アポイ岳から見る日高主稜線の山々
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アポイ岳
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朝5時過ぎに自宅を出て一路日高へ、さすがに平日の朝は車も少なく快適なドライブだ。
途中コンビニでコーヒーブレイク兼朝食、最近はコンビニで比較的美味しいコーヒーが飲めるようになったのは嬉しい事だ。8時過ぎには登山口であるアポイ岳山麓自然公園に、ジオパークに指定され増々施設整備が充実したようだ。
出発準備をし入山届を書くと、今日の一番乗り。
この時間でトップバッターとは花の季節には考えられないことだ。急ぐ山行ではない、のんびりキタゴヨウマツやエゾマツの林を進んでいく。
紅葉はまだの様子で色が変わり始めたという感じ。
それでも幾つかきれいな紅葉した葉が朝日に透き通って美しい。
紅葉も始まっている
樹林を抜け5合目に出ると頭上は抜けるような青空、色変わりし始めた山肌のアポイ岳がスッキリした姿を見せている。
5合目からのアポイ岳山頂部
初夏から夏にかけて花でびっしりの尾根道も今はクワガタなどの名残り花が時折咲いているだけ。
アズマギクやスミレの葉が岩の隙間にたくさん生えている。7合目の馬の背付近にはアポイマンテマやキンロバイが残り少なくなった花を見せている。
思ってもいなかっただけに「まだあったんだ!」と嬉しい。
アポイマンテマ
キンロバイも少なくなった花を一生懸命見せている。
満開時の黄色く目立つ様子が目に浮かぶようだ。
キンロバイ
そしてハマギクが清楚な姿で幾つも咲いている。
この花を見ると震災後の東北を旅した時を思い出す。
大津波なにするものぞと、可憐な花を咲かせ人々を元気づけていた花だ。
ハマギク
振り返ると日高の海岸線が美しい曲線を描き、青く輝く海の色とマッチして心がなごむ。
七合目付近から見る海岸線
期待していなかっただけに花達のお出迎えは嬉しい限り。
たっぷり時間を使い楽しみながら足を進める。目の先にはアポイ岳山頂へ続く尾根、山頂から吉田岳へ続く稜線が私達を待っている。
山頂へ続く尾根道と山頂から吉田岳に続く稜線
その時、淡い薄紫の花が一輪。眼に飛び込んできた。
マツムシソウである。正確にはエゾマツムシソウと言うのかもしれない。
たった一輪、待っていてくれたかのように咲いている。「超嬉しい!」
カミさんと一輪を取り囲むようにして眺め、愛で、褒め、煽てる。やはりアポイ岳は花の名山なのだな〜。
エゾマツムシソウ
ゆったり過ごしていると5合目の小屋の鐘がけたたましいほど鳴り、甲高い声が聞こえ始めた。
子どもたちの声、もしかすると地元の子供達の登山遠足なのかもしれない。巻き込まれないうちに登っておくことにするかと山頂を目指す。
馬の背を振り返る
山頂部の山肌は大分色づきが良くなっている。
もう少しで全山紅葉が楽しめるだろう。
色づきだしたアポイ岳山頂部
アポイ岳山頂を素通り、吉田岳へのコルへと降り始める。
すると目の前に。
眼前に広がる日高主稜線の山々
日高主稜線の山々がクッキリと浮かび上がっている。
中央左に明日登る予定の神威岳、鞍部を挟んで右側にソエマツ、ピリカヌプリ、トヨニ岳などが・・・。
神威岳の左にはペテガリは重なりあって不明瞭だが、ヤオロ、そして1839峰、離れてイドンナップがズラリと並んでその勇姿を見せている。「イヤ〜! 凄い」
なんて素晴らしいんだという思いと、今日神威岳に行っていればもっと感激したかも・・・、という思いが交錯する。もう足は完全にストップ状態。
どっかり腰を落ち着けて二人で山座同定を楽しむ。
吉田岳の右側には楽古岳、広尾岳から豊似岳までが、こちらも負けずとズラリ勢揃いだ。
紅葉模様の吉田岳と左奥にピンネシリ
正直、これほど素晴らしい大展望に恵まれるとは思ってもいなかった。
2週続けて、北と南から日高山脈の展望を楽しめたのだ。ラッキー!
嬉しさを噛み締め、吉田岳とのコルへと降りる。
岩がゴロゴロしたコルまで降りると、「ピッ! ピキッ!」と言う声。
ナッキーだね。と言うとカミさんの足が止まった。二人の四つの目で岩場を探す。
「居た!」「どこ?」「あそこの二つの岩の手前の尖った石の上」「居たわ」登山道脇の岩に腰掛けてテコでも動こうとしない様子でナキウサギを見守っている。
でも距離が20m以上あり、残念ながらコンデジでは写真にならない。近くの岩場にピンクの花が咲いている。
アポイミセバヤである。
イワベンケイのような葉が紅葉して赤くなっている。
アポイミセバヤ
タデ科であろうか、紅葉した葉が美しい小さな白い花も幾つか見られた。
タデ科の花かな?
可愛い〜!と20分近く、ナッキーを探し眺めていたカミさんも満足した様子。
もう吉田岳には行かなくてもいいわと腰を上げた。
もう大満足
アポイ岳に戻ると、100人近い小学生たちが何組ものグループに分かれて登ってきている。
聞くと浦河小学校の生徒さんたちの登山遠足とのこと。足の強そうな子たちは競い合うように登ってきては駆け下り、太った子供は励まされ辛そうに歩いている。
引率する先生方や付き添いの父兄も大変だ。そんな子どもたちに声をかけ、話をしながら交じり合って下っていく。
まるで孫と遊んでいるみたいな気分だ。5合目からは子どもたちに先行し下山、アポイ山荘で入浴と昼寝をしてカムイ山荘へと向かった。
展望を期待して訪れた秋のアポイ岳、日高主稜線の山々の大展望を満喫し、花も紹介したほかゼキショウやヤマハハコ明るい赤のワレモコウなど思いがけず多くの花が楽しめ大満足の山であった。
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