オロフレ山 (1231m) 

道央・伊達大滝  2014.2.14(月)  曇のち晴れ  


 

オロフレ山
下山時にやっと晴れ、青空に山頂が輝いて見えた。

 

2014.2.24(月)
トンネル 0920
C1003mP 1000
羅漢岩 1045
C970mコル 1105
オロフレ山頂 1200〜1205
小岩峰 昼食 1245〜1300
羅漢岩 1325
トンネル 1415

オロフレ山

花の名山と言われその時期には多くの人達で賑わうオロフレ山、登山口のオロフレ峠まで車で入れ2〜3時間程度で比較的楽に登れるため初心者向けの山として認識されている。
しかしオロフレ山自体は奥深い山懐を持つ大きな山で天候の変化も激しく侮れない、特に冬は厳しい山へと豹変する山でもあるのだ。

冬のオロフレ山へは昨年(2013.3)初めて訪れたのだが、途中から猛吹雪に襲われてホワイトアウト状態に陥り、ほうほうの体で逃げ帰ったのだった。
リベンジではないが、山頂からの冬の大展望を見たいと再び訪れてみた。

この日、日本列島は大きな高気圧にお覆われ何処もお日様ピカピカマーク。
通過した支笏湖周辺の山々も白く美しく輝き、登山意欲は高まるばかりだ。

 

何と・・・!

0900、冬季交通規制中の道路のゲートオープンを待ってオロフレトンネル手前の駐車帯へ向かう。
壮瞥や大滝の平地は晴れていたのだが、徳舜瞥山やオロフレ山などは山頂付近が雲に覆われている。
何ということだ! と信じられない思い。
今日の気圧配置で晴れないことは考えられない。高気圧が張り出しが少し遅れているのかも・・・。

予感を信じ、駐車帯で準備を整えトンネル横から斜面に取り付く。
前日の日曜日のものと思われるトレースが残っていて、有り難く利用させていただく。
晴れていれば美しく輝く斜面の霧氷達だが、日差しが無いと寂しげに映る。

40分ほどでC1003mP、稜線に出ると北西の風が予想外に強い。
時折地吹雪模様になり視界も煙って残念だけど景色どころではない。
たまらずパーカーを羽織り、フェースマスクを付ける。

夏にはイワカガミが咲く平坦な稜線を暫く行くと、羅漢岩。
昨年は素晴らしい迫力ある雪を纏った姿に感動したが、今回は地吹雪や飛雪に煙る羅漢岩。
美しさより恐さがつのる厳しい姿を見せている。


地吹雪で煙る羅漢岩

 

雪庇が出て切れ落ちている羅漢岩の縁を慎重に降り、反対側の岩稜の上へと登り返す。
再び稜線に出て振り返ると、羅漢岩一帯が薄日に照らされ光っている。
切れ落ちている崖が強調されるかのようで、崖の淵に立つと足がすくむ。

羅漢岩
振り返る羅漢岩一帯、後方にはオロフレ峠付近が見えている

 

雲底は1000m付近で変わらないが、時折薄日が洩れるようになってきた。
太陽の輪郭がおぼろげに透けて見える、「頑張れ・太陽!」

稜線
薄日差す稜線を行く

 

 

先行者

羅漢岩とC970mコルの間にある小岩峰が見え出した、岩峰の背後に聳え立っているはずのオロフレ山はまだ依然として雲の中だ。

小岩峰
小岩峰、背後にあるはずのオロフレ山は依然として雲の中だ

 

少し行ってから稜線上に一人の人がいるのに気がついた。
小岩峰へ向かっている、どうやら先行者のようだ。
しかし何処から来たのだろう? 東側のC956Pの尾根から登ってきたのだろうか。

先行者
小岩峰へ向かう先行者の姿。
上の写真とほぼ同アングルなのだが、日差しの有無で表情が大きく異なるのも面白い。

 

誰にも会うことの無い山行を覚悟して来たのだが、二人で行ければ心強さも違ってくる。
嬉しさと心強さを感じつつ、先行者を追う。

小岩峰の少し先で追いつき、挨拶を交わすとどうやら私と同年輩の方のようだ。
稜線上は雪も締まり、ラッセルの必要はないけれど私が先になってC970mコルへと向かう。
雲は少しづつだが雲底を上げているよう、オロフレ山が山頂部を残して姿を見せ始めた。

オロフレ山
C970mコル付近から1060mP(右)とオロフレ山(左)

 

 

ああ無情!

C970mコルでするべきことがある。
山頂への足回りをどうするか判断することだ。
これまで歩いてきた稜線上はラッセルが必要無いほど適度に締まっていた。
逆に凍りついて歯が立たないということもない締まり方だ。

私が「これならスノーシューのほうが良いような気がする」と言うと、先行者も自分もそう思うと言うので、アイゼン・ピッケルは持ったままスノーシューとストックでアタックすることに。

私が先頭を切り、C1060mPを左から巻き気味に登りオロフレ山本体への一直線の直登尾根に取り付く。
斜度は一気に強まり左からの風も強い、一歩一歩慎重にそして確実に踏み込む。

昨年はこの尾根の途中から天候が急変し暴風雪となり山頂付近ではホワイトアウト状態で身の危険を感じたほどだった。
今年も直登尾根に取り付いて間もなく雲の中に入ってしまったが、昨年のようなことはない。
風には何とか耐えられるし、視界も50mはある。
なにより数分に一回ぐらいの割合でうっすらと青空が垣間見えるのが、気持ちを明るくしてくれる。

写真を撮れるような状況ではないので、休むこと無く淡々と高度を上げていく。
C1150m付近で先頭を交代、単独で冬山に入っているだけあって先行者の足取りは軽快で確実だ。
雪も適度に締まり、昨年のように笹やハイマツの落とし穴に嵌ることがないのが有り難い。

斜度が一旦緩んだ、地形は頭に入っている。
もう一段登れば山頂、あと10分ぐらいだろう。

耐風姿勢で風をやり過ごすこともなく、山頂に到着。
遮るもののないオロフレ山山頂、お互い出た言葉は「ありがとう」でも「おめでとう」でも無い。
「イヤ〜! 風がすごいね。堪らんわ!」
雲と風と飛雪で何も見えず、油断すると体が2・3歩持っていかれてしまう。

先行者はものの1分経たない内に下山開始。
私は少し待っていたい気分。
10分も耐え忍べば、少しは景観が見える気がするのだ。
フェースマスクを整え、帽子をかぶり直し、パーカーのフードを被る。
風に背負ったザックを向け、カメラをすぐに取り出せるよう準備して風に負けぬよう立ち尽くす。

すぐに寒さが押し寄せてくる、1分は経ったかな? もう1分待ってみよう。
数分立っただろうか? 「たまらんな〜! 降りようか?」
周囲がフッと明るくなり北側の左手が青くなった。
同時に徳舜瞥山とホロホロ山が浮かび上がったように・・・。

やった! 今だ!
カメラを取り出し、設定を確認、シャッターと切る。続いてもう一枚。
間に合ったか? 視界は左手から襲いかかってくる雲で閉ざされ始めている。

モニターでは映っているような微妙な感じ。
でも何とか写っていました。



オロフレ山山頂から写せた一枚、徳舜瞥山とホロホロ山。
左から雲が襲いかかってきているのが、おわかりだろうか?

 

 

確信!

カメラをしまい、私も下山にかかる。
風や雲の状況は変わらないが、私には明るい確信のようなものが胸のうちに芽生え何故かルンルン気分。
間違いなく天気は回復傾向、きっと急速に晴れてくるに違いない。

急斜面を慎重に下る間にも、瞬間的な晴れ間が何度も見え始め支笏湖の樽前山や風不死岳、白老から苫小牧にかけての海岸線などが見え隠れを繰り返すようになった。

支笏湖
徳舜瞥山・ホロホロ山のほか風不死岳・樽前山も姿を見せた

 

急斜面の途中で先行者に追いつき、降り切る頃にはオロフレ山の山頂が陽射しを浴びて輝き、直登尾根も全容を見せ始めた。
雲は多めだが、青空の支配する面積がどんどん大きくなっている。

山頂
オロフレ山の直登尾根が全容を見せ始め、青空が広がる
私に続いて下ってくる先行者

 

 

晴れた〜!

C1060mP付近まで降りてくると空の大半は青空に変わり、洞爺湖や有珠山が何事も無かったように静かに佇んでいる。
ウソのような変りぶり、悪化する時も良くなる時もオロフレ山の天候は激しく急なのだ。

有珠山
有珠山や洞爺湖が嘘のように静かに佇んでいた。
左端に駐車帯がみえている。

 

C1060mPに薄いトレースが見えるので巻かずにピーク経由で降りてみる。
C970mコルまで木々に邪魔されること無く通過でき、木々に悩まされながら巻くより楽だ。
コルから振り返るとオロフレ山が青空を背景にスックと屹立している。
もう一度登り返して大景観を堪能したい気分。

オロフレ山
オロフレ山の全貌が

 

コルからは小岩峰の盛り上がりが結構凛々しく見え格好良い。
時間は12時半、小岩峰近くの風が避けられる岩陰で昼食にしようと歩を進めた。

小岩峰
コルから見る小岩峰
私達のトレースがまだしっかり残っている

 

 

まったり

小岩峰の下の岩陰まで行くと予想通り風が避けられる。
やれ嬉しや、お腹も空いた。
ザックを下ろし、へたり込む。

熱いコーヒーを飲みながらパンを口にし、見上げるオロフレ山はさっきとは違う優しげな表情。
C1060mPを従えて、悠然と構えている。

オロフレ山
お腹を満たしながら見上げるオロフレ山は優しげだ

 

少し目線を左に移すと、羊蹄山と尻別岳が仲良く並んでいる。
お腹も満ち、まったりして良い気分だ。

羊蹄山
岩陰とオロフレの間に羊蹄山と尻別岳が並んでいた

 

避けているが、風は依然として強い。
岩陰の上部からは吹き飛ばされ空中を舞っている飛雪が日差しを受けてキラキラ輝き綺麗だ。



飛雪
風よけにした岩陰と降り注ぐ陽射し、風で飛雪が舞っている

 

小岩峰が創りだす小さな雪庇などの陰影がなかなか面白い。
細かく観察すれば、雪山にも色々な表情があり夏山とは一味違う趣が見いだせる。

小岩峰
風を避けながら雪山の表情を楽しむ

 

 

雪と岩の風情

休みすぎて体が冷えては後々差し障るので、昼食休憩は僅か15分ほど。
最後に熱い飲み物を口にして、ザックを背負う。

小岩峰を裏側から覗いてみた。
昨年はたしか小岩峰を裏側から巻いて登ったはず。

岩
裏側から小岩峰とこれから歩く稜線を見る

 

小岩峰の天辺から洞爺湖や羊蹄山が良く見え、独り占めしているようで気分が良い。
夏はイワヒゲが張り付いている小岩峰だが、今はひときわ厳しい姿である。

羊蹄山
小岩峰の天辺と羊蹄山

 

そして反対の南側には登別の倶多楽湖が。
当然ながら真っ白に凍った湖面が印象的だ。

倶多楽湖
南には倶多楽湖(中央左)や登別付近の海岸線が見えていた

 

羅漢岩の手前、東へC956mPへ延びる稜線を先行者は戻る。
白老の方だそうだ、「素晴らしいお天気になって、登り返したい気分ですね」と挨拶を交わしてお別れした。

私は進路を西に変え、来た道を羅漢岩へ。
稜線を少し進むとゴツゴツした岩場が近づいてきた。

羅漢岩
羅漢岩へと進んでいく

 

切れ落ち雪庇も出ている左側に注意しつつ稜線を進む。
雪と岩の織りなす厳しくも優しい表情につい覗き込みたくなる。

一つの岩場をやり過ごし、次いで羅漢岩を向こう側に渡る。
行きに渡った際は降りるのが少々怖かったが、帰りは登りだから恐さは感じない。
ただ慎重に登り返す。

羅漢岩
羅漢岩の縁を回りこみ向こう側に渡る

 

羅漢岩はオロフレ峠側から眺めるほうが迫力があるように思う。
午前中は日差しがなかったため、陰惨な印象が強く怖いイメージだった。
午後はたっぷりの陽光を浴び、陰影はクッキリ雪の凹凸も強調して見え厳しさの中にも優しい表情も垣間見える。

羅漢岩
迫力満点の光景に思わず後ずさりしてしまう
左側に渡ってきた自分のトレースが見える

 

上の写真に続く絵をもう一枚。
岩の高さ、崖の深さが判るだろうか?

羅漢岩
スパッと切れ落ちている崖は覗きこむのも怖い。
右上に倶多楽湖が見えている。

 

迫力ある羅漢岩を存分に堪能し、平坦な稜線をC1003mPへと戻っていく。
正面に有珠山と洞爺湖、斜め右前に羊蹄山、左に夏の登山口であるオロフレ峠を眺めながらの散歩道。
途中、ダケカンバの額縁に絵が飾られていた。

絵画
ダケカンバの額縁に羊蹄山の絵が・・・

 

 

樹氷(木花)

C1003mPから樹林帯の中を下っていく、雪が深くなり霧氷の仲間で過冷却した微小な水滴が木の枝などについて直ちに凍ってできた白色のもろい氷が、木に氷の花を咲かせたようで美しい。
朝は曇っていたので冴えなかったが、濃い青空に樹氷の白い木花が映えている。

木花
青空に樹氷の花が映える

 

霧氷には粗氷と言って、空気中の過冷却した微細な水滴が地物や樹木に凍りつき,無数の氷粒の層となったものがあり、樹氷に比べ氷は透明に近くキラキラ輝くタイプのものもある。
確か昨年は粗氷が見られたと記憶しているが、今回は樹氷タイプが多かった。

粗氷
粗氷になると白さよりキラキラ輝く感じが美しいが、今回見たのは樹氷

 

 

もう一度?

無事トンネル横に降り立ち、駐車帯へ戻った。
荷物を整理し、取り付いたC1003mPと白く輝くオロフレ山を眺める。

C1003mP
トンネル(中央右側)からやや右を巻きながら登ったC1003mP

 

今回で2回目の冬のオロフレ山、昨年は往路は晴天だったが直登尾根で猛吹雪となり身の危険を感じたほど苦戦した。
今回は復路は晴天で景観も楽しめたが、往路と直登尾根では雲と風に苦戦させられた。
そして2回とも山頂からの大展望は味わうことが叶わなかった。

白く青空に輝くオロフレ山を眺めていると、「次の時には見せてあげるから、楽しみにもう一度お出で!」と言われている気がしてならなかった。

 

 

GPSトラック

 

GPSトラック図
GPS

 

 

 

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