水ぬるむ

道央  2016/3/29(火)  晴れ

 


 

夕張岳
シューパロ湖と夕張岳

 

水ぬるむ

暖冬だったこの冬、3月に入ってから寒の戻りがあったものの順調に春の足音が近づいている。
朝晩はともかく晴れていれば日中は暖房を止めてもなんとか凌げるようになってきた。
ウオーキング時にも真冬には手放せなかったアウターパーカーが薄手のブルゾンで大丈夫になった。

サラサラと雪の中から滲み出ていた雪解け水も、小川の流れも豊かになっている。
よく晴れた夕方、雪もすっかり溶けた農地越しに夕張岳が淡い赤紫に染まっているのを見た。
美しいというより、魔性とか魔界という畏怖を感じる言葉が似合うオドロオドロしい姿。
それに触発されたわけではないが、シューパロ湖から眺めた初冬の夕張岳の勇姿が春にはどうなっているのか見てみたくなり、その翌日訪れてみた。

 

シューパロ湖と夕張岳

通称「石勝線樹海ロード」と呼ばれる国道274号で夕張方面へ、道路の雪はすっかり溶け夏道だ。
清水沢からシューパロ湖へ向かうと道路脇に残雪が残っている。
そしてシューパロ湖管理事務所脇からの長いトンネルを抜けると景色は一気に冬へ逆戻り。

夕張岳本峰と前岳が真っ白い圧倒的な迫力で迫り、シューパロ湖も雪と氷に覆われ真っ白だ。
「まだ、こんななんだね〜」 青緑の湖水に残雪の夕張岳と想像していた春の姿とのあまりにもの違いに驚き、ただただ見つめるのみだ。


真っ白な湖面と屹立する夕張岳

 

湖面の雪はさすがに真冬のそれではなく春先特有の色と模様を描いているが、まだまだ乗っても大丈夫な感じ。
その先に広がるカラマツなどの林の枝先がかすかに赤みを帯びて春を意識させてくれる。

想像していたのと少し違うシューパロ湖の春だが、これはこれで素晴らしい。
明るい南からの日差しを受け、峰々の陰影もしっかりして凛々しく感じられる。
「あれが前岳、あれはガマ岩、お花畑はあの辺かな?」
おしゃべりをしながらも、カミさんは短歌の構想を練り、私はレンズを交換しながら写真に時間を過ごす。

シューパロ湖にて
夕張岳の勇姿を堪能して

 

山々の表情をアップで狙ってみる。

丁度山頂部の後ろに薄い雲が広がって、山と空とのコントラストが不鮮明なのが少し残念だ。


前岳

 

前岳も本峰も流石にまだ冬の表情だ。アイゼンを軋ませながら歩かねばならないのだろう。

夕張岳
前岳と本峰(右)

 

小川の水

夕張岳見物から戻り、近くの散歩道の一つであるメムシ川と言う小川を散策。
燦々と降り注ぐ日差しを受けて、何時もだったら見向きもしない川の藻が輝いて見える。
名も生態も知らないが、感じた時がチャンスでもある。

川藻
よく見ると意外に綺麗

 

この小川で梅花藻の花を撮ったことはあるけれど、ただの藻は始めてだ。
黄緑から深緑に変化するグラデーション、今まで見捨てていたのに何故か気になった。

川藻

 

新しい芽が黄緑で古いのが茶色っぽくなるのかな?
ひっそりと静かに勢力を広げようとしているようだ。

小川の土手にはフキノトウが出始め、フクジュソウもあちこちで咲いている。
木々に目を移すと、ハンノキの新芽が赤く色づき枝先の丸い樹形が強調されている。

ハンノキ
独特の樹形のハンノキ林

 

柳の新芽も大きくなり、銀色の毛が輝いて春を感じさせる。

柳
柳の芽

 

全くの自然の中だから、明らかに春を感じさせるものは少ないし目立たないが、木々も草も待ち望んでいた春を謳歌しようと準備を始めている。
水ぬるむ そんな様子を感じながら私も春を存分に楽しみたいものだ。

 

オジロワシ歌壇

 

 

・結氷の面に黒き筋みえて
      春間近かなるシューパロの湖畔

・学校の跡地に子供のモニュメント
      雪に遊ぶかミトンが赤い

 

 

 

 

 

 

 

 

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