山陰・山陽を巡る旅  第5日目

 

伯耆大山(1709m) 、鳥取花回廊

2016.5.14(土)  晴れ


 

大山山頂
大山山頂から剣ヶ峰

 

伯耆大山 登山

今回の旅で唯一の山歩きと言って良い、伯耆大山への登山である。
夏道登山口の駐車場は土曜日とあって夜のうちからかなりの台数が集まり、朝目覚めると満車状態。
本州の山特に百名山ともなれば、休日はこのように混み合うのが普通なのだろう。
大盛況である。

御来光を山頂でと思う人達か、0200頃出発していったグループもいた。
私達も0500には起き出し、朝食そして出発準備。
0545に初の大山山頂に向け出発だ。

この日の概ねの時間経過は次の通りであった。

0545
夏道登山口  出発
0600
階段道始まる   ブナ林の新緑が綺麗
0630
3合目   ミツバツツジがお出迎え
0700
6合目避難小屋  北壁が見え始める
0730
8合目  階段が終り木道になる 
0800〜40
大山 弥山山頂  大山初登頂
0935
行者コース4合目  再び美しいブナ林へ
1005
大神山神社奥宮  大山登山の無事を御礼

 

階段 登山道

登山道に入る、しばらく道は広くかなりの部分は舗装され遊歩道でも歩いている感じさえする。
この辺りはまだ大山寺の境内というか支配地なのか、分院やお宮が登山道沿いに置かれている様子。
信仰の山だし、信者の方々はそれらの分院などにもお参りしながら登るのがしきたりなのかも知れない。

15分ほど歩くと話に聞いていた階段道が始まった。
階段道には登山道を保守する環境保護の階段と威厳や格を示すための階段があるように思う。
出羽三山、白山、神奈川の大山、石鎚山、英彦山など信仰の山とされる登山道はどこも石畳や階段が整備されていたと思うし、この伯耆大山も当然その流れを汲んでいるように感じられる。

でも大山の場合は両方の意味合いを持っているのかも知れない。
昨日目にした南壁はかなり崩壊が進んでいるようにも見え山体全体が多少緩んでいるのかも、登山口には可能なら石を山頂へ運び上げてほしい旨が書かれていた。

信仰の山の威厳と環境保護の大切さの両方を感じながら、登らせて頂くことにしよう。
ただ正直に言えば、登山者の一人として階段道は歩きにくいし疲れて辛い道なのは確かなのである。

 

ブナ林

本州の山に登る時、楽しみの一つはブナ林の美しさを感じられることだ。
東北でも越後でもブナ林の明るく透明な美しさに浸った良い思いがある、同じブナでも地域地域で幹肌などの感じが異なっているのも面白い。

大山もブナの緑が美しい、特に今は新緑の最盛期。
5合目付近まで続くブナ林が朝日を受けて明るく鮮やか、そんな新緑に包まれた山歩きを思う存分に楽しめた。

ブナ
明るい緑が山肌一杯に広がる

 

ブナの緑一色の中を登っていくと、3合目付近から所々艶やかなピンクが見え始めた。
ミツバツツジが花をつけている。
新緑との対比が強烈でとにかく目立つ。綺麗だね〜、ありがとう。

ミツバツツジ
ミツバツツジ

初の大山を十分楽しむべくゆったり足を進める、丁度1合15分のペースだ。
五合目を過ぎた所で左から行者コースが合流してくる、帰りはこれを使うつもりである。

次第に花が多くなって来る、五月中旬なのだから本州では当たり前と言えば当たり前、紫や黄色のスミレ、ミツバツツジ、ユキザサ、チゴユリ、コイワカガミ、ショウジョウバカマ、オオカメノキなどが数こそ多くないが咲き出していて、元気をくれる。ありがとう。

 

展望

登りだして1時間15分で六合目の避難小屋、広場がありベンチが置かれ良い休憩ポイントになっている。
何より嬉しいのは、これまで樹林で利かなかった展望が開けたこと、樹木の高さも低くなってきた。

大山北壁
6合目からの大山北壁

 

大山北壁の切れ落ちて崩壊している様が手に取るよう、その大迫力に圧倒される。
一休みして景観を楽しむが、晴れ過ぎて全体が霞んでいるようなのが少々残念だ。

一休み
6合目で一休み、ちょっとお疲れかい?

 

7合目から登ってきた北側を展望するが、雲が多い上に全体に煙っていて大山初登山の私達にはどこがどこやら皆目見当もつかない。
多分、日本海方面の筈なのだが・・・。

展望
7合目付近から北側を見る

 

木道

8合目付近で階段道は終わり、木道へと変わる。
歩き易くなったと単純に喜ぶが、整備に携わっている方々のご苦労はどちらも同じ筈、ありがたいことである。感謝・感謝。

8合目
8合目付近から東側を見る

 

植生も大山キャラボクと言う樹高1mほどの木が量を増す。どんな花が咲くのだろう。
開放感を味わい、稜線歩きの醍醐味を感じながら歩くことのできる道となる。

9合目近くに石室へと向かう道があるが、山頂から周遊できるようなので下山時に立ち寄ることにしてまずは山頂へ。

 

弥山山頂

緩やかな木道を辿っていく、わずかに窪んだ地形を利用して避難小屋が建てられ、そのすぐ先が山頂だ。

小屋
大山 山頂避難小屋

0800 数人の人が休む大山の山頂に到着。
正確には山頂稜線の一角にある弥山の山頂、標高は1709mである。

やはり初登頂は嬉しいもの、カミさんも嬉しそうでちょっぴりはしゃぎ気味。

山頂
大山 山頂にて

 

山頂からはそれまで見ることが出来なかった、山頂稜線と南側を見ることが出来る。

ただ予想外に雲が多いのと視界が悪いため、胸のすくような開放感は残念ながら味わえない。

山頂
山頂から剣ヶ峰(1729m)・鳥ケ山(1448m)を見る

 

ズルして簡略地図しか持って来なかったため、山座同定もままならない。
初めての山なのだから、なおさらだ。

昨日遊んだ蒜山高原もよく分からなかった。

山頂
大山山頂から南東方向を見る

 

山頂
大山 山頂にて

 

山頂から山頂稜線には、立ち入り禁止のロープで封鎖されている。
弥山山頂より少し高いピークが剣ヶ峰(1729m)なのだろう。

山頂部全体に岩肌が露出して、やや脆そうな感じ。
あちこちに岩屑がデブリのように堆積しているのが見て取れる。

山頂
剣ヶ峰(1729m)

 

山頂稜線の北側には、登って来る時から見えていた三鈷峰(1516m)とそこから山頂へ伸びる稜線が、その稜線上に小さく小屋が見えていた。

山頂
山頂から三鈷峰(1516m)

 

まだ午前8時を過ぎたばかりだが、山頂での恒例行事である甘いおやつと飲み物を口にしてまったり寛ぐ。

しばらくすると後続の人達が登ってこられる、山頂での一時を十分堪能、彼らに場所を譲るべく下山にかかる。

帰りに石室に立ち寄ってみた、避難小屋ができるまでは命を守る唯一の拠り所だった所だ。
大分傷んでいるが、ビバークなら今でも十分使える石室であった。
石室付近はこイワカガミとショウジョウバカマの群落があり、見事。
イワカガミの葉が光を反射してまさに鏡のように光っていた。

こイワカガミ
多かった、コイワカガミ

 

人気

再び階段道に戻る、階段の一部はバラ線を編んだ網に小石を詰めて作ってある。
下りではこのバラ線に足を取られないよう注意しないと飛んだ目にあう、慎重に慎重に。

次第にすれ違う人達が多くなり、時には待っている時間の方が長いぐらいの盛況ぶり。
登山ブームとは言え、土・日の百名山はどこもこのような状態になっているのだろうか?

一山独り占めの日も多い私達には、ちょっと信じられない人気ぶりである。

6合目を過ぎしばらく下って行者コースへ入ると登山者の数は減って歩き易くなり、ブナ林の美しい光景を楽しみながら下山を続ける。

ブナ林
行者コース4合目付近 ブナが綺麗

 

奥宮

淡々と下っていくと、大きな砂防ダムのある涸れ沢。
ここから仰ぎ見る景観もなかなか勇壮で見とれてしまう。

砂防ダム
延々と続く砂防ダムと険しい山容がすごい迫力

 

砂防ダムの近くに小屋が見え、数人の人影を視認した。
もしかしたらユートピア・コースのルートになっているのかも・・・。

さらに下ると車道が並行するようになり、下山直近の雰囲気だ。

5・6人の若い男性グループが歩いてくる、山の雑誌から抜け出てきたようなピカピカの服装そして装備である。
キャーキャー騒ぎながらお互いの写真を撮っている。
一見して山に登る人たちではない、私たちを見る視線も山仲間のものではなく冷笑に近い嫌な感じ。
こんな奴らに関わりたく無い、足早にすれ違い下山を急ぐ。

突然、立派な寺院の境内に着く。
大神山神社 奥宮と書かれている。
神社なのか、大山寺との関係は? 
ともかく重厚にして荘厳、神社と言うより寺院の雰囲気なのだが・・・。

よく分からなかったが、無事下山出来たことを報告し感謝の参拝。
「お見守りくださって、ありがとうございました」

神社
大神山神社 奥宮

 

こうして今回の旅で唯一の登山らしい登山は、無事終了。
ああ、楽しかった!

 

鳥取花回廊

カミさんが大山近くに大きな花園があるのを調べていて、出来るなら見てみたいと希望していた。
大山下山後、温泉が大混雑で風呂にも入らず鳥取花回廊に直行。

行ってみると普通の花園ではなく、この近辺の一大レジャーランドのような所である。
家族連れ、恋人同士、団体客、中国語も飛び交っている、迷子になりそうな巨大な駐車場も満杯状態だ。
大きな温室を中心に、東西南北のメイン通路、一周1Kmはありそうな外周をつなぐ回廊からでき、花の専門家たちが工夫しデザインした花畑や花壇が至る所に作られている。

見応え十分なのだが、私達が好きな山野草の類はほんの僅か。
華やかな花、南国のケバケバしい花が多く好まれているようだ。

大山登山の疲れもあり暑さと人ごみの中、華やかな花を見て回る気持ちも失せた。
花回廊の片隅にあった山野草エリア、木立の陰で涼しい。
見て回るとシライトソウやエビネがわずかだが咲いていた。

シライトソウ
シライトソウ

 

山野草エリアのさらに外側、花回廊の外になるような場所で黄色の花を咲かせている金蘭を見つけた。
急遽元気回復、じっくり観察。超嬉しい!

金蘭
金蘭

付近を捜したが、この一輪だけ。
もしかしたら花の神様が私たちに幸せを恵んで下さったのかも知れない。

山野草園から程近い所にユリノキが咲いていた。
こんな沢山の花を付けたユリノキを初めて見た。

ユリノキ
ユリノキ

 

百合の展示場もあり、強い香りが辺りに充満している。
今更カサブランカなどをわざわざ見る気はしないが、ササユリやヒメサユリなら見てみたい。
ヤマユリなど派手で大柄な花の脇に、お目当の花たちが目立たぬようにひっそり咲いていた。

ヒメサユリ
ヒメサユリ

 

ササユリ
ササユリ

 

ありがたい!

下山後お風呂にも入っていないので、我ながら汗臭く気持ち悪い。
米子の温泉まで行かなければ入れないと思っていたのだが、カーナビで検索すると近くに老人保養施設がある。

ダメ元で行ってみる、尋ねると快く「どうぞ」
ありがたい! 早速入らせて頂く。

ついでにコインランドリーもあったので旅に出てからの汚れ物全てを洗濯。
カミさんは、身も心も荷物も綺麗になりルンルンだ。

ここで夕方までゆっくり休憩させてもらい、安来町にある道の駅「あらエッサ」へ。
夕食は道の駅に付属しているレストラン「中海の郷」で海鮮定食だった。

 

 

オジロワシ花壇

 

・こんもりとふくれる里山従えて
        大山まします空あたたかし

・憧憬の大山山容せまりきて
        湧く思いありツツジが紅い

 



 

 

 

 

 

 

 

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