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富良野西岳
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北の峰登山口からは登山道に従って直登しても、スキーコース沿いに斜上しても稜線まで大差ない。
北の峰登山口
道は背の高い笹の刈分道、良く手入れされた道は稜線まで視界は得られないが歩き易い。
15分ほどで稜線に出ると、樹木の少ない笹の道。
視界の良い所が幾つもあって、大展望に元気を貰いながらゆったりした気分で歩ける気持ち良い道だ。
十勝連峰や富良野市街地の展望を楽しみながら
晴れの日が続いているせいか、やや霞がかかっている展望。
チョッピリ残念な気がしないでもないが、これで不平を言っては罰が当たるだろう。山座同定しながらの稜線歩き、道草ばかりでなかなか足が進まない。
花は笹の刈分道なので種類・量ともに少なく、トリカブトとヨツバヒヨドリが目立つぐらいだ。
その中で一群れ、淡いピンク色のトリカブトが印象に残った。
淡いピンク色のトリカブト
ヨツバヒヨドリは所により大群落を作り、まるで花壇のようだ。
一面のヨツバヒヨドリ
嫋やかな稜線をのんびりゆったり楽しみながら歩くこと1時間45分、富良野西岳の山頂へ。
山頂直下にある小さな花畑は大半の花が終わっていたが、イブキジャコウソウの良い香りが漂っている。山頂からは芦別岳の姿が大きく圧倒的だ。
夕張中岳の鋭く尖った山容も見事なものだ。
山頂から望む芦別岳(左)と夕張中岳(中央右) 右は布部岳
十勝連峰はやや霞んでいて、日差しとともに発達した雲に覆われかけている。
翌日登る予定の美瑛岳も美瑛富士も雲に隠れている。
雲に覆われだした十勝連峰と富良野市街
昨年頑張って旧道から芦別岳山頂を極めたカミさんは、夫婦岩、北尾根から続く芦別岳をじっと眺めている。
きっと思い浮かぶ記憶を噛み締め、新たにしているのだろう。
手にした短歌ノートも開いたままだ。
芦別の記憶新たに
富良野西岳山頂で小1時間のんびり過ごす。
下山は来た道を戻っても良いが、沢を降りるのも面白いと思い立った。
何度か渡渉はあるが、今の時期水量も少なく問題ないはずだ。だが、この判断が大変な間違いであることを後ほど身を持って味わうことになろうとは・・・。
山頂を後に、四線川の沢へと降りていく。
山頂からしばらくは東側がスッパリ切れ落ちているので注意が必要だ。
富良野西岳山頂を後に
整備された北の峰からの稜線道とは違い、荒れ加減の道を急降下。小1時間で沢へと出会う頃には足がガクガクだ。
これで後は楽勝だと思ったのが大間違い。沢の水量は多くなく、渡渉も飛び石伝いに行けば濡れることもないだろう。
ところが、渡りだしてとんでもない事を思い出した。石が、猛烈に滑るのである。
足を慎重に乗せても、ヌルッ〜と滑ってしまう。
これまでの富良野西岳登山では地下足袋や沢靴で登っていたから滑ることを忘れていた。今更止めて、登り返すわけにもいかない。
意を決して渡りだす。
ストックを最大活用してバランスを保ち渡ろうとするが危なくて仕方ない。何度か滑って気が付いた。
水中の石は滑らない。
濡れるの覚悟で浅そうな所をジャブジャブ渡ると安全だ。でも出来れば濡らしたく無いから石に乗っては滑って転ぶ。
小さな沢だけど、とんだ目に合わされた。
石は異様に滑る
酷い目に合わされ、ようよう砂防ダムの登山口へ降りてきた。
ビショビショになったズボンと山靴を引きずりながら、すごすごホテルの駐車場へと戻る。折角の山頂からの素晴らしい展望も、思いもしなかった沢での出来事にすっ飛んでしまった感の富良野西岳なのでした。
濡れたズボンのまま、吹上温泉の白銀荘へ。
白銀荘は登山者の利用が多い、自炊素泊まりの宿。
温泉もたいそう気持ち良い。宿泊を申し込み、二段ベットの部屋を指定されゆっくり温泉を楽しみ、乾いた服に着替えて寛ぐ。
この宿は自炊用具や冷蔵庫、レンジなども完備され、とても利用しやすくお安い。ただ基本が相部屋なので、他の人のことも考え迷惑をかけないよう互いに気持ち良く使いたい宿である。
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