紅葉狩り
2015年の秋は全般に気温が低めで、秋の深まりも早い感じ。
美しい紅葉には昼と夜との寒暖差が大きく影響すると聞くが、今年はどうなのだろう?毎年楽しみにしている大雪など山々の紅葉巡りは、膝のリハビリのため断念した。
飛び交う山仲間たちの情報交換メールにも紅葉情報はあまり無かったみたい。そうしている間に近所の公園の木や街路樹が色づきはじめ、各地から紅葉祭りのお知らせや仲間たちから観楓会の誘いなどが届くようになった。
年に一度ぐらいは美しい紅葉を楽しみたい!
そんな思いに駆られ晴れた一日、紅葉狩りに行ってきた。行き先は近場の夕張周辺、滝の上公園を手始めとしてシューパロ湖から桂沢湖を巡り、三笠そしてアルテピアッツァ美唄を訪ねるというもの。
情報もなく行きあたりばったりの小旅行、果たして結果は?
夕張 滝の上公園
滝の上公園には千歳からだと高速利用で約30分、いつでも行ける距離なのだがこれまで数回しか訪れたことはない。
駐車場に車を停めると、同年輩のご夫婦が何組も。
きっと、「毎日が日曜日」の特権を活かしている人達だろう。公園は気持ち良く手入れがされ、遊歩道なども整備されている。
財政赤字からの建て直しで大変な夕張市、観光客誘致の目的もあるのだろうがありがたいことだ。
「何か買い物でもして恩返しをしなくちゃね」などと話しながら遊歩道を右回りに進むことに。千鳥橋と名付けられた夕張川に架かる赤いアーチ橋。
左手の千鳥ヶ滝、勇壮な姿がなかなかだ。紅葉の千鳥ヶ滝
紅葉と滝の組み合わせは、何処でも大体絵になる。
滝の上公園も例外ではない、紅葉自体は真っ盛りというわけではないが風情ある紅葉でなかなかのものだ。ヤマモミジの赤が目立つ、薄いオレンジから濃い赤までその色合いは豊かで変幻自在だ。
私は、色合いの変化が好きである。
色相の変化が楽しめる紅葉
橋の上から渓谷沿いの景観や紅葉を楽しむ。
モミジやナナカマドなどの赤色は美しさを増しているものの、ダケカンバやカツラなどの黄色がイマイチなのが残念だ。それでも千鳥ヶ滝と紅葉の景観は十分楽しめる。
千鳥ヶ滝
夕張川の渓谷を飾る紅葉
橋を渡って、川の側まで降り千鳥ヶ滝に近づいてみる。
ススキと滝のコラボレーションも捨てがたい。
ススキと紅葉の渓谷美
苦手に挑戦!
千鳥ヶ滝を満喫し、渓谷の左岸を少し歩き次いで赤い吊橋で右岸へ。
この吊橋から下流一帯を竜仙峡と言い、こちらも千鳥ヶ滝と並ぶ名所であるようだ。
ただこの時は光線の具合なのか、私の目にはあまり冴えた表情には見えなかった。橋を渡ってからはヤマモミジを主体にした紅葉の林を散策。
色の変化を見せながらも赤一色の景観を撮ろうと思うが、これが私には苦手。
一面の美しい紅葉なのに私が撮ると、赤い絵の具でべったり塗ったような見た目とは全く違う魅力の無い絵になってしまうのだ。
カメラの設定を変え、色々試してみるがうまくいかない。
上手な方に直接教えを請うしか無いと思っているのだが、チャンスがないのだ。今回もそれを分かっていながら、敢えて挑戦してみる。
これは光の濃淡が明瞭な部分の紅葉を狙って、アンダー気味に撮影したもの。
陽の当たっている紅葉を主題に
次は、逆光での一枚。
幹を黒く沈ませて、空一杯に広がる紅葉の色合いを狙ってみた。
空に広がるヤマモミジの紅葉
30枚近い紅葉の写真を撮ったが、自分の狙いに近いものはこの2枚だけだった。
写真というのは、奥が深くて難しい。
シューパロ湖
滝の上公園からシューパロ湖へ車を走らせる。
夕張市に少しはお金を落とさなくては・・・と思うものの、大夕張地区の商店は平日のためか閉まっていて人通りも閑散。
結局、素通りだった。ごめんなさいね。シューパロダムを過ぎると、新しい湖岸道路を走るようになり運転も快適だ。
しばらく快適に走った時、思わず「アッ!」と息を呑んだ。
雪をうっすら頂いた夕張岳が忽然と姿を表したのだ。
冠雪の夕張岳
白く冠雪した鋭鋒前岳と夕張岳が天を突き、シューパロ湖には山の影と水没して白骨化したカラマツ、加えて紅葉した木々の織りなす景観は、まさにヨーロッパ・アルプスだ。
札幌から撮影のために来たという同年輩の男性が、我が物のようににシューパロ湖に映る夕張岳と紅葉らを私たちに説明してくれる。
国道の設計者も素晴らしい景観に気づいていたのだろう、数カ所に駐車場が設けられていて存分に景観を楽しめるようになっている。
それら駐車場から見た夕張岳の表情をご紹介しよう。
素晴らしい景観に笑顔が広がる
湖面に夕張岳登山口へ通じる立派な橋が新設され、かつての橋は取り壊されたようだ。
明るい日差しをたっぷりと受け、湖岸の紅葉が浮き出るように輝いている。
紅葉と夕張岳
最も芦別寄りの駐車場には、かつてこの付近にあった大夕張小学校や中学校・高校の校歌やオブジェなどの碑と大夕張地区の記念碑、炭鉱犠牲者の慰霊碑などが設置されていた。
「兵どもが夢のあと」一昔前までこの辺りには多くの人達の生活があったのだな〜。
小中学生が創った水芭蕉のオブジェかな?
夕張岳と前岳が作り出す素晴らしい光景に酔いしれた。
山の中で自然を味わうことが本来だろうが、山の姿を山麓から眺めるのも良いものだ。これから更に歳を重ねれば山歩きが辛くなってくるのは自然のこと、こういう楽しみ方が増えてくるのだろうなと思わざるをえない。
そんなことを考えながら、シューパロ湖と夕張岳の織りなす景観を目に焼き付けた。
夕張岳と紅葉
三笠・達布山展望台
シューパロ湖があまりに素晴らしかったので、桂沢湖もさぞかしと期待して訪れた、でもその期待は見事に外れてしまった。
今年の桂沢湖の紅葉は残念ながら外れ年のようである。美唄に向かう途中、三笠の達布山展望台に寄ってみる。
なんでも高い所に登るのが好きな私達なのだ。
大して期待もしていなかったのだが、なかなかどうして得をした気分にしてくれる所だった。まずは芦別岳が見えたこと、山好きの私たちにはそれだけで十分なのだ。
達布山展望台からの芦別岳
カミさんにとって芦別岳は特別な思い出の山。
長く辛い旧道からダニと暑さに襲われつつ辿った北尾根、その北尾根の全容がしっかり見えている。
ため息をつきながら「良い山だったけれど、もう行かないわ〜!」には、大笑いした。
達布山展望台
この日はやや霞んでいたけど、広大な石狩平野の向こうに樽前山から札幌岳に続く山並みもうっすら確認できた。
広い平野を挟んで支笏湖から札幌へ続く山並みが (左に恵庭岳が見えている)
アルテピアッツァ美唄
美唄にあるアルテピアッツァ美唄は廃校になった旧市立栄小学校の跡地を利用し、自然と芸術との調和・融合を図った心休まる施設、私たちは何度も訪れているお気に入りの場所である。
旧校舎 (展示場や幼稚園として利用されている)
芝生と白い彫刻そして旧校舎が西洋とも日本とも言えない融合し合った風景を作り出している。
プラタナスと芝生の緑に桂の黄葉が映える
滝の上公園では黄色の黄葉が無かったが、ここではカツラが見事な黄葉を見せていた。
輝く黄色と緑のコントラストがヨーロッパかカナダのように感じられる。
アルテピアッツァ美唄は、落ち着いた雰囲気の中で華やかな紅葉も感じられた気持ちの良い場所であった。
オジロワシ歌壇
・シューパロの湖面の立木 白白と
つかの間 枝に光あそばす・我が物のように誇れる翁いて
カメラ目線の夕張前岳・滝上の紅葉の大樹みごとなり
眺めて撮って皆で褒め上ぐ