膝の状態と相談しながら強弱を変え距離を変えながら毎日リハビリに励んでいる。
単調で同じことの繰り返し、正直嫌になる時も。
そんな時は話し相手にカミさんを誘い、近隣の町へ場所を変えて気持ちを新たに頑張っている。一番良いのは山々の景色を眺めることだ。
再びあそこを歩くのだ! と思えばやる気が湧き出してくる。無心に続けて、夏の終わり頃にはなんとか山歩きを楽しみたい。
それだけが今の望み、希望なのだ。
自宅近くに精々20〜30mほどの緩やかにうねる丘と湿地が入り組んでいる地区がある。
平坦な所よりリハビリの強度が上がるだろうと、何回か足を運んだ。4月中旬頃まではフクジュソウ位だった枯野も、緑がいっぱいになりアズキナが食べごろに育っている。
そんな草地に点々と紫色が散らばっている。
スミレである、珍しくもないタチツボスミレだが今年の初お目見え。 懐かしい。
タチツボスミレ
カミさんが夕餉の一品にとアズキナを採っている間に、斜面の昇り降りを繰り返しながらスミレたちにご挨拶。
少し歩いているうちに色の薄いスミレを見つけた。
葉が尖って葉柄が長い、花は極く薄いピンクで白に近い。
ヒナスミレ
ニョイスミレではないし、ヒカゲスミレとも違う。
帰って調べてみたら、ヒナスミレと言うらしい。
気品があってとても可愛らしい。私はスミレ科の花の見分けが苦手、どの花を見ても一応にスミレで通してきたからだ。
今年は反省して少しはスミレの種類を勉強してみようと思う。
丘を降り谷間へ行くと湿地に続く小さな流れがありクルマバソウなどに混じって、赤い花が咲いていた。
間違いなくムラサキケマンだが、色が紫というより赤・紅に近い。
それが逆光で透き通るように鮮やかに輝いて綺麗だ。
ムラサキケマン
写真を撮っていると、「ひゃ〜!」と言う叫び声。
セリを採っていたカミさんが足をずぶりと泥に沈めてしまったのだ。
先週の自分自身を見ているよう、「大丈夫?」などと言いつつ思わず内心ニヤリとしてしまった。丘をぐるりと巡って、お気に入りのキタコブシの大木のところへやってきた。
先週は咲き始めだったコブシの花も今が最盛期、少し経つと何ともだらしなく花びらが垂れ下がってしまう寸前だ。
キタコブシの花
同じ科の木蓮は整然と真上を向いて咲くのに、キタコブシはアチャコチャ好き勝手な方向に咲くのはなぜなのだろう?
花の咲き始めは綺麗だが、咲くと途端にだらしなく垂れ下がる。
少々自堕落な性格なのかも知れないな、人のことは言えないけれど・・・。
キタコブシ
近くで見れば自堕落でも、遠目で見れば何とも姿形の良い素敵な北国の花だと思う。
私達はコブシの木が大好き
近隣の長沼町や栗山町には手頃な里山があり、遊歩道も程よく整備されている。
適度な緩やかな昇り降りは膝に負荷も掛けられるし、雑木林の中を歩く気持ちよさも味わえる。丁度新芽の伸びる季節、新緑のグラデーションも美しい。
そんな里山をのんびり歩いてみた。
里山の新緑
木々による新芽の色が黄金色から深緑まで微妙に異なり、その中にエゾヤマザクラとキタコブシのピンクと白が混じりあっている。
何とも心休まる景観である。雑木林の少し開けた草地には、センボンヤリが咲いている。
葉の形が面白く、春と秋に違う花を付けるのも面白い。
センボンヤリ
日陰の少し湿った斜面にヒトリシズカが沢山咲いている。
これでは「ヒトリシズカ」ではなく「かしまし娘」では? と思うほどの群生ぶり。濃い緑の厚みと光沢の有るギザギザの葉、白いブラシの花が特徴だ。
ヒトリシズカ
同じ仲間に「フタリシズカ」があるが、ヒトリシズカの方が個性的で何となく惹かれる花である。
ヒトリシズカ
今の時期、里山の林内はニリンソウで飾られると言っても過言ではない。
濃い緑の葉が絨毯になり、その上に純白の花達が着飾っている風情があちこちに出現する。
ニリンソウ
花弁が薄いピンクや薄緑に染められている花もあり、それぞれかわいい。
でも私にとっては、濃い緑に純白の花がニリンソウのイメージだ。
清楚で気品もあるニリンソウ
ニリンソウの群れに囲まれて、お大師様が座って居られる。
お大師様が北国にお出でになったことはないだろうが、ニリンソウの花に囲まれ幸せそうなお顔をしておられた。
ニリンソウとお大師様
3月から北上を始めた桜前線も例年通り5月になって北国にやってきた。
里山も町もエゾヤマザクラの花であふれている。若い頃はソメイヨシノやオオシマザクラが桜らしいと感じていたが、今はエゾヤマザクラの赤みの強い花がとても好きだ。
エゾヤマザクラの花
日本中、桜の花がある所には人が集まり笑顔が溢れる。
やはり桜は日本の花、日本人の心の象徴なのかもしれない。
エゾヤマザクラ
散歩をしていて、ご近所のお庭を覗くのも日課になってきた。
花泥棒とか変な爺さんとか思われないようさり気なく、じっくり見たいときは声をかけお許しを得てからだ。
園芸種のお花は鮮やかで可愛いが、やはり私の目を惹くのは山野草。白花のエンレイソウが植えられているお庭が増えている。
もしかしたら園芸種なのかもしれないが、オオバナノエンレイソウに限りなく似ているようにみえる。
白花のエンレイソウ
ワスレナグサの濃い水色の花が、殊の外可憐で可愛くきれい。
川沿いに咲いている花より草丈が短いよう、これも園芸種なのか?
ワスレナグサ
白のオキナグサが咲いていたお庭に原種と思われる濃い紫の花が咲いていた。
我家の庭にもあるのだが、紫がより深く濃い感じである。
オキナグサ
そして余り見かけない花が、これ。
葉が八つ手のようなので「岩八つ手」、白い蕾の先が赤いので「丹頂草」とも言われているそうだ。
中国北東部や朝鮮原産で日本では園芸種として売られているとのこと。
イワヤツデ
そして山ではもう少し先に咲き始める「シラネアオイ」が庭では花を付け始めている。
春の花というより、初夏の花の季節が訪れ始めたという感じである。
シラネアオイ
もうすぐ春の花の季節は終わりを迎える。
リハビリ散歩の別の楽しみを見つけて、ひたすら励んでいこうと思う。
里山をなんとか歩けたのだから膝と相談しつつ、山の雰囲気を感じつつ麓を歩くのも悪くないかな?