ピヤシリ山 (987m)

道北   2014.7.15(火)   曇り・霧

 


 

ウツボグサ

 

 

2014.7.15(火)
登山口 0900
御車の滝 0920
小湿原 0940〜45
ヌカライネップの岩 1005〜15
ローソク岩分岐 1020
ピヤシリ山山頂 1050〜1115
小湿原 1200
登山口 1230

ピヤシリ山

道北の山、すぐに思い浮かぶのは利尻山と天塩岳ぐらいで登山意欲が掻き立てるような山は少ないというのが本音である。

今回はそんな道北の自然を満喫すべく訪れてみた。
下川のピヤシリ山、美深の松山湿原、中頓別の敏音知岳、幌加内の三頭山など静かな山歩きとひっそり咲く花を期待してのことだ。

ピヤシリ山は名寄の北東、冬にサンピラーの出現するピヤシリスキー場としてその名を知られていがスキー場があるのはピヤシリ山の隣の山、そのスキー場を経由してピヤシリ山直下まで道路が伸びて容易に山頂に立つことも出来る。

登山道は下川町から伸びており、広大なサンル牧場などで伸びやかに飼育されている牛の姿などに癒やされながらのアプローチである。
林道には鍵のついたゲートが有り、下川にある上川北部森林管理署(01655-4-2551)でNOを確認する必要がある。

 

 

羆の巣窟?

登山口までの林道は最初こそ快適だが次第に細く荒れてきて、車の交差もままらない。
登山口には数台停められるスペースがある。

登山道はしばらく手入れがされていないようで折れた枝や木が道を塞ぎ湿っている。
天気が霧っぽい曇のせいもあるが、薄暗くジメジメした陰気な印象だ。
道の脇には草に混じってエゾノレイジンソウ、ウツボグサ、少し乾いた所にはホロムイイチゴなどが咲き実を付けていた。


エゾノレイジンソウ

 

地味で目立たない黄緑の花なのに気品を感じさせるエゾノレイジンソウ、それとは対照的に鮮やかな赤で存在を主張するホロムイイチゴ。
花も人も生き方の違いが素振りや佇まいの違いとなって表れるのか?

赤く色付いたイチゴを一つ摘んでみたら、飛び上がるほど酸っぱかった。


ホロムイイチゴ

 

やや荒れた道には点々と羆の糞、約10分の間に幾つもの痕跡を見る。
ここは羆の巣窟か? 見慣れているとはいえその多さに戦慄が走る。
決して鉢合わせなどしたくないから、笹や見通しの効かない所では笛を吹きながらこちらの存在を知らせながらの歩きである。

そんな中、白のウツボグサを見つけた。
紫と白、色が違うだけで印象が全く異なるから不思議である。
カラスも白だったらあんなに嫌われないかも知れないのに・・・。

ウツボグサ
白花のウツボグサ

 

小湿原

やがて水音が大きく聞こえるようになり、左手に滝が現れた。
御者の滝、少し離れた位置からなのであまり迫力は感じないが立派な滝ではある。
薄暗くてカメラに収めるにも苦労する、ストックを三本使ってこれが本当の三脚だ。


御者の滝

 

滝を過ぎ少し登ると小さな湿原に出た。
アカエゾマツが林立する素敵な雰囲気の中、水の浮いた草地を進んでいく。
エゾカンゾウ、ワタスゲは、もう終わりの時期だがいくつか元気な花を見ることが出来た。

エゾカンゾウ
エゾカンゾウ

 

少し乾いた所にはエゾシモツケソウやオトギリソウの姿も。
赤色の濃いシモツケがとても可愛い。

エゾシモツケソウ
赤の濃いエゾシモツケソウ

 

一時的に霧が晴れ青空が見え始めた、湿原の風情に夏雲が以外にも似合っている。
日が照るとそれまでの陰湿な印象がガラリと変わって開放的で爽快になる。
私はもちろん、明るく爽快な方が好きだ。

小湿原
湿原と夏雲

 

ダニ!

湿原を過ぎ、背の高い濃密な笹の急斜面を熊よけの笛を吹き鳴らしながら登っていく。

稜線間近、道にはハイオトギリやハクサンフウロ、セリ科の花が見られるようになった。
水滴をまとったハイオトギリは可愛らしく好きである、花単体ではかなり派手で目立つ黄色なのに緑の葉に吸収されるのか花全体としてはおとなしい印象さえ受ける。


ハイオトギリ

 

セリ科の花達の判別、どうもよく分からない。
エゾニュウ・アマニュウ・ヨロイグサ・セントウソウ・トウキ・センキュウなどなど・・・。

この花達は蜜が多いのか、集まる虫の数は半端ではない。


ハクサンフウロ

 

写真を撮っていてふとズボンに赤黒い小さな点が幾つも付いているのに気がついた。
ダニだ〜! これだけは決して好きになれない見るだけでザワザワする嫌な奴。

カミさんにも知らせ、カメラそっちのけで取り除く。
カミさんとの集団的自衛権も発動だ、4つの目を皿のようにし互いをC'K。
スボンだけではなくシャツやザックにも何匹も這っていた。

この日私が履いていたズボンは半ズボンにもなるタイプでジッパーで取り外しできるようになっている。
そのジッパー部分を隠すために2cm位の覆い布が付いているのだが、これをめくってみたら何とダニがビッシリ。
まさにダニ返しの覆い布、悲鳴を上げながら取り除いた。

 

隣の山へ

稜線近くになり行く手には大きな岩が見え出した、ヌカライネップの岩と呼ばれている大岩だ。

ヌカライネップの岩
ヌカライネップの岩

 

エゾシモツケソウと並んでエゾカンゾウがこんな所にも咲いていた。

エゾカンゾウ
エゾカンゾウ

 

ピヤシリ山は基本的に岩山ではなく土の山、それなのに所々に大きな岩がポンと露出して点在している。
ヌカライネップの岩もその一つ、近づくとその大きさに圧倒される。

ヌカライネップの岩
大きさに圧倒されるヌカライネップの岩

 

大岩を過ぎるとローソク岩への分岐、周回できるのでローソク岩は帰りに寄ることにして真っ直ぐ山頂へ向かう。
この付近も背の高い笹の中を行く道、笛を吹きながら羆に目配り、ズボンの裾を見ながらダニに注意とせわしない。

晴れかかっていたお天気もまたしっかり曇ってきて視界も煙っている。

曇り空
太陽は隠れ、視界も思わしくない

 

ようやく視界が開け山頂の雰囲気、だが道はピークのすぐ下を巻いてなだらかに下りだした。
どうやら隣の山がピヤシリ山、とすると・・・、ここは東のピーク(991m)なのだった。

ピヤシリ山山頂のすぐ北側にも大きな岩がデンと控えているのが遠望できる。

大岩
ピヤシリ山の山頂はこの左側すぐ

 

風舞う頂き

ハイマツの中をゆるやかに登ると、ピヤシリ山山頂はあった。
羆とダニの恐怖にも負けず登って来たのに待っていたのは、風が舞い、雲が流れ、視界の効かない山頂。
標識だけがやけに立派に立っていた。

山頂
何も見えない山頂は、風が舞い寒いぐらい

 

ザックを下ろして、何はともあれダニC'K。
数匹づつ見つけ排除する。

早くもコガネギクが咲きだしている、山には秋の気配が静かに忍び寄ってきているのだ。

コガネギク
コガネギク

 

山頂の少し下には避難小屋だろうか小さな屋根が見え、そちらに道も続いている。

景色も見えず、気になる花もない山頂だが、もう来ることはないはずだ。
寒さを感じながらドライフルーツや木の実、菓子パンを口にする。
話題はダニの恐怖と羆の多さ。どちらもあまり楽しい話ではない。

約半時間の滞在を終え、ピヤシリ山山頂に別れを告げる。

 

何処が?

帰りはローソク岩へ立ち寄ろうと周回路に入る。
だが、岩場の雰囲気も感じないままヌカライネップの岩近くの分岐に戻ってきてしまった。
一体ローソク岩って何処にあるの? 半信半疑、狐につままれたような気分であった。

エゾシモツケソウの多い道を熊の糞とダニに注意しながら下っていく。
笹の中の見通しの効かない道は現れそうで気持ちが悪い。
楽しい会話というより、羆に聞かせるための会話である。


エゾシモツケソウ
エゾシモツケソウ

 

湿原に降りていく道にはアザミが多かった。
明らかに違う2種類のアザミ、多分エゾノサワアザミとチシマアザミであろうか。


エゾノサワアザミ

 

 


背の高いチシマアザミ

 

御者の滝付近からはツルアジサイやエゾアジサイが目立つようになってきた。
巨木を白く飾り立てているツルアジサイ、清楚で清潔な印象だ。
似たイワガラミは巨木をも絞め殺すというから見掛けで判断してはいけない教訓でもある。

ツルアジサイ
ツルアジサイ

 

気疲れ!

静かな山歩きを期待して訪れたピヤシリ山、お天気もどんよりした曇り空。
加えて異常に多い羆の痕跡と待ち構えているダニの多さ。

正直歩く楽しさより怖さと恐怖に心は支配されつづけた山歩きであった。
春か秋のダニの活動期を外してのお天気の良い日に歩きたい山ではなかろうか

ともあれ、体力的には楽勝のピヤシリ山は気疲れした山であった。

 

 

 

 

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