緑岳(2020m) 小泉岳(2158m)

大雪   2014.7.8(火)   晴れ時々曇り

 


 

高根ケ原

 

2014.7.8(火)
高原温泉 0650
見晴台 0815〜25
第一花畑 0835〜45
緑岳 0950〜1015
小泉岳 1130〜1200
緑岳 1240〜1305
高原温泉 1500

緑岳・小泉岳

大雪山系の小泉岳から緑岳にかけてゆるやかに広がる稜線の膨らみは花が多い大雪の中でも最も豊かな所と言われている。

花期には花を愛でに訪れる人達がひっきりなし、私達もこれまでに何回も訪れてきた。
特に昨年はこれまでで質量共に最高の花達に出会え感動を新たにした。

今年もあの感動を再び味わいたいと訪れてみる。
そんなに上手く事が運ぶとは限らないが、自分で足を運ばなくては見ることは決して叶わないのである。

 

WELL COME !

グッドタイミングに札幌に住む娘から「山のお花を見たいので、何処か連れて行って」。
多分親の老いの様子を実際に確かめ危ういところがあるならキツく諫言しようと言うのが本心なのだと分かっていても、私達の趣味に付き合ってくれる気持ちが嬉しくて仕方ない。

理由はなんであれ、大歓迎! WELL COME ! である。

 

ご案内

早朝自宅を出発し高速を利用すると大雪高原温泉に0630に到着、時間的には十分だが少々疲れを感じる。
やはり今の私達には前夜泊のほうが楽だ。

ゆっくり準備を整え三人で歩き出す。

使用前
温泉が湧く、登山口で

 

緑岳の登山道は助走のない急斜面、針葉樹の中に付けられた急な階段道を暖機運転のつもりでゆっくり登る。
道端のゴゼンタチバナやミツバオウレンなど花の話をしながら歩くが、軽快に受け答えしていた娘の息が少し荒くなってきた。
30分弱の所にある見晴台で休憩、体温調整と靴の調整のつもりだったが女性陣はなかなか立ち上がろうとしない。
見えている高根ケ原や忠別岳の話に花が咲く。

高根ケ原
見晴台から眺める高根ケ原

 

尾根に乗るまで樹林帯の急な登りが続く、咲いているマイズルソウやツマトリソウなどで気分を紛らわしつつ登っていく。
娘から観察される立場から早くもご案内する立場へ、親切丁寧な専属ガイドに変身だ。

 

涼し〜!

斜度が平坦になり視界が開け、雪解け水が小川のように流れる道を進めば、目の前に雪渓が現れる。
第一花畑である。
汗をかいていた体が雪渓を渡る風に気持ち良い。

第一花畑
緑岳をバックに 第一花畑にて

 

「食べればバテない」の助言を信じてくれたのか、ドライフルーツ・ナッツ・チョコとよく食べること。
塩分の取り過ぎをいつも注意されるけど、甘いものの摂り過ぎは血糖値が上がるんだよ。

この時期、緑岳の雪渓は一つに繋がっている事が多いと思うが、今年はすでに三つにわかれている。
それだけ雪融けが早かったということだろう。

念のため軽アイゼンを娘のために持ってきたけれど必要ない。
雪渓に出来た踏み跡道を忠実に辿っていく。

雪渓
この位じゃ滑らないから大丈夫!

 

雪渓の終了間際には周りに岩が多くなってきた。
板を積み重ねたような岩壁に咲いたばかりのエゾコザクラが鮮やかに群れている。
大雪のお花畑の始まりだと説明し、元気をつける。
ハイマツの根の太さと勢いに驚く。


雪渓の岩に咲くエゾコザクラ

 

正念場!

雪渓を登り切り、左手のハイマツの廊下を西へ進むと緑岳への正念場が待っている。
標高差約300mの急な岩礫の急斜面だ。

私とカミさんの間に娘を入れて、娘の息遣いを感じつつ歩調を合わせる。
歩幅を小さくし私の踏んだ場所に足を置けば良いようにして登っていく。

チシマヒョウタンボク、イワブクロ、コマクサなどを見つける度に足を止め、一息つく。
娘は「ウン・ウン」と頷いているが、後から聞くとあまり覚えていないようだった。


チシマヒョウタンボク

 

岩礫で歩きにくい急傾斜の斜面だが、逆に言えばジグを切る度に景色が変わっていく。

「高根ケ原が目の高さになってきたね」
「高原沼が見えてきたよ」

約100m登っては休憩し息を整える。
「この調子であと2回登れば頂上だよ!」「エ〜、まだそんなに〜!」

休憩
食べれば、バテない!

 

イワブクロは丁度盛りで美しい表情の花ばかり。
見慣れた花でも旬のものには惹きつけられる美しさがある。

イワブクロ
イワブクロ

 

C1850m付近で振り返ると雲に隠れていたトムラウシが姿を現し、高根ケ原とともに素晴らしい景観を見せている。
今日一番の大展望かも、このチャンスを逃してなるものかと展望休憩だ。

展望
この日、一番の展望が得られた

 

やったね!

のんびりゆっくり歩くこと丁度3時間、緑岳山頂である。
「もう、登りはないよ」に、心からホッとした顔。
心配したお天気も雲は多めながらなんとか持っている。

息を整え、登頂記念写真だ。

緑岳山頂
とても元気そうに見えるよ

 

後旭岳と熊ヶ岳は見えているが、主峰旭岳は雲に隠れている。
それでも大雪らしい広くのびのびした山岳景観が広がっている。

白雲岳
緑岳山頂から旭岳方向

 

東大雪のニペソツ山や石狩岳・音更山などもやや霞ながらも姿を見せているし、高根ケ原から忠別岳はしっかりと、トムラウシは時々雲に隠れながら見えている。
これだけ楽しめれば、良しとすべきであろう。

ポーズ
疲れも取れたか、動きが軽快になってきた

 

花の楽園

ここからが今回の山旅のハイライト、緑岳〜小泉岳を結ぶ花の稜線をのんびりゆっくり往復散策し存分に花を楽しむのだ。

ゆっくり休んで気分も一新。軽やかに歩き出す。

稜線に足を踏み入れれば、道の両側には花達がずらりと勢揃い。
「ホソバウルップソウと言って珍しい花なんだよ」


ホソバウルップソウ

 

花は沢山咲いている、まさに一大お花畑である。
でも、なにか変!
全体的に花の盛りを過ぎている。旬の花が見当たらないのだ。

僅か3日前の永山岳〜北鎮岳では、みんな見頃の素晴らしい花々ばかりだったのに・・・。
地形や雪解けの関係なのか、良く分からないけど残念だな〜。

その中から旬の花を選ぶと、まずタカネオミナエシ(チシマキンレイカ)である。
蕾のものも多く、瑞々しく黄色が輝いている。


タカネオミナエシ

 

またヒメイワタデは旬のきれいな花が多く、ホッとした気分にさせてくれる。

ヒメイワタデ
ヒメイワタデ

 

エゾタカネツメクサも綺麗で瑞々しい花が多かった。
同じような時期と場所に咲くミヤマタネツケバナも濃い緑に白の花が目を引くが、こちらは庭での草取りに苦労させられているせいかあまり好きになれない。


エゾタカネツメクサ

 

エゾツツジもまだまだ見頃のきれいな花が多かった。

エゾツツジ
エゾツツジ

 

キバナシオガマは盛りを過ぎている花が多く、張り・艶が失われつつある花が多かった。
カミさんが「花も人間も一緒ね〜」としみじみした口調でつぶやいた。


少し盛りを過ぎた花が多かった キバナシオガマ

 

ホソバイワベンケイは勢いを感じさせてくれた花の一つ。
見るだけで、こちらにも元気が伝わってくる。


ホソバイワベンケイ

 

エゾイワツメクサは全体に盛りは過ぎているが、まだまだ見られる花も多かった。


群れずに一人咲くエゾイワツメクサ

 

ホソバウルップソウは小泉岳に近づくほど綺麗で見頃な花が多くなった。
僅かな地形や気温、風の当たり具合などで微妙に変わるのかもしれない。


ホソバウルップソウ

 

エゾオヤマノエンドウは全体に盛りを過ぎ、萎れたり枯れたりした花が目に付いた。

エゾオヤマノエンドウ
勢いのある花は少なくなったエゾオヤマノエンドウ

 

そしてこの辺りの花の女王であるコマクサは全体に小さい花が多いく貧素な感じを受ける。
期待して来た娘も少々アテが外れたみたい。
本当はもっともっと艶やかで美しいんだよとコマクサのために言い訳する。

コマクサ
こんな綺麗なコマクサは見つけられなかった。 昨年同じ稜線で撮影したコマクサ。

 

リンドウの仲間は季節先取りの花が咲きだしている。
リンドウの判別は私には難しく、フデリンドウなのかミヤマリンドウなのかそれともリシリリンドウなのかよく分からない。

でも深い青色とキリッとした姿形は大好きなのだ。

りんどう
ミヤマリンドウ? リシリリンドウ?

 

この稜線に君臨する花の王様と言っても過言ではない「チョウノスケソウ」
残念ながら盛りを過ぎつつあり、やや気品を失いつつある。

なんとか元気のある花を探し撮ってみた。

チョウノスケソウ
チョウノスケソウ

 

その他、アサギリソウはピンとした葉をしていたが早朝でも霧も出ていない昼間のせいかあまり目立たなかった。

 

小泉岳

花の稜線を小泉岳までやって来た。
白雲岳や赤岳方面から三々五々人々がやってくる。
いかにも大雪らしいゆったりした雰囲気に娘もここが好きになったみたい。

おやつを食べ、休憩し記念写真だ。

山頂で
皆さん順番で記念写真

 

大きなザックを背負った人は白雲岳避難小屋に行くのだろうか。
私達はここから往路を引き返す。
ゆったりした気分でゆるやかに下る道を緑岳へ。

クモマユキノシタが点々と咲いている。
緻密で複雑な模様と形、自然は何と不思議で粋なことをするのだろうか?


クモマユキノシタ

 

星形の花びら、赤い花芯、黄と黒の斑点、見れば見るほど面白く不思議な形だ。


クモマユキノシタ

 

往路に引き続き、気になる花をたっぷりと鑑賞しつつ緑岳へと戻っていく。

緑岳へ
緩やかな稜線を緑岳へと戻っていく。

 

今年は少し盛りを過ぎつつある花が多かった印象が強い。
それでもそれなりに楽しめた、そして少々残念だったから来年こそは!と思う気持ちにもなれる。

大雪初デビューの娘も花の多さに感動し好きになったようだ。
なによりそれが嬉しい。
また来年、親娘三人で来れたら良いな!

 

 

オジロワシ歌壇

 

 

・雪渓に影をうつして行く雲を
        親娘で眺むおもいそれぞれ

・行き来せる人に神々まぎれしや
        カムイミンタラ花咲き盛る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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