春の兆し・息吹 を探して

 


 

雪解け

 

三月も下旬に入り北国にも春の気配と言うか、春の息吹と言うか、春の兆しを感じ始めるようになった。
晴れた日など、人々が家の前の道路に出て世間話に花を咲かせながら氷割りする姿が目につくようになると、冬の終わりが感じられのである。

そんな一日、春の兆し・息吹が感じられる景観を探してみた。

 

匂い立つ土の香り

千歳から安平町へ抜ける近道はコムカラ峠という小さな峠を越えて行く。
かつては住人たち手作りのスキー場があったというが、今は面影もない。
ただそこからの支笏湖から札幌にかけての山並みは素晴らしく、私のお気に入りの場所の一つなのである。

 

コムカラ峠
コムカラ峠、早春の大景観

樽前山から恵庭岳、漁岳、空沼岳、札幌岳、そして無意根山から手稲山などのまだ白い山並みと、苫小牧から札幌までの雪が目立たなくなった街並みが一望。

雪解けが進む牧歌的な景観の中を、高速道路が切り裂くようにカーブを描いて伸びている。

 

コムカラ峠
樽前山から空沼岳にかけての山並み

真冬の雪と氷で覆われた白一色の世界から土の香りが匂い立ち、枯れたような姿で耐え忍んでいた木々たちも枝先をほのかに赤く染め、春の到来を告げているように感じられた。

 

せめぎ合う、流れと氷

コムカラ峠を超え、しばらく行くと流れと並行して走るようになる。 夕張川だ。

真冬は雪に覆われ水の流れは全く見えない、だがこの時期になると雪氷とのせめぎ合いに勝った水の流れが姿を見せ始める。

そんな雪氷と水とのせめぎ合いを橋の上から、岸辺から眺めてみた。

 

流れ
雪氷に覆われた川面に顔を覗かせた青い流れ

冬でも雪と氷で真っ白に覆われた川面の下では、水の流れは厚い氷に果敢に戦いを挑んでいたのだ。
今、やっと氷どもの弱い処を見つけ、溶かし、破壊して、数ヶ月ぶりに顔を覗かせた。

そんなふうに思うと単なる早春の風景とわりきって眺めることはできず、何か愛おしさのようなものさえ感じてしまう景観なのである。

 

流れ
勢力を増した水のながれ

こちらは水が一段と勢力を増し、春の風情がより強く感じられる景観を創り出していた。

雪や氷には申し訳ないが、頑張れ!と声援を送りたくなる水の表情であった。

 


降伏寸前の氷と まだまだと頑張る真っ白な部分

せめぎ合いの真っ只中なのだろう、氷が薄くなり雪も溶け灰色に変色した部分と雪も氷も健在な白い部分が混在し、面白い模様を創り出していた。

あと一週間もすれば溶けてしまう氷たち、早春の一時期にしか見られない春の息吹なのだ。

 

芽吹く、妖精

いつもウォーキングしている道筋でも、春の息吹が見られるようになってきた。

塀や石で北風が遮られる南の日溜りに散らばる黄色、思わず目が釘付けになり吸い寄せられてしまう。

半年ぶりの野の花、嬉しい! 福寿草だ。

フクジュソウ
フクジュソウ

土が顔を出してまだ二・三日、待っていたように透き通る黄色の花を惜しげも無く開いている。
何を感じて芽を出し、花を咲かせるのだろう?

これからの季節、フクジュソウを皮切りに、いろいろな花たちが美しさを競い合う。
ただの散歩に彩りを添えてくれる嬉しい贈り物。
春の妖精たちにまた逢えるのが、楽しみだ。

散歩道にある林でも、木々の枝先がほのかに赤くなり春の気配が漂い始めた。

 林
雪もだいぶ溶け、そこはかとなく春の気配が

 

そして雪解け水が流れる小川の土手に黄緑が点々と見える。

フキノトウの芽吹きだ、綺麗というより私には美味しそうに見える。
独特の苦味が春の野草の特徴でもある。
早速、採りに行かなくては・・・。

流れ
フキノトウの黄緑色が鮮やか

 

約半年間雪に閉ざされていた北国に、春がやってくる兆し・息吹が感じられるようになり、心弾む思いがしてとても嬉しい。

これからしばらくは山歩きには適さない時期、春の妖精たちの可憐で美しい姿を今年も満喫して楽しみたいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

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