水面に映る木立の影も面白い
北大演習林
苫小牧市にある北大演習林の一般開放地区を歩いてきた。
苫小牧の北大演習林は苫小牧市から樽前山の麓まで広がる約2700ヘクタールの広大な森で、森林生態系に関する様々な研究が行われているそうだ。
そのうち苫小牧市街地のすぐ北側を流れる幌内川のほとりに研究庁舎などがあり、その周囲に設けられている生態博物園が一般に開放されていて自由に歩いたり自然を感じたり出来るのだ。
幌内川と言っても小さな沢ほどの小さな川で、クネクネと蛇行し幾つもの池を作っている。
周囲は緑が豊か、散策路も縦横に整備され、あたかも自然の中に浸かっている気分を味わうことが出来る。先日ニセコで熱中症の初期状態となりすっかり自信をなくした私、川沿いの木洩れ陽の中をゆったり歩いて暑さを吹き飛ばそうと思ったのだ。
緑に染められ
研究庁舎近くに駐車場もありトイレなども整備されている。
庁舎で研究資料や案内ガイドなどを見られるというので行ってみたが、日曜日はお休みだった。気持ちの良い芝生広場を横切り、幌内川の上流方向へ歩き出す。
薄暗い林の中、一人の男性が傍らに三脚を立ててじっと座っている。
何をしているのだろう。 エゾリスでも現れるのを待っているのかな?木々に囲まれて実に気持ち良い。
自然そのままの樹、そっと人の手が入っている木々、小さな沢音を立てて流れる川、木々の影を映す池、鳥のさえずり、全てが気持ちを癒してくれる。
緑に染められた中に一本だけ赤い葉の木が
小さな木橋で幌内川を渡ると、まさに緑に染められたような池が。
その緑を切り裂くようにカルガモの親子が泳いでくる。
緑がゆらり揺らめき、めまいを起こしそうな感覚である。
緑を切り裂いて
精々1kmほどの川沿いに散策路は付けられているのだが、鬱蒼とした所あり、木洩れ陽の道あり、燦々と陽射し輝く池があるなど、様々な表情が見られる。
火山灰の川床を舐めるように流れる澄んだ水、木々の緑が水に映り全てが緑に染まっているかのよう。
思わず足が止まり、見つめている私がいる。
緑の水辺
枯れ木
自然のままの中を歩く散策路には、生命の息吹を感じるものもあればその逆もある。
「枯れ木も山の賑わい」と言うけれど、枯れた木の佇まいには心打たれるのも多い。
そんなことを感じさせる景観が随所に。川の中に横たわる苔むした倒木、倒木更新ではないが若草に我が身に残った栄養を与えて育てている。
養分を与え切った部分は朽ち果てて崩れ落ち分解されていく。
若草は周囲に比して、スポットライトを浴びたように一段と生き生きしている。
倒木
自らの命と引き換えに他を活かす木あれば、精力を使い果たし白骨化した躯を晒している木もある。
生き抜くために最後の最後まで死力を振り絞った姿なのであろうか。
本人はともかく見る者にとっては、見るも無残! な姿ではある。
白骨化した姿を晒す枯れ木
生き物
ゆっくり観察しながら一般開放地域のハズレまで約1時間半。
そこには比較的大きな池がある。ベンチに座り休んでいると、亀が何匹もいるのに気がついた。
甲羅の長さが30cm以上ありそうな大きな亀。
ふと見ると、細い倒木の上に亀とカルガモが乗っかっている。
互いに無視しあっているような、気にしあっているような、微妙な感じが面白い。
亀とカルガモ
生き物といえば、幌内川沿いの踏み跡を歩いていて対岸の暗がりに、泥をかき混ぜたような所があった。
鹿のヌタ場に似ていると思っていると、動物が二匹いるのに気がついた。カミさんに教え、静かに観察する。
「な〜に? カワウソみたいだけど・・・」
「カワウソって北海道に居るんだっけ? でもイタチじゃないしな・・・」7m位離れていたから細部は良く分からないが、泥をなすりつけたのかヌメッとした肌、真っ黒というかこげ茶色。
頭は小さく、スマートな体型で体長は座った状態で50cm位、もう一匹は少し小さく40cm位か。
首がやや長く、尻尾も長い。写真と思ったが薄暗い場所で私のカメラでは三脚がなければとても無理。
二匹ともしばらく私達をじっと見ていたが、30秒ほどして草むらへと姿を消した。
何なのか、全く分からない。
カピパラやヌートリアという動物とも違うと感じた。嘘のような真のお話でした。
あれは何だったの?
幽玄の世界
そのまま帰るのは勿体無いと散策路をもう一度引き返し、緑に染まる幽玄の世界を再堪能して戻ることにした。
幌内川の流れは緩やかで鏡のように木立を映している。
その静けさに引き込まれ、見とれてしまう。
水鏡、静寂さを感じて頂けるかな・・・
小さな岩が顔を出し、瀬になっているところもある。
撮影時間を長くして撮りたい風景だったのに、三脚を持ってこなかったのが悔やまれる。
岩の苔も美しい
出発時に見かけた林の中に座っていた男性、やはりエゾリス狙いのカメラマンだった。
彼の周囲をエゾリスが4・5匹走り回っている。
餌付けをして写真を撮っているのだ。エゾリスのかわいい写真を撮りたいと言う気持ちは私にもあるが、餌付けしてまでという気持ちが強い。
よく見るエゾリスの写真はああして撮っているのかと思うと、複雑な思いである。良い写真って、自分自身が撮る終わって気持ちの良い後悔しない写真じゃないのかな?
夏の花
8月に入り、夏の花も終わりに近くなってきた。
我家の庭に私の好きな花ヤマユリがようやく咲き出した。花も大きく豪華で素敵だが、香りが柄にも言われぬ素晴らしさなのだ。
カミさんの故郷から球根を持ってきて栽培したのはかれこれ20年前。
その香りに惹かれて、ご近所から分けてほしいとのご依頼が。
今ではご近所中からヤマユリの良い香りが漂っている。
ヤマユリ
庭のハーブが植えられている一角に変わった花が咲いているのを見つけた。
聞くと、オレガノと言うそうだ。
触るとハーブらしい良い匂いがする。
ハーブの優しい形と淡い色に惹かれてしまった。
オレガノの花
そしてギボウシ、珍しくもなんともない花だが、咲き始めはやはり美しい。
ギボウシ
オジロワシ歌壇
・池の面は鏡のごとし映さるる
木立に見入り木立を仰ぐ・池の面のいきおう緑を親子鴨
ハの字ハの字の風立て泳ぐ