春の妖精 (室蘭編)   

室蘭   2017.4.24(月)   霧のち晴れ

 


 

キクザキイチゲ

 

4月も後半というのに気温変化が激しい日が続き、そのせいか数年ぶりに風邪をひいてしまった。
ホームドクターに「犬と○○は風邪ひかないって言いますよ」と、からかわれる始末。
倦怠感と鼻水ぐらいで2日も休養すれば回復したのだが、カミさんにうつしてしまい二人が完治するまで1週間以上も費やしてしまった。

風邪も治った晴れの1日、春の妖精たちに逢いに室蘭へ足を延ばす。
お目当は乱舞するキクザキイチゲやカタクリ・エンゴサクなどである。

 

思わぬ所で

太平洋沿岸は霧が出ていて見通しが良くない、まあ霧は晴れの前兆というから良くなるのを期待しながらの道中だ。

高速から降り室蘭岳の南側裾野をあてもなく見るが収穫はなく、次いで白鳥大橋へ向う途中の低い丘陵付近を少し見て歩く。
チョロチョロ水が流れる小さな谷あいの林床、少し登ると緑の中に白い点が散らばっている。

もしや? 足を踏み入れると周りはカタクリやエゾエンゴサクがびっしり。
しかし、やや時期を失していて残念ながら生気がない。

白い点々は、 気温が低いためまだ閉じ加減のキクザキイチゲの花・花・花。
思わぬ収穫ににんまりしながら、観察を始める。
大半はまだ花を閉じ加減、日差しを受けて幾つかが開き始めているところだ。

キクザキイチゲ
開きかけのキクザキイチゲ

気温が少し上がれば開花するだろうと近くを散策しながらのんびり待つ。
時間はたっぷりある、カミさんとキクザキイチゲとアズマイチゲの見分け方を探してみるが私たちには葉以外で見分けることはできなかった。
花でも見分けられる筈と思うのだが、どうもよく分からない。

そうこうする内に、どの花も開き始めた。

キクザキイチゲ
花がさらに開きだした

さらに待つこと、約10分


完全に開ききったキクザキイチゲ

日差しを一杯に受けて、見事に開ききった姿に。
どれも美しい旬のキクザキイチゲたち。
思わぬ所でご褒美をもらったようで、嬉しい。

 

小さな谷あいには、エゾノリュウキンカも咲き出していた。
この花の濃い鮮やかな黄金色は、春の妖精というより夏の花を連想させる色合いだ。

エゾノリュウキンカ
エゾノリュウキンカ

太くて柔らかそうな茎と大きな葉は見るからに美味しそう。
食卓にのせるのを楽しみに摘む、地元の方も多いのではないかな?

 

絵鞆岬〜女測量山散策路

思わぬご褒美を堪能した後、白鳥大橋を渡り絵鞆岬へ。
散歩をしている近所の方たちに声を掛けたりしながら、所々で花探し。
エゾエンゴサクは旬を過ぎ、ニリンソウはもう少しという感じである。

測量山に車を置き、女測量山からマスイチ浜への散策路を歩いてみる。
樹林の中をゆく散策路、鳥のさえずりを聞きながら気持ち良く歩ける道だけど花は少ない。
探鳥の道として利用されているようだ。

霧はすっかり解消し、日差しも強くなってきた。
見晴らしが効く場所からは対岸の渡島半島の山々が海霧の上に頭を出しているのが遠望できる。
なかなか見られない良い雰囲気の景観、幻想的でもある。

駒ケ岳
海霧に浮かぶ 駒ケ岳

 

マスイチ浜の展望台から眺める険しい断崖が織りなす景観は素晴らしいというより怖さが勝る。
アクション映画の撮影場所などに最適な所かも知れないな。

断崖
険しい断崖が連なるマスイチ浜付近

 

展望台で持参の飲み物と堅焼きパンで軽い昼食。
ドライフルーツ入りの堅焼きパンは美味しい上に腹持ちも良く、私たちのお気に入り。
ただ私達年寄りには飲み物がないとちょっぴり辛いかも・・・。

マスイチ浜にて
マスイチ浜展望台で

 

地球岬 散策路

景観を楽しんだ測量山散策路から春の妖精達に出会えるのを楽しみにしている地球岬・散策路へ。

前回も概ね同時期に訪れたのだが、その時はまさに花の絨毯が敷き詰められた道のようだった記憶がある。
(前回の地球岬の記録はこちらから。 http://ojirowashi.web.fc2.com/1404tikyu.html )

期待に胸膨らませ散策路を歩き出す。
確かに花は沢山咲いている、カタクリやエゾエンゴサクなどは林間にびっしりと咲いているのだが何故か心が浮きたたない。何かが違う。

花の時期が少し過ぎかかっていたのだ。
花の数は相変わらずとても多い、ただ旬を過ぎて輝くようなきらめきは失われていた。
生物なのだから仕方ない。こちらが花達の都合に合わせなければならないのだ。

でもお目当のキクザキイチゲはまさに旬の時期、生き生きしたきらめく姿を見せている。
ただ特に期待していた青色の花は数輪見かけただけだった。

キクザキイチゲ
青花のキクザキイチゲ 

今年は僅かしか咲いていなかった青色のイチゲ、年によって咲く数も変化するのかも知れない。また来年、ご機嫌伺いに訪れてみようと思った。

青花
キクザキイチゲ

 

白のキクザキイチゲはどれも美しく沢山咲いていて、目を楽しませてくれる。
道の両側が緑と白で明るく染められたようである。 綺麗だ〜!


キクザキイチゲ
キクザキイチゲ

 

カタクリも時期を失している感じだが、遅咲きの花もあり元気の良い花を見ることができ嬉しかった。

カタクリ
カタクリ

 

花はその他にも黄スミレ、ニシキゴロモ、ヒトリシズカ、エンレイソウなどが点々と咲いている。

気持ち良く散策していると本ページをご覧頂いているというご夫妻から声を掛けられ恐縮する。お声を掛けて頂きありがとうございました。

地球岬散策路に咲くエンレイソウは赤いコジマエンレイソウ。
千歳付近やそれ以東では、白花のエンレイソウが多いので珍しく感じる。

コジマエンレイソウ
コジマエンレイソウ

 

道の脇を埋め尽くしていたキクザキイチゲに代わって、ニリンソウがびっしり生えている場所もある。
こちらは旬までもう少しの様子、蕾をたくさんつけている。
どの花も生き生きしてとても綺麗だ。

ニリンソウ
ニリンソウ

 

清楚、まさにニリンソウのためにあるかのような言葉。
群れ咲く様も、一輪で咲く様も清々しくて心が洗われる。

ニリンソウ
ニリンソウ

 

「やっぱり室蘭のお花は素敵だね。来年はもうちょっと早くか遅く時期をずらして来てみたいな。」

再び霧っぽくなってきた地球岬の展望台、早くも来年の相談だ。
鬼に笑われるかな?

地球岬で
再び霧の気配の地球岬展望台で

 

我が家の妖精たち

室蘭から自宅に戻ると、庭に今年の新顔たちが花を咲かせて待っていた。
「せっかく咲いてあげたのに、居ないんだから・・・」と言われたかのようだ。

そんな今年のニューフェイスたち、まずはサンギナリア。
日本では栽培種として販売されているけれど私たちはセミ野生種と思って育てている。
北米の山間部に自生する春の妖精、根から赤い汁が採れ昔はインディアンが化粧品として用いていたそうだ。

サンギナリア
サンギナリア

大きな葉が茎を抱く姿が、お包みに包まれた赤ちゃんか子供を抱く母の姿のようにも見える。

そんな風に見ると愛おしくて、毎年芽を出し花を咲かせるのを楽しみにしている春の妖精なのである。

サンギナリア
お包みに包まれたようなサンギナリア

また数輪がまとまって咲く様は、股旅物の侠客が合羽を着て歩く姿を思い描かせるなど連想の世界に誘ってくれる花でもある。

サンギナリア
独特の姿・形が連想の世界に誘ってくれる

 

次は優しい藤紫色の花、タツタソウ。
優しい色合いの花と赤い葉で見る者を楽しませてくれたら、早々に姿を消してしまうシャイな花。
そんな風情が大好きなのだ。

タツタソウ
タツタソウ

 

そして最後は室蘭のキクザキイチゲを褒めたのに反発するかのように綺麗な花を咲かせていたアズマイチゲ。
キクザキイチゲに勝るとも劣らない気品に満ちた花をたくさん付けて、私たちの帰りを待っていてくれました。

アズマイチゲ
アズマイチゲ

 

今年の春の妖精たちの舞台もカタクリやエンゴサクなどが活躍する第一幕が終盤を迎え、サクラソウやスミレたちなどの第二幕が始まろうとしています。

まだまだ後一ヶ月ほど、大いに楽しめるでしょう。
私達も出かけることを厭わず、色々な地で色々な花たちに出会いたいと思っています。

皆様と、どこかでお目にかかれたら嬉しいです。

 

 

 



 



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