしまった。
それでも、「有難うございました」の一言が気持ちを明るく楽にさせてくれる。
ザックを下ろし、冷えないようフリースを羽織る。
暖かいコーヒー味わいつつ、景観を楽しむ。
少し霞んでいて、スッキリした透明感のある大景観とはいかないのが残念だ。
第二展望台から山頂
大景観が堪能できそうなら山頂まで行くつもりだったが、そうでないなら第二展望台で十分だ。
それならゆっくりしよう、林檎などを口にしていると単独の若い男性二名が次々に登ってきた。
もう少し第一展望台でのんびりしていたら、彼らと協力してラッセルしたのに残念・・・。
第二展望台からの風不死岳と樽前山
彼らは山頂まで行きたいようだが、第二展望台に設置されている「山頂へ登るには自己責任で」と言う注意看板とトレースが無い道を見て躊躇している。
第二展望台からは爆裂火口が真下に見え、支笏湖と紋別岳・イチャンコッペ山が見えているが、千歳市街などは煙って見えず、もちろん日高や夕張山地は姿を隠している。
第二展望台から紋別岳(右)とイチャンコッペ山(左)
恵庭岳は初めてと言う若者の一人が山頂までどう行くのかと聞いてきた。
概ねのルートと道は雪に覆われていても明瞭だと説明したが、躊躇し一緒に行ってほしいような態度である。
見通しがもっと良ければ同行しても良いが、期待できないので私は第二展望台で引き返すと伝える。
山頂岩峰
木々の葉が落ちて、第二展望台からもオコタンペ湖を望むことが出来、小漁山の向こうには羊蹄山が霞ながら姿を見せている。
オコタンペ湖と小漁山(正面左)、漁岳(右)
羊蹄山や尻別岳が霞ながらも姿を見せていた
火口の縁に寄って爆裂火口を見下ろすと、中々の迫力。
活火山であることを強く認識させられる。
噴気を上げている爆裂火口を見下ろす
30分ほどのんびりして下山することに。
第一展望台までの間、平日なのに5組ほどのパーティとすれ違い驚く。
彼らのお陰で踏み跡はすっかり道らしく踏み固められた。
やはり恵庭岳は人気の山なのである。第一展望台で雪の恵庭岳と記念写真。
雪の恵庭岳と
下りのロープ場を慎重に降り、後は時間もたっぷりあるとのんびり確実に降りてきた。
登山口周辺に戻ると、あまり美しくないが彩りを添えている木々が垣間見える。
チョット気を引かれた部分を切り取ってみた。
今年の紅葉はこの程度でやや寂しい
登山口に戻り荷物を整理していると、中年の欧米人が話しかけてきた。
どの位時間がかかるのか? 上の方は雪なのか? どの位の量なのか? などなど。
ゼスチャー混じりで説明すると納得したようで、「明日登りたいのだ」と言う。
「お天気も大丈夫のようだし、楽しんで来てね!」と言うと嬉しそうに頷いていた。
恵庭岳は中腹までは樹林帯だが、第一展望台から上は爽快な岩場が続き、支笏湖や七変化する湖水のオコタンペ湖、羊蹄山や日高山脈などの大展望などが楽しめ、高山植物も多く、札幌周辺では珍しいアルペンムード一杯の山である。
山頂部への立ち入り規正も解除されたので、多くの人達に楽しんで頂きたいものだと思う。
帰路、支笏湖の湖岸を走っていると恵庭岳や樽前山・風不死岳が湖面にゆったりと浮かんでいる。
見慣れている光景だが、誘われるように一枚撮ってみた。
支笏湖に浮かぶ 恵庭岳
樽前山(左)と風不死岳