目国内岳 (1203m)  岩内岳 (1086m)

道央ニセコ  2014.8.26(火)  曇のち晴れ

 


 

ニセコ

 

2014.8.26(火)
新見峠 0615
前目国内岳 0710〜20
目国内岳 0815〜40
パンケ湿原 0930
岩内岳 1035〜55
目国内岳 1235
新見峠 1425

目国内岳

長大なニセコ連峰は新見峠を堺に、東と西に分けられる。
連峰東側は人出も人気も高く表銀座的要素が強いが、西側は訪れる人も比較的少なく裏銀座的な鄙びた静かな山々が並んでいる。

目国内岳は連峰西側の山々の盟主、山頂部には大岩がゴツゴツ積み重なりまるで王冠を載せたよう、アルペン気分も味わえ山腹には小さい湿原もあって変化に富んだ山歩きを楽しめる。

今回は前日まで大雨に襲われた道北や上川の山を避け、比較的穏やかだったニセコを楽しもうと、新見峠から目国内岳、更に進んでパンケ目国内湿原から岩内岳へのゆるやかな起伏を歩いてみた。
初秋の湿原に咲く花達との出合いも楽しみである。

 

 

滑る!

この1週間ほど前線が日本列島付近に停滞し南から湿度の高い温かい空気が流れ込んで、所によっては数十年に一度の大雨が降り、広島県などでは洪水や土砂崩れなどにより大災害が発生した。
北海道でも道北で土砂崩れや洪水で家屋が倒壊したり牧場や農地が水を被るなど大きな被害が出た。
被災された方々や地域の一日も早い復旧を願わずにいられません。

天候が回復したこの日、朝から羊蹄山やニセコ連峰東側の山々はクッキリ姿を見せて清々しい、だが連峰西側の山々には悪天の余韻なのか雲がへばり付き山頂部を隠していた。

新見峠の少し新見温泉寄りにある目国内岳の登山口、駐車場やトイレが整備されている。
歩き出す登山道は背の高い笹と樹林に囲まれ視界は閉ざされ、おまけに雲に巻かれ暗く陰湿な気配が漂う。
苔むした石は濡れてよく滑る、点々と咲くアキノキリンソウに気を取られていると足を滑らせる。
年寄りには、「花と景色を眺める時は立ち止まって」が大原則なのである。

視界が閉ざされた湿度の高い斜面を黙々と登るのは辛い、ただこの日は登山口での気温が14℃。
汗を殆どかかなくて済むのは有り難い。
もう夏は終わり、初秋の山歩きなのだ。

4合目を過ぎると樹林帯を抜け笹原の斜面を行く。
太陽の勢いと共に覆っていた雲が薄れ始め、時々視界が得られるようになってきた。
「太陽さん、もう少し頑張って!」である。

視界が
雲が薄れ始め、視界が開けだした。

 

待ってました!

歩き出して約1時間、前目国内岳だ。
雲は濃淡を繰り返しながら、依然として山肌にまとわりついている。
「そろそろ晴れてよ〜!」


まだ雲の中、そろそろ晴れて〜!

 

一息入れていると、願いが届いたのか雲が流れ目国内岳が姿を見せた。
「嬉しい〜!」


雲が流れ、目国内岳が・・・

 

やはり展望は元気をくれ、登高意欲が俄然高まる。
ニセコ連峰東側の大展望も広がりだした、素晴らしい!


姿を見せたニセコ連峰の山並みと羊蹄山

 

前目国内岳から一旦下り、目国内岳本体へ取り付いていく。
雲の流れは早く、去ったと思ったらまた覆うを繰り返す。

この付近からエゾオヤマリンドウが目立ちだす。
咲き出したばかりの綺麗な青が輝いている。

雲の晴れ間から見る目国内岳が大きく凛々しい。


目国内岳

 

7合目付近からは、雲が切れたニセコ連峰の山並みが朝日に映えて美しい。
しばし足を止め見入ってしまう。
ニセコアンヌプリ、チセヌプリ、シャクナゲ岳、山々が創る陰影がなんとも言えない風情を見せている。
大空に筋を描く秋雲模様も美しい。


朝日に映えて美しく並ぶニセコ連峰と羊蹄山

 

8合目を過ぎると目国内岳山頂部の特徴でもある大岩が目立ち始め、それまでの穏やかな雰囲気が全く異なり男性的な厳ついものに変わってくる。


大きな岩が目立ち始める。

 

大岩累々

やがて大岩が積み重なった山頂の王冠部分を攀じていく。
大きな段差に苦戦するカミさんを引っ張り上げること数度、しつこい雲がまとわりついて離れない目国内岳山頂に到着だ。

目国内岳山頂
大岩が積み重なる山頂から羊蹄山を望む

 

風が冷たく寒いぐらい、大岩の陰に風を避け、しばし休息だ。
甘いゼリーやドライフルーツが美味しい。

山頂で
山頂にて

 

雲のまとわりつく山頂も良い感じだが、やはり晴れている方が気分は良い。
南西から北西にかけては雲が切れ、はるか遠くに狩場山が見えている。
雷電山から岩内岳に続く山並みがクッキリ見え、岩内の市街や日本海も眺めることが出来た。

狩場山
南西方向の景観

 

湿原の花達

時間はまだ8時半だ、予定通りパンケ目国内湿原を訪れ岩内岳まで行くことにする。
湿原までは標高差約250m木を潜り跨ぎながら、次第に泥濘む道を下っていく。

ゴゼンタチバナに比べると二回りも大きいウラシマツツジの実の存在感が大きい。

ウラシマツツジ
ウラシマツツジの実

 

クロツリバナの2〜3cmはある大きな実が目立っている。
ツリバナの実が地面にいくつも落ちていて、何の花かと騙される。

クロツリバナ
クロツリバナ

 

ハンケ目国内湿原に降りてきた。
このところの雨の影響か、水が多く靴を濡らさずには歩けない。
ままよ! と強行突破だ。

多くの花は終わっているが、ウメバチソウやイワイチョウ、ナガボノシロワレモコウ、タチギボウシなどが名残惜しげに咲いていた。

ウメバチソウ
ウメバチソウ

 

湿原には大きな池ができていて水草が漂う風情はなかなかのもの、水に濡れなければ腰を下ろしてゆっくりしたい気分だ。
オタマジャクシやイモリなのか良く分からないが水中にウジャウジャ。
寒さに向かう時期、果たして生き残れるのだろうか?

(エゾサンショウウオの幼生なのだそうです。教えてくださったSさん、有り難うございました)

湿原の池
湿原の池

 

水浮かぶ湿原を横切り、しばらく標高1000m位の山腹をトラバースしていく。
この付近も結構花がまだ咲いていて楽しませてくれる。

イワイチョウ
イワイチョウ

 


すでに旬は過ぎているが、タチギボウシの群落も散在していた。


タチギボウシの群落

 

エゾカンゾウも夏の名残を惜しむかのようにポツリポツリと咲いていた。


エゾカンゾウ

 

ハイオトギリやコガネギク、チシマフウロの姿は、まだ沢山見られた。

ハイオトギリ
ハイオトギリ

 

そしてアヤメがきれいな花を見せている。
やや色の薄いアヤメが幾つも、葉の幅が約2cmと広かったのでヒオウギアヤメなのかも知れない。
カミさんは「イチハツ」という生け花に使う花に似ていると言うが、どうなのだろう。

アヤメ
アヤメ

 

いずれにせよ湿原から暫くの間、予想外に花達との出合いを楽しめ嬉しかった。

 

お久しぶり!

やがて岩内岳と雷電山を結ぶルートに出会う。
カミさんは未踏の雷電山に行きたそう、だが近そうに見えて実際は結構遠い。
また別途計画しようと今回は予定通り岩内岳へ。

合流地点から僅かな登りで、長らくご無沙汰だった岩内岳山頂だ。
「お久しぶり!」山頂標識にタッチする。

眼下には岩内の市街地や港が、遠くに積丹の山々が手に取るように見えている。

岩内市街
岩内市街地と積丹の山々

 

南側には雷電山や幌別山にたおやかな稜線が伸びている。

雷電山
雷電山に続くたおやかな稜線

 

そして歩いてきた目国内岳もしっかりその姿を見せている。


歩いてきた目国内岳

 

優しい日差しの中岩内岳の山頂でのんびり湿原での花達との出合いや岩内出身の木田金次郎の絵、料理旅館のことなど、取り留めのない話に盛り上がり時を過ごす。

7年ぶりの岩内岳で写真に収まり、元来た道を引き返す。

記念写真
7年ぶりの山頂で

 

白花のリンドウ

雷電山への稜線と別れ、ふたたび花を楽しみつつパンケ目国内湿原へ戻っていく。
岩内岳側から見ると、山間の高層湿原らしいとてもよい雰囲気を醸し出している。

目国内湿原
良い雰囲気のパンケ目国内湿原

 

湿原からは結構真面目な目国内岳への登り返し、疲れも出てきて思うように足が進まず休み休みだ。

目国内岳山頂付近まで戻ると、山頂の大岩から10人以上の人の頭が見え隠れしている。
混み合っている狭い山頂に再び行くのはパスして、そのまま下山にかかる。

6合目付近をエゾオヤマリンドウを眺めつつ降りていたら、「あったわ、白花のリンドウよ」の声。
見るとたった一輪、アルビノ種の花が。

「よく見つけたね、全然気づかなかったよ」 早速写真撮影だ。


エゾオヤマリンドウ


白花には違いないが、純白というより花弁の斑点が少し気になる花ではあった。

白花のリンドウ
白花のエゾオヤマリンドウ

 

少し角度を変えて、やっぱり白は良いな。

白花のリンドウ
エゾオヤマリンドウのアルビナ種

 

今年は幾つもの山でアルビノ種の花を見ることが出来た。
いずれも偶然見つけたもの、幸運だったのだろう。
これからも周囲の状況に気をつけて見逃さないよう歩きたい、そう思った。

 

見納め

白花に元気をもらい、前目国内岳に戻ってきた。
展望はここで見納めだ。

最後の休憩を取りつつ、展望をもう一度堪能する。

羊蹄山に雲がかかりだしているがニセコ連峰はしっかり見えている。
徳舜瞥山や無意根山も遠くに確認でき、しばらくぶりの大展望だ。

ニセコ
ニセコ連峰の景観

 

そして目国内岳の姿も見納めだ。良い山行をありがとう。


目国内岳、 前目国内岳から

 

そして岩内岳と海のコラボレーション。

岩内岳
岩内岳(左) と 岩内市街地

 

素晴らしい眺望を満喫し、見通しのない道を淡々と下る。
登山口には2時半に着き、近くの鄙びた新見温泉で汗を流して帰路についた。

初秋の気配を感じつつ、透き通った大展望を楽しめた山行であった。

 

 

オジロワシ歌壇

 

・山道に記憶の欠片 拾い来て
       目国内岳の風に吹かれる

・湿原にささやかな風 生まれきて
       梅鉢草は陽射しと揺れる


 

 

 

 

2004.8の目国内岳へ
2007.10の岩内岳へ

 

 

 

Homeへ
Page Topへ
次に進む

 

 

 

 

 

 

 

inserted by FC2 system