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富良野岳
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前日の6/23(月)、芦別のカナディアンワールド公園で遊び、十勝岳温泉で車中泊。
夕方には気温10℃以下に下がり肌寒い。
そんな中、夕焼けを見ようと宿泊客達が外に出てきた。
雲が多めなので然程期待できないが、カメラを構えて日没を待つ。
雲と山の間に沈んできた太陽が真っ赤に輝き、燃え立つような光景が美しくも怪しい気配を漂わせた。
そして約10分後には名残惜しげな日輪を地平線に描きつつ、静かに姿を消した。
荘厳な天体ショーの余韻に浸り、早めにシュラフに潜り込む。そして翌朝、目覚めると抜けるような青空。
朝焼け色に染まる穏やかな景観を堪能しつつ朝食を摂り、出発準備だ。
雲海も朝焼けに染まる
朝の気温は6℃、上着を羽織っても少々寒い。
山頂で吹かれたら寒いかもとダウンをザックに入れ、万一雪が多かった時に備えカミさん用のアイゼンも忍ばせた。安政火口までは幅広い散歩道、イソツツジやナナカマドの白い花を鑑賞しつつ朝の空気が美味しい。
安政火口が一望できる所で上着を一枚脱いで体温調整、見上げる火口壁や八つ手岩・夫婦岩が険しい表情を見せている。
朝日を浴びる安政火口・八つ手岩
道は火口を源とする沢の源頭を渡り、十勝岳から富良野岳へ延びる山稜を南西に斜上しながら伸びている。
富良野岳へ続く山稜を斜上していく。
花の名山、どんな花に出会えるか目を皿のようにして進んでいくが、ヒメイチゲやミヤマカタバミ、ショウジョウバカマ、サンカヨウ、ウコンウツギ、エンレイソウ位しか目につかない。
花の時期には早すぎたのか? 不安がよぎる。
ショウジョウバカマ
道は三峰山と富良野岳との分岐へ。
ここまで残雪はほとんど無く、念のため持ってきたアイゼンは使わずじまい。稜線を歩き出すと、途端に赤・白・黄色の華やかな彩りが目に飛び込んでくる。
待ってました!
こうでなきゃ、花の名山の名が廃るでしょう!
エゾコザクラとハクサンイチゲ
どの花も咲き始めたばかりでとても綺麗、まさに旬の花たちである。
ハクサンイチゲ
濃いピンクのエゾノツガザクラ、あまりに色が濃くて何の花かと思ったほどだ。
エゾノツガザクラ
花達との会話を楽しみつつ高度を上げていけば富良野岳山頂は間もなくである。
素晴らしいお天気、視界も最高で透き通るよう、富良野岳は花だけではなく展望も超一流なのだ。
しばし富良野岳からの大景観を楽しもう。北東から北にかけては、三峰・上富良野・カミホロ・十勝岳と連なる山稜、十勝岳の先には美瑛岳。
さらに遠く北には旭岳や白雲岳などの表大雪の山々が残雪を輝かせ横たわっている。
十勝岳と表大雪の山々
南西方向には前富良野岳、そして富良野盆地を挟んで芦別岳・夕張岳などの夕張山地が大きく連なり、更に西側には札幌や支笏湖の山並みが並び、その遥か先には羊蹄山の姿も見えている。
南西から西への景観、夕張山地の山々の遙か向こうには羊蹄山の姿も
富良野岳の麓には原始ヶ原が広がり、南には長大な日高山脈が横たわっている。
麓に広がる原始ヶ原、はるか遠くには日高山脈の姿も
凄い眺望、酔いしれていると寒くなってきた。
さすがに2000m近い高度、気温も低く風に吹かれると寒い。
ダウンを羽織り、温かい飲み物を口にする。素晴らしい贈り物、私は撮影にカミさんは歌作りに一時を過ごす。
富良野岳山頂にて
北側の麓には登山口である十勝岳温泉の建物や駐車場が見え、白金の牧場や美瑛から旭川へ広がる平野が広がっている。
右下の白い建物は十勝岳温泉
山頂でのんびり大景観を満喫し、帰路は花を訪ねて稜線を北上する。
多くの花が咲き始めており、全てを紹介することは出来ない。
主だった花をご紹介しようと思う。まずはイワウメ、この時期多くの山で群落を作る清楚な花達。
イワウメ
そしてキバナシャクナゲ、比較的短い期間で萎れてしまう命短き花でもあるが今はすべてが輝き美しい。
キバナシャクナゲと十勝岳
コメバツガザクラも咲いていた、樽前山などではすでに終わっている花。
標高が高いだけ遅い時期でも咲いているのだろう。
コメバツガザクラ
次は高山植物の定番、チングルマ。
大きな群落で咲くさまは、天空の高みに見事な絵を作り出す。
チングルマ
チングルマと十勝岳
チングルマとエゾノツガザクラ
稜線上のハクサンイチゲも群落を作って見る者を楽しませてくれる。
ハクサンイチゲ
稜線に吹き上がってくる冷たい風が雲を沸き上がらせているようだ。
朝、平地を覆っていた雲海が稜線へ吹き上がり、覆い始めた。道は小さなアップダウンを繰り返し三峰山から上富良野岳へ。
紫のクワガタが咲いているのを見つけた。
もうクワガタが咲く時期なのか?
エゾヒメクワガタ
そしてまだ小さいけれど、ハクサンチドリも咲き始めている。
ハクサンチドリ
キンバイの仲間も点々と咲いている。
可愛い花達だが私には判別が難しい花だ、これは多分ミヤマキンバイだと思う。
ミヤマキンバイ
エゾノツガザクラには色の濃いもの薄いものと変化が多い。
薄ピンクの花を見つけた。
薄いピンクのエゾノツガザクラ
富良野岳から上富良野岳の稜線にはミネズオウも沢山咲いている。
この小さな花はなんとも言えない魅力があり、大好きな花の一つ。
見つけると必ずご挨拶なのだ。
ミネズオウ
いつの間にか雲に巻かれ、視界も閉ざされだした。
そんな中、花を探して歩いていると「上富良野岳」の標識がぼんやりあらわれた。
上富良野岳山頂で
もう少し散策しても良いが、もう十分満腹だ。
足元に注意しながら慎重に下山することに。上富良野岳からは概ね安政火口の縁を下っていく。
延々と続く階段、登りにはあまり使いたくない道だ。時折、雲の切れ間から富良野岳がまた来いよと姿を見せてくれた。
富良野岳
下山道にも所々花があり、楽しませてくれる。
チングルマとエゾノツガザクラ
安政火口を覗き込める所も何ヶ所かあり、恐恐覗きこむ。
八つ手岩が大きく高く立派に見える。
八つ手岩
やがて斜度の緩い雪渓を下ってカミホロ分岐へ出て、十勝岳温泉へと戻った。
間もなく雪渓も溶ける富良野岳周辺
花の名山を訪ねての第一弾は富良野岳だった。
最初は早すぎたかと思ったが、いやいや咲き始めの旬の花たちばかりで丁度良い時期だった。
紹介した花以外にもメアカンキンバイ、ミツバオウレンが咲き、花はまだだがコマクサ、ヨツバシオガマ、イワブクロ、ウサギギク、ゴゼンタチバナも確認できた。これからしばらくは入れ代わり立ち代わり花々が楽しめる富良野岳です。
皆様、どうぞ足をお運び下さいませ。
・チングルマ愛でつつ稜線越えゆけば
芦別岳の雪渓凛々し・すこやかに老ゆる幸せ去年の山
望みて夫と写真に収まる