樽前ガロー

道央   2016.8.8(月)    晴れ


 

ガロー

 

寒く雨がちだった7月が終って8月に入ると一転して暑く晴れの日が続くようになった。
寒い寒いと朝晩はストーブを焚いていたのに急に30度近い暑さ、これは堪らない。

山に行っても暑すぎてバテてしまいそう。
そこで涼しさを求めて、樽前ガローに行ってみた。

 

樽前ガロー

樽前ガローは樽前山南麓を流れる細い溪谷の一部。
ガローとは切り立った壁の間を流れる川のことで、樽前山の噴火で堆積した厚い火山灰台地を川が侵食して出来た渓谷・洞門なのである。

樽前山の火山灰台地には多くの侵食地形があり、北には苔の洞門や楓沢、西には社台滝や石狩白老滝、東には七条大滝、南には樽前ガローやインクラの滝と同じような地形が点在している。
その中で樽前ガローは一番手軽に行ける場所。
入り口に駐車場があり遊歩道も完備、見て歩くだけなら1時間もあれば十分だ。

今回は樽前ガローならではの写真を狙っての訪問である。

 

樽前ガロー 小景

苫小牧から国道36号を白老に向けて走ると「錦大沼公園入り口」の表示看板からさらに約1Km進めば「樽前ガロー」の看板がある。
これを右折して約5Kmで樽前ガロー橋横の駐車場に着く、途中に案内もあり迷うことは無い筈だ。

川の中からも撮影するつもりなので、胴長を着込みカメラ機材を担いでの行動だ。
樽前ガロー橋を渡り、左の上流方向に向かうとすぐに水辺に降りられる場所がある。

ガロー
樽前ガローの代表的景観

 

川底に降りるとひんやりとした空気と水の流れ。
川のせせらぎと鳥のさえずり、それに木漏れ日だけが支配している世界。
この幽谷の雰囲気だけを味わいに訪れても十分満足できる良い所である。
それなのに人影も無い、独り占めのガローを存分に味わい尽くす。

カメラなどを一旦岩の上に置いて撮影ポイントを探し見定める、降りた所から上流側に500m下流側に100m位を歩き回って数カ所のポイントを決めた。
水量は深い所で腰付近まであるが、カメラの固定を考えて膝付近の深さまでにする。

木漏れ日がねらいの岩に当たるのを待ち、カメラの設定を変えながらシャッターを切る。

ガロー
深山幽谷の世界が広がる

 

場所を変え、撮影方向を変えると谷の岩壁と水の表情は豹変する、その変化ぶりに興奮するが思い通り撮影するのは難しい。

この日は良く晴れて樹林越しの木漏れ日が潤沢に差し込んできている。
この恵まれた条件を活かして木漏れ日と暗く沈む岩肌、滔々と流れる水をどう組み合わせるかが撮影のポイントだろう。

ガロー
流れと木漏れ日が織りなす風情

 

意識して明るく撮ったり暗く陰惨な表情にしてみたり、同じ場所でも撮影設定によってイメージが大きく変わるから何枚も何枚も撮影することになる。

朝もやの名残りが微かに感じられ、それを表現しようとするが私の腕では上手くいかないのがもどかしい。

ガロー
スローシャッターで流れを穏やかに、明るいイメージで

 

岸壁の幅が狭まっている所は、薄暗いと言うより闇の幽谷。
その闇に木漏れ日が光の剣となって何本も射し込む幻想的な光景が現れた。

光芒
幽谷の木漏れ日が火矢となって突き刺さる

 

面白半分で常識を大きく逸脱した設定にして撮った写真の中には予想もしなかった結果のものも。
こんな写真を前衛的なカメラマンは芸術作品に仕上げていくのかな・・・?

ガロー
現実のものとはとても思えない代物だけど、なんだか面白い

同じような写真を何十枚と撮って来た。
自己流で勉強もしていないが、少しは渓流写真のコツのようなものを掴めた気分だ。
わずか2時間半ほどの滞在だったが、とても充実感を味わえた樽前ガローであった。

 

ヒオウギ

樽前ガローでの撮影を終えて帰宅すると、カミさんが「ヒオウギが咲いたのよ」と嬉しそう。

檜扇
ヒオウギ

 

ヒオウギって余り見ることはないし、知られていない花。
朝咲いて夕方には萎んでしまう命短い一日花だ。
語源は檜扇で、宮中で公家たちが厄払いするのに用いた檜の薄板を扇子状にしたものに葉の形が似ていることから名付けられたと言う。
今は、主として生け花やお茶席の花として使われているらしい。

なるほど何枚もの葉が横にずれながら重なっていて、扇子のように見えないことは無い。
花も渋目の橙色でなかなか可愛い。

ヒオウギ
ヒオウギ 一日で終わってしまうのが惜しい

花道教授の免状や看板を持っているとは言え、生け花界から遠ざかっているカミさんだが興味は失っていないようだ。

 

ついでだが、クサレダマの花も咲き出した。

私は初めてクサレダマを知った時、「腐れ玉」とは何と可哀想な名前なのかと思った。
だが正確には、「草連玉」、連玉のような草花と言う意味なのである。
葉の先端に黄色の小さな花が穂のようにまとまって咲き、風に揺れる風情が優雅な可愛い草花である。

クサレダマ
クサレダマ

 

カミさんはこの手の山野草が好きで、そのせいか我が家の庭はご近所の花壇然としたのお庭とは少し変わっている。
一見雑然としているけれどカミさんは何が何処にあるのか把握していて、私が親切心で草抜きなど始めようものなら、「触らないで! そこには◯◯が植えてあるのよ」と声が飛んでくるのである。

 

 

今回は山歩きから離れて、樽前ガローに写真撮影と暑さ凌ぎに行ってきた。
夏でも涼しく静かで深山幽谷の気配が感じられる樽前ガロー、今回で撮影ポイントも把握したので季節を変えて訪れてみたいと思わせる所だった。

行かれる方は川の流れに入った方がここの良さを味わえるので、濡れるの覚悟か胴長を用いると楽しめると思います。

 

 

 

 

 

 

 

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