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今日は上田市塩田平にある寺院群を訪れ、次いで戦没画学生たちの遺品を展示してある無言館、小諸の懐古園などを見てから、北八ヶ岳の北端にある白駒池を訪れたいと思っている。
まずは泊まった道の駅から上田の塩田平へ
夫婦道祖神
塩田平の野倉という山里へ道祖神を見に行く。
普通車で入るのも難しい狭い道、悲鳴を上げて降参、小さな空き地を見つけ歩いて訪れる。
山間の小さな村の一角にこじんまりと祀ってあった。
塩田平 野倉の道祖神
くっきりとした顔立ち、正装の男女の神様が手を取り合い仲睦まじく佇んでおられる。
私たちも若々しく仲良くやっていきたいものだ。
家庭円満、夫婦和合を、あやかってのお参りだ。
どうぞ、よろしくお願いしますね
そのまま帰るのは何となくもったいないような気持ちの良いお天気。
塩田平を走る里山の細道をのんびり散策。日が当たらず薄暗い林内に白い蕾のようなものを見つけた、ササバギンランかな?
カミさんを呼ぶ、即 「あらギンランね、よく見つけたじゃない」
ギンランを自分で見つけたのは、初めてである。
ギンラン、ボケボケの写真でゴメンナサイ
安楽寺
鎌倉の建長寺と密接な関係にあり北条氏の庇護も受けていた信州最古の禅寺だそうだ。
この寺は、国宝の八角三重塔で有名。
八角形の塔とは珍しいと説明文を読んだら、中国の様式を取り入れ鎌倉末期に建てられたものだという。
国宝 八角三重塔
言われてみれば日本的な美しさは感じられず、ちょっぴり違和感を覚える。
でも当時は仏教本場の中国からの伝来で、有り難く貴重なものだったに違いない。
この角度からが、私の目には馴染む
常楽寺
安楽寺から歩いて5分ほどの地、この地域にある三楽寺の一つ。(長楽寺、安楽寺、常楽寺)
常楽寺本堂お庭が綺麗に手入れされ美しい。
牡丹の花がちょうど見頃で、目に優しく嬉しかった。
牡丹の白花
北向観音堂
このお堂も安楽寺から僅か2分ほどの近さに建てられている。
言い伝えでは、善光寺で未来往生を願い次いでこの北向観音で現世利益を願うことで心願成就するそうだ。
北向観音堂
この北向観音は、常楽寺が管理運営しているという。
どうりで常楽寺に北向観音にもお参りするような案内が出ていたのか。
まさか企業間で流行りのM&A (吸収合併)では、あるまいな?
北向観音
前山寺
塩田平の中心であった塩田城の北東200mに位置していたお寺で、お城の守護寺であったらしい。
現在は花の寺として名を馳せ、四季を通じて参拝者も多いという。
前山寺の三重塔と藤の花私たちが訪れた時も、藤や躑躅、牡丹などが美しく咲き誇りそれは見事であった。
この寺の三重塔も均整のとれた姿で、すっきりしていて親しみ易い。
前山寺 三重塔
鮮やかな新緑に花たちが映えて、お寺に居るというより花園にいるかのような気持ち。
満開見頃の藤の前でお寺の住職らしき方や奉仕の方々が何人も花の手入れをしたり境内の清掃をしておられ、清々しい雰囲気が漂っている。
前山寺本堂前山寺の名を高めているのは花だけではなく、「くるみおはぎ」も有名だ。
住職夫人が中心になってお寺のお座敷で提供される手作りのくるみおはぎが隠れた人気になっているそうだ。10時前なのでどうかなと思ったがカミさんが庫裏で尋ねてみると、作っている最中で10分ほど待てば食せるとのこと。
庭に面した座敷に案内されてしばらく、夫人が漆器の器に載せたおはぎをどうぞと運んできてくれた。通常の「おはぎ」とは異なっていて、器に甘いくるみだれが敷かれ、その上に半殺しにしたもち米と山椒味噌が添えられている。
とても美味しく上品な甘みがたまらない、庭を眺めながらいただく雰囲気も味を良くしている要素なのだろう。
「百聞は一見に如かず」なのだが、食べるのに夢中で写真を撮るのを忘れてしまった。
くるみおはぎ、美味しゅうございました
無言館
無言館は前山寺近くの小高い雑木林の中にひっそり建っていた。
戦没画学生の遺品、作品が収められている美術館だ。
カミさんが、信州に行くなら是非訪ねてみたいと熱望していた場所。
無言館それなのに、無言館の前でこちらが無言になった。
なんと休館日だったのである、年中無休と思っていたのだが・・・。落胆しているカミさんに、掛ける言葉も見つからない。
無言館
コンクリート打ちっ放しの建物が、この美術館の性格を如実に表している感じ。
残念だが、残念がっても休館日が覆るわけでもない。
聞く所によれば、現在無言館の作品の幾つかは釧路の美術館で展示中とか。
機会を見つけて見に行くかと諦めて、次の目的地である小諸へと向かった。
無言館への入り口
小諸 懐古園
小諸城が明治維新で廃城となり、その跡地を一般公園化したのが懐古園。
本丸跡には神社、随所にお城の気配を残しながら、一方には動物園や遊園地、一方には藤村記念館や小山敬三美術館が併設されるなど、雑多なイメージが禁じえない。
天守台跡から見る浅間山から続く山並み
小諸なる古城のほとり・・・あまりにも有名な藤村の千曲川旅情の歌である。
どんな光景なのか、期待して天守台跡や見晴台から眺めてみたが、心を打つような景観は見当たらなかった。
彼が見た時とは、街並み・建物が変わってしまったのであろう。
小諸城の堀跡と水の手展望台園内にある小山敬三美術館、存じ上げなかったのだが浅間山を描いた数々の作品は独特の視点と感性で切り取られデフォルトされ、素晴らしかった。
確か、軽井沢のある田崎美術館にも浅間山の絵が多くあったように記憶している。
愛する山・自然を描く画家の視点は様々だけど、注ぐ情熱は共に凄いものだと改めて思った。
浅間山(右)と黒斑山小諸城の大手門は懐古園から少し離れた所にあった。
三の門とともに重厚な立派な門である。
小諸城大手門小諸では藤村記念館と高浜虚子記念館も訪れた。
彼達の生い立ちなど、作品とその背景などを理解する一助となる施設である。
白駒池
白駒池は八ヶ岳の北の端、標高2100mほどの原生林に囲まれた静謐な池である。
私が大学1年の時、北八ヶ岳縦走の初日に泊まってその素晴らしさに感動した場所。
美しい苔とシラビソの原生林、静かに佇む池、カミさんにもぜひ見せてやりたいと今回の旅に組み込んだ。小諸からだと佐久を経由して行くのが普通だと思うが、入力を間違えたらしくカーナビは蓼科湖経由のルートを選定していた。
まずは、白駒池入り口の麦草峠までドライブ中の写真をいくつか。小諸付近からの景観といえば、浅間山。噴煙と長く尾をひく裾野が象徴の山だ。
小諸付近から眺める浅間山
蓼科湖周辺は観光客で大賑わいだった。
蓼科山
奥蓼科温泉郷付近から眺める八ヶ岳の山々、若い頃から何度も訪れた親しみさえ感じる山々である。
八ヶ岳の山々
赤岳(雲を被った奥の山)
遠回りをしたせいで、麦草峠に着いたのは1500少し前。
時間も時間だし道の大半が雪道と聞いて少し迷うが、カミさんに静かに佇む北八らしい白駒池を見せたくて歩き出す。
暗くなることも考慮してヘッドランプもザックに忍ばせた。まずは苔とシラビソの森が織りなす風情を期待したのだが、雪から顔を出したばかりの苔はイマイチだった。
苔は雪から顔を出したばかりだった
道の大半は雪道、でも凍ってはおらず滑らずに歩けた。
白駒池に通じる道
良い雰囲気の所も
シラビソの森は早春の気配
雪道を慎重に歩いて1時間弱、白駒荘が見えてきた。
懐かしい。
池の畔りに建つ白駒荘昔私が感動した、静寂の中にひっそり佇む白駒池は当時のままの姿で迎えてくれた。
原生林に囲まれた白駒池時間が押しているのでゆっくりできない、池の周囲を30分ほど散策して北八ヶ岳の雰囲気を楽しんだ。
古い友達と再開した気分
もっとゆっくりしたいが、暗くなるまでに麦草峠に戻りたい。
雰囲気を味わえただけで良しとして、引き返す。
麦草峠に戻ったのは17時すぎだった。
諏訪湖
麦草峠から山を下り、混み合う茅野や諏訪の中心部を抜ければ諏訪湖である。
温泉街に着いたのは日没直前。薄い夕日と雲、湖面が創り出す景観はなかなかのものだった。
諏訪湖の夕景温泉ホテルの並ぶ街に風変わりな建物が目についた。
片倉館である。
大きなお風呂やレストランがあり、疲れた旅人には嬉しい施設であった。
片倉館