2015年の5月は夏のような陽気になったと思えば雪がちらつく寒さに逆戻りするなど、寒暖の差が大きい不安定な日が続いている。
ここ数日、関東以西では真夏日になるなど耐え難い暑さだそうだが、北国は日中でもストーブを焚く寒さだった。
ようやく日差しが戻り平年並みの気温になるというお天気に誘われ、日高の新冠にある判官館に行ってみた。
花も楽しめるし、膝のリハビリにも丁度良いと思ったのだ。判官館の判官って義経と関係あるの? と思われる方も多いかも・・・。
その通りで、鎌倉幕府創設期に兄・源頼朝と仲違いして追われ、かつて庇護を受けていた平泉に逃げた義経は藤原泰衡に衣川で1189年に討たれたとされている。
ところが弱いものびいきと言うか判官びいきと言うか、室町時代頃「義経は討たれたのではなく蝦夷地へ逃げ延び、さらには蒙古へ渡ってついにはチンギス・ハーンになった」と言う「義経不死伝説」「義経北行伝説」が広まった。そのためか、北海道の道南や胆振日高には義経伝説に纏わる所が幾つもある。
日高の判官館もその一つ、陸奥奥州から船で逃げてきた義経が流れ付き上陸した所なのだそうです。
判官館の由来 (判官館に設置されていた由来看板から)
もっとも現在は判官の名前だけが残る森林公園としてキャンプや行楽に楽しまれており、平取にある義経神社の方が資料館などもあり「義経伝説」などの詳細を見聞きすることが出来る。
判官館の駐車場から公園内の設けられた遊歩道を気の向くまま花を探し歩く。
さすがに5月でカタクリなどの早春の花は実をつけ出し残っている花も夢のあと。
ニリンソウとサンリンソウが咲く樹林帯に南日高特産と言っても過言ではないオオバナノエンレイソウが大柄な白い花を咲かせている。
全体に少し最盛期を過ぎた感じだが、まだまだ純白の花が美しい。
オオバナノエンレイソウ
「やっぱり先週だったね〜!」など会話を交わしながら、のんびりゆったり樹林の丘を散策する。
南斜面に出ると薄いピンクのツツジが綺麗に咲いていた。
とても上品な色彩が目に優しい。
優しい色のツツジが見頃
優しく明るいツツジが映えて我が家の姥桜も少しは若返って見えるかな?
緩やかに降った所に風を遮る平らな所があり八重の桜が待っていたかのように見頃を迎えていた。
こんな所を独り占めしては申し訳ないような気分ではある。
「この花の咲き始めを塩漬けにすると桜湯にピッタリだそうよ」
「桜餅も良いな〜」
腰を下ろしてお花見気分だ。
思わずお花見気分でお弁当
草地にはスミレやサクラソウがあちこちにきれいな花を咲かせている。
サクラソウ
花を楽しみながら緩やかなアップダウンを何度か繰り返すと、判官岬へ。
樹林帯で遮られていた視界が一気にひらけ、広々と広がる太平洋、新冠の街並みが視界に飛び込んできた。
判官岬から新冠の街並み
真下を通る真っ赤に錆びた日高線の線路、もしかしたら二度と列車が走ることは無いのかもしれない。
高さ50mほどの岬の上からは切り立った断崖が予想以上の迫力で海に落ち込んでいる。
判官岬の断崖
岬沿いに歩く道はサンリンソウ、オオバナノエンレイソウ、サクラソウで埋められている。
オオバナノエンレイソウの群生地は他にも幾つかある、判官館のも密度は然程濃くはないけれどなかなかのものだ。
サクラソウとオオバナノエンレイソウ
ただ花の密度が然程濃くないので、写真に撮るのは難しい。今回は全く様にならなかった。
そんな中からの一枚。
オオバナノエンレイソウ群れ咲く斜面
道端に小さなリンドウが咲いていた。
多分ハルリンドウ、小さく可憐で可愛い。
色も控えめで優しく、愛おしささえ感じられる花だ。
ハルリンドウ
木立の間から海岸線がうねうねと伸びているのが見えている。
打ち寄せる波の形が面白い。
自然が創る清々しさのようなものを感じられ一幅の絵のようだ。
判官館からの海岸線
判官館の花と景観を堪能し帰路の途中、「確かこの近くにクマガイソウを大切に育てているところがあるのよ」とカミさん。
見逃す手はないと立ち寄ってみることに。訪ねた先では十数株のクマガイソウが大事そうに育てられている。
独特のうちわのような葉が光を浴びて輝いているが、肝心の花はまだつぼみ。
大きく膨らんでいてあと数日という感じなのだ、残念!
クマガイソウ
少し離れた所に数株が育てられている。
見に行くと、開ききってはいないけれど咲いている花が一輪。
「ああ、こんな花だったな〜」昔関東で何度か見たことを思い出した。
クマガイソウ
似た花にアツモリソウがある、北海道でもレブンアツモリソウが有名だ。
アツモリソウが赤紫や赤、白など派手やかな色の花が多いのに対して、クマガイソウは黄緑っぽい地に紫の斑点がある花だったと記憶している。
今回見られたクマガイソウはまだ開花しきっていなく、詳細に観察はできなかったけど貴重なものには違いない。
大事に育てられ、上手く繁殖してもらいたいと強く思った。
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家の周辺での膝のリハビリ散歩は地道にコツコツ続けている。
5月になり寒暖の差は大きいものの、家々のお庭の花も数を増やしている。
園芸種が圧倒的に多く、チューリップなど色彩豊かで派手なものが多い。そんな中、イカリソウが光にピンクの花弁を輝かせて美しい。
浮かれて舞う踊り子のイメージで遊んでみた。
楽しげに舞うイカリソウ
クリンソウも園芸種に負けない鮮やかさで自己を主張している。
まだ小さい花だったが、がんばれよと応援したくなる。
クリンソウ
知らない小さな花を見つけた、直径精々5ミリほどである。
お聞きしても雑草だろうとのお答え。
それにしてはとても可愛く気品に満ちている。
「雑草という草はない」と昭和天皇はおっしゃった。
またひとつ、宿題ができたな。
路傍の花?
木立の中も季節は進み、新芽がきれい。
イヌエンジュの新芽が朝日に透けるように輝いて清々しい。
イヌエンジュの新芽
キジムシロが黄色の花を付け始めた。
我が家の周りでは肝心のキジ(雉)が少なくなって、キジの筵はあっても主が居ないから可哀想。
キジムシロ
フイリミヤマスミレも特徴ある葉を見せて花を付けている。
フイリミヤマスミレ
これからの季節、散歩道の花達がどう変わっていくのか?
楽しみではある。