快晴の朝
昨日降り続いた雨は夜には止んだ。
朝の青空が眩しく、空気がひんやり気持ち良い。泊まった小田島近隣公園は近くの人たちの散歩コースになっているらしく、三々五々と通りかかり挨拶。
寒気が入ってきているそうで「寒かったじゃろう」と厚着のおばさん達。
「おはようございます。こちらにしては寒かったのでしょうが、私たちには丁度良いくらいですよ」
おばさん、車のNOを見て「あれ〜北海道からか、そんなら平気か」公園からは狭い海峡を挟んで宮島が大きく見える。
朝の海 右の山は宮島
宮島
今日は、宮島を時間をかけゆっくり丁寧に歩くつもり。
泊まった小田島近隣公園から宮島口までは、車で10分とかからない。
山陽線の北側エリアにある、一番安いと評判の駐車場(400円/日)に車を停め、朝一番のフェリーで宮島へ。
乗客は宮島に働きに行く人と外人観光客グループなど十数人。
フェリーから見る大鳥居と厳島神社平年より寒いせいか宮島名物でもある鹿達は日向に集まり日向ぼっこ、外人客が大喜びで写真を撮っている。
厳島神社
海沿いを歩けば、すぐに厳島神社。
朝の凛とした空気の中、厳島神社は鮮やかな色彩ながら落ち着いた風格を示し、心が安らぐ。
朱色の大鳥居が朝日を浴びてこの大きな鳥居(高さ16m)が土台に固定されておらず置かれているだけとは、知ってはいても信じられない。
海に浮かぶ厳島神社
干潮時には歩いて大鳥居まで行けるそうだから、この時は満潮との中間位だったのだろう。
かなり前に訪れた時は、歩くと海水がひたひたと社殿の床板を洗っていた記憶がある。早速一番で厳島神社に参拝。
宮島口の駅やフェリー乗り場に、三人のお姫様の看板が仰々しく置かれていて誰なのだろうと思ったら、このお姫様は厳島神社に祀られている神様なのだった。
決して近年TVで流された、茶々・初・江の三姉妹では無いのである。(浅井長政と織田信長の妹の市の子供、秀吉や徳川秀忠などの妻となった戦国時代の代表的な女性)気持ちを改めて、女神様に拝礼。
朱色が海に映って・・・
外人さん達に人気だったのが、こちらの平舞台からの景色。
ふざけたり、澄ましたりで、10分以上占拠されてしまった。(まあ、ご愛嬌か)
私もサービスで写真を撮ってあげたり一緒に写真に入ったりして・・・。
これだけの建造物が平清盛の時代、今から約850年も前に建てられたのだからすごい。
当時、それだけの技術を持っていたと言うだけで驚きである。
厳島神社の回廊と太鼓橋
厳島神社は海に浮かんでいるようなものだから、水の反射が至る所にありユラユラしたり水鏡になったり色や形が強調されたりと、思わぬ印象の変化が見られて面白い。
能舞台
弥山 (535m)
朝一番のフェリーで渡ってきたから、厳島神社を見終わっても午前7時を少し過ぎたばかり。
朝の気持ちの良い時間に弥山に登ってみることにする。
楽してロープウェイで登ろうと乗り場へ行くと、始発は9時。
それなら自分の足で。
何せ、山歩きが趣味と公言している身ですから・・・。ロープウェイの駅舎横から紅葉谷コースと言う登山道が伸びている。
もしやと思ったが、弥山の登山道は大山のような階段道ではなく、所々階段もある普通の山道。
ホッとした。
概ねロープウェイに並行する形で結構深い谷筋を登る。うぐいすが終始励ましてくれる。
落葉樹の谷筋を登る
同じフェリーで来てそのまま弥山に登り出したという年配のご夫婦をパスさせてもらい淡々と登っていく。
1時間と少しでロープウェイ駅から山頂に向かう道に合流、そのまま進めば海の景観が見える所があり一息いれる。
やっと瀬戸内海が見えた
さらに10分も進むと風景が変わりお寺が、ちょっとびっくり。
弥山本堂と霊火堂、ここの「消えずの火」というのが恋人の聖地として人気なのだそうだ。
本当は空海がここで修行した時の火が、そのまま守られているという。
霊火堂弘法大師・空海が修行したというけれど、四国の霊場のような神聖さは感じられず観光地の一部のような感じを受けた。
小さなお地蔵様が沢山、何なのかよく分からないけれど可愛いからお参り。
お寺から大きなごつごつした岩の道を登れば、弥山の山頂である。
山頂直下にある大岩 落ちてきたら・・・
時間は午前8時45分。紅葉谷コースを歩き始めて約1時間半である。
山頂からは瀬戸内海がぐるり一望と言いたい所ではあるが、この日も快晴すぎて空が白く煙り遠望は利かない。
楽しみにしていた瀬戸内海の展望だが、残念!
山頂からの展望、少し遠くの島も煙っている
でも今回の弥山登山、登山中も山頂でも鶯が終始さえずり、鹿のお出迎えも受けるなど自然の励ましを受けながらの静かな山歩きだった。
弥山の山頂
弥山山頂には立派な展望休憩所がある、展望が良さそうだったけれど鎖や錠が掛けられて入ることは出来なかった。
弥山山頂に30分ほど滞在して下山。
一旦弥山本堂まで戻り、大聖院コースで下山することにした。下り始めると真新しい仁王門、山頂の寺院への入り口なのかな。
そして二人のお地蔵様、通り過ぎようとして何気なく見ると「子供についての一切の願望が叶う」と書かれている。
急ブレーキで立ち止まり、無事の成長と幸せをお願いした。
よろしくお願いしま〜す
途中から台風で道が流出して作り直された新しい階段の道を降る。
崩壊した部分が一部見えていた、土石流が起きたのか自然の猛威を垣間見た時間だった。概ね半分ほど降りた所で、厳島神社やフェリーが良く見える所があり休憩所も設けられていた。
厳島神社や大鳥居、フェリーなどが一望
淡々と下山、途中には白糸の滝という小さな滝があって山道の良いアクセントになっていた。
左手に立派な寺院の屋根が見えてきた。大聖院である。
大聖院の屋根せっかくだから立ち寄る、それまでの静けさとは一変した観光地然とした気配に驚く。
大聖院
名物をいただく
宮島の商店が立ち並ぶエリアに行くと、観光客や修学旅行の生徒たちで大混雑。
朝の静かな表情とは一変している。
人とぶつからずに歩くのが難しいほどなのだ。私たちも登山者から観光客に変身、お店を冷やかして歩く。
山歩きをしたこともあり、お腹もすいてきた。
名物は何と言っても牡蠣と穴子。
何軒かのショーウインドウを見比べ、牡蠣定食(生牡蠣、バター焼き、焼き牡蠣、酢の物、お汁)と穴子丼を二人で分け合っていただくことに。
牡蠣定食の一部
牡蠣定食の焼き牡蠣
穴子丼
牡蠣はどの料理法でも大変美味しかった、さすが本場ものである。
厚岸やサロマでも牡蠣のフルコースなんて食べたこと無いのに、宮島で食べては申し訳ない気持ちにもなるがこの際お許し頂こう。穴子はやや淡白な醤油風味、関東の甘めのねっとりしたものとは一味異なる。
穴子好きのカミさんはとっても美味しいと喜んでいたが、私は甘い方が好きかな。ともあれ、ちょっぴり張り込んだ私達にしては豪華なお昼ご飯。
気持ちも豊かに帰りのフェリーに乗り込んだ。
鷲羽山 (133m)
宮島から倉敷へ高速で移動、楽しみにしている大原美術館は明日にして、汗を流し洗濯をして過ごす。
夕方には瀬戸大橋側の夕日が絶景であると評判の鷲羽山へ。
交通・道路事情
話は少し脱線するが、山陰から山陽の瀬戸内海沿岸地域に移動してきて強く感じることがる。
工業地帯が断続的に並び、昔からの大きな町が帯状に連なっている、人口密度が山陰とは比較にならないほど多いのだと思う。
気候も温暖というより暑い、空気も清浄と言うより喧騒さが支配している。
人情に違いが出来ても不思議では無い。短期間滞在して強く感じるのは、道路事情・交通事情である。
国道2号線はじめ多くの道路は地積が少ないためか、一様に狭い。
国道が片側一車線で歩道も無いしカーブも多い、それなのに人口が多いから車は必然的に多く常に渋滞と思って間違いない。
郊外でも住宅地から工場団地への通勤ラッシュが常態化。こうなると交通マナー、運転マナーは想像するに難く無い状態に陥る。
右から左から前から後ろから擦り寄られ突き上げられ割り込まれる。
とても田舎者ドライバーが平静に走れる状態ではなくなるのだ。何度も悲鳴をあげ、怖ろしい目に合った。
対策は高速を走ることと早朝くらいだろうか。
夕日スポット
鷲羽山からの夕日が絶景であるとの評判が高い。
私達はまだ瀬戸内海の絶景なるものを見ていない。
ぜひとも見てみたいと夕方の帰宅ラッシュに揉まれながら鷲羽山を訪れた。山頂付近まで自動車道があり、大きな駐車場もある。
そして遊歩道が何本か整備されていて、数ヶ所の展望台・山頂へ行くことができる。
瀬戸大橋・瀬戸内海が黄金色に染まり出す
日没15分前頃から周囲は黄金色に染まり出した。
瀬戸大橋が目の前、東は播磨灘・西は水島灘、大小多くの島々も夕暮れ色。
場所を少し移して 日没前5分時間経過とともに赤紫が強くなってきた。
四国の山も紫色に霞んでいる。
瀬戸大橋の日没
当初、山頂まで行けるのを知らずに途中の展望台で日没を迎えたので、太陽が瀬戸内海に沈む様子は見られなかった。
だけど瀬戸内海に浮かぶ島々と美しい日没が見られて嬉しい。
突然、「村上海賊たちはこんな色が見ていたんだな」と思った。
痴漢? 暴漢?
駐車場にいた人と少しだけだが言葉を交わす。
夕日が素晴らしいが、朝の景色も良いそうだ。それなら今日はここで車中泊しよう、すでにお風呂も済ませている。
これまでの旅行の話やこれからの予定、子供達、ペット、あちこち話が飛び交う。
ラジオから流れる音楽を聞くともなく横になっているうち、眠りに落ちていた。何時頃だか、若者達の話し声や笑い声、車の爆音で何度か目覚めたが、気にすることもなく横になっていた。
突然、強い光で照らされている。光は車の中のあちこちを動いている。
何だ、覗きか? それとも暴漢か?
鍵はかかっている知らん顔しておこう、カミさんも眠ったふりをしている。強いライトは執拗に車内を照射し続けている。
たまりかねた時、カミさんがお巡りさんみたいよ。鍵を外し、ドアを開けて「何ですか?」
警官のようだ、暴漢でなくて少し安心する。
ところが、用件を言わないでぐだぐだ身元不明だの家出だの意味不明の言葉を吐きながら、30cmほどの近さから顔にライトを直射し、室内をキョロキョロ不審の目で見回している。よっぽど怒鳴りつけようかと思ったが、サミットを目前にして警戒を厳しくしているのは良く理解できる。
それならばそれをはっきり言って、確認させて欲しいと言えば良い。
こちらは拒否するつもりもなければ、喜んで協力する。
ご苦労様とねぎらいの言葉ぐらいかけてやる。それを言い訳めいたことばかり口にして、人の顔に強い光を当て続け、キョロキョロ不審物を探している。
まだ若蔵だから対象の人物を見てどう対応したら良いのか分からないのは仕方ないが、馬鹿丸出しの対応で彼らが帰った後も気分が悪かった。
県警のお偉いさん、少しはまともな教育をしなさいな。
オジロワシ花壇
・瀬戸内の風に五感は晒されて
寄する波音に平氏思う・大岩を背に撮り直す記念写真
石仏の眼差しふと和みたり