松山湿原 (797m)

道北   2014.7.15(火)   晴れ

 


 

湿原

 

2014.7.15(火)
天竜沼 1430
展望台 1450〜1500
松山湿原 1510〜1630
天竜沼 1650
女神の滝 1715〜30
雨霧の滝 1745〜55

松山湿原

美深町にある松山湿原は北海道では雨竜沼湿原、浮島湿原に並ぶ高層湿原の一つである。

ピヤシリ山を下山してそのまま車を走らせること約1.5時間、松山湿原への登り口である天竜沼駐車場へ到着した。
平日の午後、人気もなく車が1台停まっているだけだった。

どんな所なのか、沼ノ原のような池とエゾマツが織りなす異国情緒豊かな景観なのか、雨竜沼湿原のような草原と池塘の景観なのか想像するだけでも期待が高まる。

午前中の曇天から一転、爽やかに晴れた午後の時間をたっぷり使って散策した。

 

 

真面目な登り

湿原へは軽く歩いていけるものと思いがちだが、松山湿原へは結構まじめに登っていかねばならない。
カミさんなどは1時間程度で戻って来るものと思い込み空身、私がカメラなどを持つためザックを背負って行かなければ水も飲めない窮地に陥る所だった。

エゾアジサイ
目に優しい鮮やかなエゾアジサイ

途中展望台があり一息入れられるが、咲いているエゾアジサイやゴゼンタチバナに励まされつつ湿原まで30分は十分にかかる。

展望台からの伸びやかに広がる道北の景観は気持ちまで大きくしてくれる。


湿原への途中の展望台からの眺め

 

爽快!

湿原の入り口に着くと、そこにはピヤシリ山の小湿原とは全く異なる胸のすくような広々とした清々しい光景が展開していた。

湿原
独特の景観が広がる松山湿原

 

大雪の沼ノ原に似通った景観、沼ノ原がトムラウシなどの山岳景観を伴って極めて雄大であるのに対しやや小じんまりしているけれど雰囲気はよく似ている。

爽やかに晴れた美しい湿原を歩けるだけでも嬉しく幸せだ。

 

あった〜!!

良く整備された木道を歩き出す。
すると草むらに点々とピンクが散らばっているのに気がついた。

まさか出会えるとは思ってもいなかったトキソウだ。
それもまだ傷んでいない綺麗な花がほとんどだ。

トキソウ
トキソウ まさか出会えるとは・・・

 

カミさん共々喜びの声を上げ、美しく可愛らしい姿に見入る。
まさに心ウキウキ ランランランなのである。

トキソウ

 

午前のピヤシリ山では心の浮き立つようなことはなかったけれど、十分すぎるほどのご褒美だ。

一羽一羽が勝手な方向を向いて羽ばたいているような花達をしげしげ観察。

トキソウ
これはペアかな? 見つめ合っているみたい

 

群れ咲くという雰囲気の花ではないが、時期なのか結構たくさん咲いている。
こんな情景は初めてである。

ときそう
結構な数が咲いていた

 

その中でも美形だった花の一つは

トキソウ
美形のトキソウ

 

どんな所か興味津々だった松山湿原、アカエゾマツと池塘が織りなす景観だけでも素晴らしいのに、思ってもいなかったトキソウまでもがお出迎え、すっかり気に入ってしまったのは言うまでもない。

 

沁みる景観

湿原の歩道はエゾマツ沼、つつじ沼、ハイマツ沼の小さな池塘の横を通って行く。
水と空と雲、そしてエゾマツ、ワタスゲの創りあげる景観はまさに自然の凄さ、自然のなせる技。
到底人の力の及ぶところではない。 

言葉は要らない、じっくり見ていただこう。

湿原
心に沁み入る景観だ

 

 


湿原
雲やワタスゲが景観づくりに一役買っている

 

大雪の沼ノ平でも終わりを告げていたワタスゲだったが、ここではまだまだ美しい。
木道沿いにも沢山咲いていて、風まかせに頼りなさげに揺れる風情は堪らない。


ワタスゲ揺れる湿原歩道

 

もちろん水面を背にしたワタスゲはどんな花にも引けをとらない。

ワタスゲ

 

同じような池塘とアカエゾマツの景観だけど、一つ一つの微妙な違いが見る者の感情を大きく作用する。


微妙に表情が異なる景観が連続する

 

モウセンゴケに・・・

凄すぎる景観、ルンルン気分で木道を歩き遠くを見てはため息を付き、足元の花達を愛でる。

ワタスゲの綿を吹いて飛ばしたくなる。


良く見るととても繊細だ。

 

湿原風景を堪能しつつ、心を癒やされ気持ちを新たに出来る。
自然はそんな力を持っている。

湿原
眺めているだけで新たな気持が芽生えてくる

 

足元にはモウセンゴケがビッシリ、そして小さな白い花が。
何の花だろうと茎を辿ってみるとモウセンゴケから出ている。
そうか、モウセンゴケの花なのか・・・。
初めて見たよ!


モウセンゴケ
モウセンゴケの小さな花

 

心に刻む

自然の創るものは一つとして同じものがない。
それなのに全体に調和が取れ無駄なものは少しもない。
生きてきた年輪というか証しがにじみ出ている。

人にもその人なりの年輪が顔に現れる。
「良い顔をしている」そんな人になりたいものだとつくづく思う。
いつまでも脂ぎった政治屋さんなどの顔は御免被りたい。

ハイマツ
老いたアカエゾマツの創りだした歴史のような表情

 

そんなアカエゾマツと草原そして沼が作り出す景観は空と雲の応援を得て、いぶし銀のよう。
本当に「良い顔しているな〜!」

湿原
水面のざわめきも一興

 

木道は松山湿原を概ね一周して入り口へと戻ってきた。
再度眺める湿原風景、日本離れした伸びやかさ。
きっとシベリヤやサハリンなどの景観はこうなのだろうかとふと思った。

湿原
伸びやかな湿原風景

 

湿原入口に設置してある「長寿の鐘」、楽しかった感謝の意味とこれからの幸せを願って二人で一回づつ打ち鳴らした。

 

 

滝の風情 二景

松山湿原の入り口から約3Km離れた所に、雨霧の滝と女神の滝という滝がある。
湿原巡りのついでに立ち寄ってみた。

 

女神の滝

雨霧の滝の上流約300mにある滝。
小さいながら狭い水路から一気に広がり落ちるなかなか勇壮な滝である。

女神の滝女神の滝

 

大きな倒木には苔がびっしり、岩肌を流れ落ちる水が作り出す造形、そして轟音。
つきまとう虫達の煩さも忘れ、しばらく呆然と見入っていた。

女神の滝
ヤマブキショウマやミヤマキンポウゲも飛沫に濡れて涼しそう

 

川岸にはミヤマキンポウゲが今が盛りと花を付けていた。


ミヤマキンポウゲ

 

雨霧の滝

雨霧の滝は高さ6mほどのやや細長い繊細な感じを受ける滝、滝壺も大きく深そうだ。
女神の滝とは雰囲気も表情も違って同じ川の滝とは思えない。
水量が多い時は表情が一変し、豪快に流れ落ちるのだろう。

雨霧の滝
雨霧の滝

 

今の時期は豪快さより繊細さを感じる滝でもある。

女神の滝
雨霧の滝

 

感激の湿原

この日の午前中訪れたピヤシリ山は曇天のせいもあり薄暗く陰湿、おまけに羆の痕跡の多さにビビり、ダニの恐怖と戦いながらで、正直良い印象を抱けなかった。

それに引き換え、午後に訪れた松山湿原一帯は天気も回復したせいもあるが、湿原独特の風情は素晴らしく思ってもいなかったトキソウにも出会えた。
私にとって今年訪れた山々の中で最高の評価を与えてあげたい場所となった。

最高の時期、最高のコンディションの時に訪れることが出来た偶然の結果だが、松山湿原は私にとっていつまでも印象に残る所になったのは間違いない。

松山湿原、ありがとう!

 

オジロワシ歌壇

 

・湿原に咲きし朱鷺草揺れ揺られ
      ピンクの花の情(こころ)を見する

 

・二人きり松山湿原の幸いよ
      長寿の鐘を一つづつ鳴らす

 

 

 

 

 

 

 


 

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