姿見の池〜当麻乗越し

大雪   2017.7.25(火)   晴れ・曇り

 


 

旭岳

 

5月に信州の旅を謳歌してからは、溜まっていた雑用の処理や膝の調子が芳しくなかったこともあり、6月に樽前山に花見に行っただけ。
さすがに欲求不満と言うかストレスが溜まり、山を歩きたくて仕方ない。

今年は花もまともに見ていないし、大雪の山にも行っていない。
膝の調子を考えつつ、それでも大雪の花を楽しみたいと、旭岳の姿見の池から当麻乗越しをのんびり楽しむことにした。

 

水なし、トイレなし

前夜の7/24(月)、旭岳登山口の駐車場へ。
ビジターセンターの建替え新設工事が始まっていて、駐車場は半分の大きさしか利用できずトイレも使用できない。
水もビジターセンター脇の水道は、濁っていて温泉臭くとても利用できない。
ロープウエイの駅舎が午後6時ぐらいまで利用できるが、その後は水もトイレも使えないのだ。
思いもしなかった耐乏生活を強いられる、トイレを使わなくてもいいように水分の摂取を極力控える。
被災され避難所生活をされている方々のご苦労を追体験する思いである。

東川の道の駅を利用し早朝登山口へと言うのが現実的な代替え案だが、駐車場が狭くなっているので停められるかどうか、リスクがある。

 

姿見の池〜裾合平

0600、朝一番のロープウエイで姿見の池へ。
ロープウエイは朝から満員の盛況ぶり、多くの方は旭岳往復か 旭岳から裏旭・裾合平を回るコースのようだ。

私たちは姿見の駅舎で身支度を整え、まずは姿見の池へ。
目覚めた時は快晴だったがロープウエイに乗る頃は旭岳が笠雲をしっかり被り、歩き始める時には笠雲が崩れ全空に広がり始めた。

朝の清々しい空気の中、久しぶりに歩く山の感触が何とも気持ち良い。
姿見の池から見る旭岳山頂は雲に隠れ気味だったが池に映る噴煙と相まって雄大な景観が広がり、圧倒される思いだった。

姿見の池
姿見の池から

 

池の周りの花は思ったより少なくイワブクロ(タルマイソウ)が咲いている程度。
噴気孔へ向かう途中、コマクサが一株咲いているのをカミさんが見つけた。

今までこの辺りで見た記憶は無いが、考えてみれば旭岳周辺はコマクサが好む地形地質なので昔はごく当たり前に咲いていたのかもしれない。

コマクサ
コマクサ

 

自然の営みを間近で感じられる噴気孔、凄まじい噴気に思わず後ずさりしてしまう。

ゆったりした散策路を夫婦池へ。
早くもエゾオヤマリンドウが美しい青紫の花を咲かせている。
そう言えばアキノキリンソウも咲き出していて、秋の気配が忍び寄りつつあるのを実感する。

エゾオヤマリンドウ
エゾオヤマリンドウ

 

夫婦池から望む旭岳、いつ見ても均整のとれた堂々とした姿で美しい。

旭岳
夫婦池からの旭岳

 

雲が湧くのか流れてくるのか、いつの間にかすっかり曇り空。
花見が目的ならこの位の曇り空の方が楽で良いと自らを慰め、裾合平へ足を進める。

チングルマの大群落を期待していたのだが、すでに花は終わっていて穂が風にそよいでいる。
残念だが当麻乗っ越しまでに見られない時は、当麻岳に登れば楽しめる筈とチングルマはひとまず諦める。

雪田が遅くまで残っていた所だろうか、エゾコザクラが咲いている。
地形などによって思わぬ花に出会えるのも、山歩きの喜びである。

エゾコザクラ
エゾコザクラ

 

まだ花に張りがあり色彩も若やいで綺麗な旬のコザクラに、「ありがとう!」と声をかける。

裾合平は間も無くと言う地点に、チングルマが花をつけている所があった。
きっと小さな雪渓が残っていた所なのだろう。
登山道からは少し距離があったが、美しく清楚に咲き競っていた。
山肌を白く埋め尽くす旭岳のチングルマ大群落の一端を見られて嬉しかった。

チングルマ
チングルマの群落

 

チングルマ
チングルマ

 

裾合平に着いて、休憩ベンチで一休み。
ゆっくり歩いたつもりだったが、途中2・3組を抜かせてもらったので今日の一番乗りだ。

これだけ歩けば何時もだったら少しは汗ばんでいるはずなのに、全く汗をかいていないし喉も乾かない。
変だなと思いつつドライフルーツを少し口にする。

いつの間にか空は青空になって、当麻岳から安足間岳の稜線がくっきり見え出した。
緑の景観も清々しく美しい、でもここはオレンジ色に染まった秋色がよく似合う所だと思う。

当麻岳
当麻岳〜安足間岳

 

裾合平〜当麻乗越し

中岳温泉への道を右に分け、当麻乗越しへ足を向ける。

花はそれほど多くはないが、点々と絶え間なく咲いていて飽きることはない。
何種もの花がまとまって咲いていた所で、一枚。
「みんな、良い顔してね!」

記念写真
何種もの花が咲いていた

 

チングルマ、エゾノツガザクラ、アオノツガザクラ、エゾコザクラ・・・
それらが一堂に揃って緑の屏風の前に勢ぞろい。

ミヤマリンドウも吸い込まれそうな深い青色を見せていた。

ミヤマリンドウ
ミヤマリンドウ

 

ミヤマキンポウゲも長めの茎を風に揺らして気持ち良さげに、花を咲かせている。

ミヤマキンポウゲ
ミヤマキンポウゲ

 

エゾノツガザクラやアオノツガザクラも壺型の花を咲かせ、虫を呼んでいる。
マルハナバチやハナアブが無理やり体を花にねじ込んで花粉まみれになっている様子がなんとも可愛らしい。
薄いピンク色の花を見つけたので撮ってみた。

エゾノツガザクラ
薄ピンクのエゾノツガザクラ

 

道の左手に独特な姿の岩と湿原が現れた。
何故か、何時も気になる場所なのである。

カミさん云く、「左の岩はカメレオンの顔みたい」

岩場
岩場と小さな湿原

 

やがて道はピウケナイ沢を渡る。
雪解け水を集めた沢は、少々増水傾向。
飛び石の足場に注意しつつ、慎重に渡る。

ピウケナイ沢
雪解け水のピウケナイ沢を徒渉する

 

脱水? 低血糖?

日差しが強くなって暑いぐらいなのに、汗を全くかいていない。
逆に、冷や汗のような冷たさが背中から腰にかけて感じられる。何だ?

ピウケナイ沢を渡ると少し急な斜面を登る、ウサギギクが咲き出したばかりの新鮮な色合いを見せている。

ウサギギク
ウサギギク

 

なんだか急にスゥ〜と体から力が抜けていく感じがして足が重くなった。
どうしたんだ? 前を行くカミさんの足が遠のいていく。
以前、低血糖になった時の感じに似ているような・・・。

先を歩いていたカミさんが心配そうに戻ってきて「どうしたの? 膝?」
「うん、脱力感がしてやる気が起こらないんだよ」
「熱中症かしら? ともかく日陰で寛いでお水を飲んだら・・・」

そういえば昨日のトイレ騒動で、昨夕から水は一滴も飲んでいない。
いつもは水分を多めに摂っている私にしては、異常なことだ。
水を多めに飲み、低血糖かもしれないとチョコレートやドライフルーツも口にする。

10分ほど休み、もう間近なはずの当麻乗越しへゆっくり進む。
ミヤマダイコンソウが大丈夫? と励ましてくれている。

ミヤマダイコンソウ
ミヤマダイコンソウ

 

当麻乗越し 沼の平

緩やかなトラバース道を少し行けば、当麻乗越し。
岩がゴロゴロ積み重なっているだけの所なのだが、沼の平の牧歌的な景色や大雪の雄大な景観が堪能できる好きな場所なのだ。

旭岳
当麻乗越しからの旭岳とトムラウシ・小化雲岳の景観

 

十勝連山や夕張山地の山々もしっかり姿を長々と見せ、眺めているだけで気持ちが穏やかになる。
一方、暑さと戦いながら美瑛富士からトムラウシを経て旭岳まで歩いた時のことも昨日のように思い出される。

十勝連山
左奥にトムラウシ・忠別岳など、右奥にオプタテシケ〜富良野岳の十勝連山

 

目を転ずれば、眼下に沼の平が広がっている。

沼の平
池や湿地が点在し、平和で牧歌的な景色が広がる

 

沼の平
沼の平 岩と水と笹原が織りなす景観

 

当麻乗越しの岩に腰を落ち着け、景観を眺めつつ水分を多めに取り、お腹は空いていないが堅焼きパンやグレープフルーツを口にする。

最近話題になっている「旭岳の白鳥の雪形」がよく見えているが、融雪が進んで首や羽がやせ細ってしまい少しかわいそう。
逆に左下が頭だと思うと始祖鳥のようにも見えなくはない。

白鳥の残雪
左下が「白鳥の雪形」

 

気持ちよく晴れた時間をのんびり過ごす贅沢をじっくり味わう。

乗っ越しで  
当麻乗越しにて

 

当麻乗越し周辺で花を探してみる。
岩にチシマツガザクラがへばり付いているが、花はもう少し先のようだ。
花は少ないけれど、岩陰や沼の平への道沿いの草むらに点々と咲いている。

ミヤマキンバイ
ミヤマキンバイ

 

ミヤマキンバイが清楚な花を、モミジカラマツも白糸の塊のような花を咲かせていた。
どちらの花も旬の状態の綺麗な花だ。

カラマツそう
モミジカラマツ

 

ウサギギクがハイマツの日陰にひっそり咲いている。
逆光を利用してちょっと幻想的な雰囲気を作為してみる。

ウサギギク
ウサギギク

 

岩陰のミヤマリンドウが透き通るような青を見せている。

ミヤマリンドウ
ミヤマリンドウ

 

1時間も当麻乗越しで休息し、すっかり英気を取り戻した。

再び体調不良に陥ることを心配して意識してゆっくり歩き、往路をそのまま引き返す。
おかげで、花や景観を楽しみつつ姿見駅に戻ることができた。

ようこ
旭岳をバックに

 

今年初めて訪れた大雪山系、大雪らしい伸びやかで雄大な景観と可愛らしい花々で迎えてくれた。

前夜からトイレが使えなかったのを配慮して水の摂取を我慢したためか脱水症状のような体調不良になるハプニングもあったが、大雪を歩けて嬉しかった。
若い時のように思いついたら即山行という訳にはいかなくなってきたけれど、時間をかけ余裕を持った計画で少しでも長く楽しんでいきたいものである。

 

 

 

 

 

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