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いよいよ、今回の旅の最終日である。
二人とも訪れたことのなかった新潟最北部の村上をめぐり、午後には新潟市へ戻ってお土産などを整え、夜のフェリーで北海道へ帰る予定である。
笹流れ
笹流れ、風流な言葉である。
何のことだろう? と思う方もいらっしゃるのでは。この付近の海岸には幾つもの岩場が点在、その岩の間を盛り上がるように流れる潮流のことを笹川流れと呼んでいるのだ。
地名が笹川なので、「笹川の流れ」から「笹川流れ」となったそうだ。
日本海
全長11Kmに渡る海岸線、私たちが選んだ所は青く輝く海に小さな岬がある海岸。
青い空と群青色の海、松の緑、白っぽい砂が組み合わさって、美しい景観ではある。
笹流れ場所を変えアングルを変えて見るが、綺麗ではあるけれどあまり迫力は感じない。
この日は風もなく穏やかに晴れた日で、潮の流れもなく静か。笹川流れを堪能するには、穏やか過ぎたのかもしれない。
はるか水平線には、粟島も微かに見えている。
確かに美しい所ではある。
波打ち際をのんびり歩きながら、貝を拾ったり小石を集めたり。浜の方を眺めると、桐の花が目立つ。
長野でも桐の木は多かったが、タンスにすることもないのか放置されている木が多かった。
その点、この付近では大事に育てられているようで木に生気があり、花も綺麗だった。
桐の花
名前に惹かれてやってきた笹川流れ、潮流が穏やか過ぎたのか、場所が悪かったのか、素晴らしい景観というより穏やかで静かな浜辺の印象が強かった。
村上城下町
村上市内に戻り、鮭で有名な三面川のほとりを散策。
江戸時代から鮭が生まれた川に戻って産卵する習性に着目し、産卵に適した種川と呼ばれる人工河川を作って村上藩の財政を豊かにしたと言う説明表示に大した人が居たもんだと感服。またこの地では鮭のことをイヨボヤと呼んでいるのを知った。
イヨボヤ会館というのが三面川のそばにあり、見学や体験が可能だそうだが、開館時間前。それではと、城下町で残っている当時の建物などを見て回る。
当時の街並みを思わせる商店街
さして大きくない城下町、適当に見当をつけぶらぶら歩く。
落ち着いた雰囲気が漂う
お寺が纏まっている寺町は、今も静かな一角を形成している。
寺町の一角
蔵のある家も多い
おしゃぎり
お祭りで曳き回される山車のことを、村上では「おしゃぎり」と呼ぶそうだ。
村上大祭(7/7)には、お神輿が3台、おしゃぎりが19台も町内を練り歩くそうで、さぞ見事であろう。本物の「おしゃぎり」が展示されている、おしゃぎり会館に行ってみた。
おしゃぎり高さ8m位ある立派な山車、派手な色使いもお祭りにはよく似合う。
3台のおしゃぎりが展示され、村上大祭で練り歩く様子を模してある。
練り歩く様子
武家屋敷
おしゃぎり会館の隣に、武家屋敷である若林家の住宅が公開されている。
藩では大目付や普請奉行、町奉行などを勤めた、中級上位の武家屋敷である。
武家屋敷
L字型の曲り家風の屋敷であるが、馬を飼っていたわけではない。
居室部分と座敷部分が、別々の棟に分かれている。
塩引き鮭
塩引き鮭作りを出来れば体験したいと思っていたが叶わず、ここで本物を見ることができた。
ほぼカラカラに乾いていて、新巻き鮭とは別物の感じである。
質素といえば質素
間取りだけを見れば意外に質素な感じがするけれど、当時の住宅環境からすれば豪邸の部類だったのかな?
ともあれ、当時の武家の生活状況が偲ばれる屋敷であった。
村上市はこじんまりした街並みの保全も配慮された落ち着いた良い町であった。
町の片隅にあった巨木を眺めながら、村上を後に新潟へと向かった。
旅もフィナーレ
昼過ぎには新潟市に戻り、午後から物産館のような所を数カ所。
旅の恒例、お土産を買い求める。
決して褒められない慣例と思うのだが、円滑なお付き合いには便利なものだ。
ご近所へ、友人へ、そして子供達や親族へ。買い求めたり、送ったり。
結構、疲れる時間なのである。夜になって新潟港へ、早く寝るのが習慣になっているので深夜まで起きているのが辛い。
フェリーの部屋に入ったら、バタン・キューなのであった。
今回の旅は実質12日間、フェリーの往復を加えれば14日間の夫婦旅であった。
無事に旅を終えられたことに、感謝・感謝の気持ちである。今回の旅の目的は、信州の山々の姿をもう一度しっかり眺めたいということだった。
その観点からは、概ね目的を達成できたかなと感じる。
素晴らしい眺望が得られたのは(新潟県の山を含む)
北アルプス後立山連峰、乗鞍岳、浅間山、鳥甲山、八海山、越後駒ヶ岳、雨飾山まあまあの眺望だったのは
戸隠連山、八ヶ岳、黒姫山、守門岳、北八ヶ岳白駒池残念な眺望だったのは
南アルプス、中央アルプス であった。山以外では、戸隠神社奥宮 及び 参道、秋山郷、山古志などの山村、諏訪大社、松本城、安曇野の田園風景などが印象に残った。
帰宅すると庭には九輪草や八重の延齢草が咲き出し、2週間の時の流れを感じた
そして強く感じたのは、山や森など自然には感動することが多い反面、街中やいわゆる観光地などで感動することは滅多に無いということだった。
別に人嫌いという訳でも無いのだが、私は自然の中で・自然に寄り沿い・自然と共に生きていくのが性に合っているのだと思う。
そうであればこれからの人生、より自然に親しみ・寄り添いながら生きていきたいと思う。
大いに楽しみ、喜び、時には大失敗をした今回の旅。
もしかしたら、あと数回は夫婦旅ができそうだと思えたことが最大の収穫だったのかもしれない。
健康に留意して、残りの人生を大いに楽しみ愉快に過ごしていきたいと強く思った。