古希 記念登山

 

富良野西岳 (1331m)

夕張   2013.10.10(木)   晴れ

 


 

十勝連峰
富良野市街地と十勝連峰

 

2013.10.10(木)
プリンスホテル 0730
登山口 0745
尾根取り付き 0935
C1050m 1020
富良野西岳山頂 1045〜1120
ロープウエイ駅 1220

・古希の記念に

2013.10.9(水)、私は70歳を迎えた。
孫達からお祝いの手紙、子供たちやカミさんからは心遣いの品やご馳走などのお祝いをしてもらい、ありがたくそして嬉しい思いをした。

古希になったからといって何が変わるわけでもないが、気持の上では孔子の言うように「人の意見に耳を傾け」、「矩を踰えず」に生きていきたい。
趣味の山歩きでは「もう二度と来られないかも」と思って丁寧にじっくり味わって歩きたい。

誕生日の翌日10/10は晴れの特異日だ、愚図ついた日が続く中で今年も一日だけ晴れが予想されていた。
そこで急遽、古希の記念に山へ出かけることに。
日帰りで行ける山の中から、もう何年も訪れていない富良野西岳を選ぶ。

記念の山歩きなのに、いつも一緒のカミさんが腰に違和感を感じて大事をとるため、一人なのがちょっぴり寂しい。

 

 

・富良野西岳

富良野西岳は夕張山地の北の端。
富良野スキー場に隣接し、美瑛から富良野方向へ向かうと正面に見える姿形のスッキリ尖った岩山である。

富良野西岳はその名前から富良野岳のある十勝連峰に位置していると誤解されやすいが、れっきとした夕張山地の山。
花も多いし、富良野盆地を挟んで眺める十勝連峰や大雪の山並み、南に広がる日高山脈、もちろん芦別岳などの夕張山地の山々と景観も素晴らしい山なのである。

最近は目が疲れやすくなり、夜特に雨の夜は運転するのが億劫になってきた。
そこで明るくなる朝5時に家を出て富良野へ。
道路はガラ空き、桂沢湖を経由して富良野の新プリンスホテルまで2時間半だ。

プリンスホテルのロープウエイ駐車場に車を停め、ホテルの裏側を通り林道を南に行くと東西に走る林道に出会う。
この林道を山の方へ進んでいくと大きな砂防ダムの脇に富良野西岳の登山口がある。

 

・沢沿いの道

登山口から道はしばらく沢の左岸沿いを遡っていく。
もう8時と言うのに落葉樹林の谷間は薄暗くジメジメして陰湿な気配、沢音だけが大きく響き熊でも出そうな雰囲気に笛を吹きながら進んでいく。

湿度が高いせいか岩には苔がびっしり、木漏れ日を受けると緑が輝き美しい。
水際の苔をスローシャッターに苦労しながら切り取ってみた。

岩と苔
木漏れ日を受け、苔の表情が美しい

 

秋にしては水量が多く、山靴では何度もある渡渉で苦労しそう。
ただでさえ、この沢の黒や茶色の岩はよく滑る。
私はスパイク地下足袋なので、平気で流れの中に入りバランスを取りながら渡った。

紅葉の時期で黄色や赤く色付いた木もあるのだが、赤茶けたものが多くあまり綺麗ではない。
2箇所ほどある明瞭な二股を左、次いで右へ辿ると樹林の間から北の峰側の岩稜が見え出した。

岩稜
樹林の間から岩稜が見えだした。

 

やがて右岸に水場が、次いで金鉱跡が出てくる。
水場は湧き水がホースで引かれ冷たくて美味しい。
金鉱跡は奥は暗くてよく見えないけれど、十分立って歩ける広さがあり平らで雨宿りや岩屋として利用することも出来そうだ。

この辺りに来ても、沢の水量は豊か。
標高800mを過ぎた地点で、沢から離れ富良野西岳から北に延びる尾根へと取り付いていく。

沢
秋なのに水量は豊かだった

 

・急登!

沢から離れ、明瞭な尾根道に出るまで急な山肌をジグを切りながらひたすら登っていく。
樹林で見通しも利かない単調な辛い登りだ。
花でもあれば元気づけてもらえるのだが、秋のこの時期はせいぜいツバメオモトの青い実とフッキソウの白い実、それにユキザサの赤い実ぐらいだ。

稜線空間が見え出し、もう少しだ。がんばろう! すると展望台の標識。
「前回の時はこの標識に気が付かなかったな、でも何処が展望台なの?」 
と振り返ると・・・。

展望台
展望台から振り返ると 十勝連峰と富良野の街が

 

十勝連峰がクッキリ全容を見せている。
雨上がりのせいか、とてもクリアーだ。
雲海が陽光を受け晴れ始め、富良野市街地が見え出した。

疲れも吹き飛ぶ素晴らしい景観だ。

 

・爽快な稜線歩き!

急だった斜度も緩み、富良野西岳へ続く稜線に飛び出した。
右手は樹林で見通せないが、左手には富良野盆地や十勝連峰、日高山脈が姿を見せている。

凄い大展望。
山頂で楽しむ前に、ザックを下ろし景観休憩。
大気が澄み切っていて、カメラのPLフィルターも要らない。


稜線からの十勝連峰 左中央部に富良野ロープウエイの駅舎も見える

 

南東側には日高山脈が長々と横たわっている。
大気が綺麗なせいか、どこまでも見通せる感じ。
霧が晴れたばかりの富良野盆地のモヤ〜とした風情も良いものだ。


富良野の盆地と横たわる山々

 

左側が切れ落ちている稜線を注意しながら南下、目指す富良野西岳へと向かっていく。
十勝連峰からトムラウシ、そして旭岳へと延びる大雪の山々も、ぜ〜んぶ姿を見せている。
気分爽快! ルンルン気分だ。


富良野
大雪の山並みも全てクリアに見える大展望

 

間も無くいかにも山頂らしいピークが望めるが、これは前山。
前山を超えると本物の山頂が見えてくる。

ピーク
富良野西岳の山頂が目の前に (正面の岩の上)

 

・山頂でマッタリ!

山頂に到着、登山口から丁度3時間だ。

今まで見えなかった夕張山地の山々も惜しげも無くその姿を全て見せている。
今夏カミさんと登った芦別岳、夫婦岩から北尾根・キレットから山頂までクッキリ。
苦労しただけに、カミさんに見せてあげたい。

芦別岳
富良野西岳から見る 芦別岳

 

南西方向すぐに布部岳、その遙か西側には樽前山〜手稲山の札幌周辺の山々、そして羊蹄山の姿も見えている。

布部岳
布部岳 遙か向こうには札幌周辺の山々や羊蹄山の姿も

 

暖かいコーヒーを飲み、リンゴやゼリーを口にしながら大景観に酔う。
風もなく穏やかで暖かい。
たまたまなのは承知だが、お天気までが古希を祝ってくれているようで嬉しい。

雲海も晴れ、富良野盆地から十勝の山へふわりふわりとハンググライダーか何かで空中散歩を楽しみたい気分。
飛べたら、さぞ気持がいいことだろう。

富良野

 

 

更に北側を見てみると、大雪初め天塩岳の姿も・・・。

大雪
表大雪の山々からトムラウシもクッキリ

 

そして南東側には、山部から狩勝峠、トマム。そして日高山脈へと続く山並みが。


日高
狩勝峠、トマムや遠く日高山脈の山々

 

いや〜、何という爽快感。極めて気持が良い。
これから過ごす残りの人生、こんな清々しい気持ちで送れたら最高だろうな〜。

満足顔
気持ちの良い山行に大満足

 

・北の峰へ

素晴らしい景観を楽しみ、のんびりしていると数人の人がやって来た。
皆さん、ロープウエイを利用しての来訪だ。

私も帰路は北の峰経由で下山する。
山頂の南側から北西へ200mほど下れば、後は平坦な稜線歩き。

途中にある、前回も気になった大きな瘤のある木。
同じ姿で立っていた。

瘤木
大きな瘤の木

 

展望を楽しみながら稜線を北上していく。
昼近くになって、景色のクリアー度が少しづつ落ちてきたみたい。
大気が淀んできたのかな? いつもの感じに近づいている。

展望
大展望を楽しみつつ

 

山頂から1時間も歩けば、富良野スキー場の一角。
リフトに沿ってゲレンデを下れば、ロープウエイの駅舎は間もなくだ。


ロープウエイの駅舎へゲレンデを下る

 

計画性もなく思い立ったように訪れた富良野西岳だったが、澄み切った晴天に恵まれて大展望を満喫することが出来、大満足の山行となった。

今日のように思わぬラッキーに恵まれるときもあれば、その逆の時もある。
一喜一憂しても始まらない、その時その時を大切に一山一山を歩いて行こう。
そう思った。

 

 

 

 

 

 

Homeへ
Page Topへ
次に進む

 

 

 

 

inserted by FC2 system