中秋の名月
ススキは、お月見の雰囲気
10/4 (水)は中秋の名月と言うのに、日中は晴れても肝心の夜は雨の予報。
そこで昼にクルミ餡と五平餅を作り庭のススキとワレモコウを肴に、秋の仮想お月見と洒落込んだ。
月明かりならぬ眩いの光の中でのお月見もどきは風情もないが、クルミ餡の五平餅は食べ過ぎ注意を心配するほど美味しかった。庭の花たちもミナヅキは清純な白から錆びた赤色に変色し、シュウメイギクも盛りを過ぎて秋の深まりを思わせる。
ホトトギスの優しい赤紫色が唯一のお色気である。
タイワンホトトギス
大雪山など高山の紅葉はすでに終わって初冠雪の知らせが届き始め、市街地でも木々が色をまとい始めた。
そろそろ郊外の里山の紅葉が見頃かも知れない。
豊平峡
気持ち良く晴れ上がった 10/6 (金)の朝、急遽カミさんと相談し札幌の豊平峡を訪ねることにした。
カミさんは観楓会で行ったことがあると言うが、私は豊平峡に行くなら札幌岳と言う部類の人間なのでこれまで訪れたことはない。
ただこれからの人生を思うと、山一筋だった生き方から老化に応じて色々試し楽しんでいくことが肝要なのだとは思っている。千歳から真駒内、定山渓を経由し、札幌岳登山口を過ぎると豊平峡ダムに通じる大きな駐車場。
馴染みの札幌岳登山口には数台の車が停まっていて、思わず登りたくなる。
豊平峡ダムへは駐車場からEVバスが走っていて、大半の人はこれを利用するようだ。
私たちは運動を兼ね歩いて行ってみる、距離は1.5Kmほどだ。1Kmほどの第一トンネルを抜けると、「おお・・・!」思わず声が。
想像していたより見事な紅葉が広がっていた。
トンネル出合いからの紅葉
赤・黄色・緑が程よく混ざり合った美しい紅葉風景。
特に山頂付近の標高7〜800m付近がとても良い感じで色づいている。道を挟んで反対側には「九段の滝」が流れ落ちていたが、こちらの紅葉は後1週間は必要な感じ。
二番目のトンネルを抜けると豊平峡ダム。
広々したダムサイトと大きなダム湖、それを取り囲む山々が気持ちの良い空間を演出している。
豊平峡ダムと紅葉の山
千丈岩と呼ばれる岩山の紅葉と岩そして空とのコントラストが印象深い。
岩と紅葉が互いを引き立て合っている
お目当の紅葉は、取り囲む山々の山頂付近が真っ盛り、ダム湖付近が五分くらい。
花で言えば、咲き始めの旬の頃。瑞々しいまさに見頃の紅葉である。
ダム湖付近は五分程度の紅葉か
そんな美しい紅葉を背景にスナップを一枚。
思わぬ美しさに笑顔が溢れる
ダムサイトのほぼ垂直に切り立った岩に紅葉した木々やツタが光に輝いて美しい。
岩に張り付く赤や黄色の木々が輝く
ダムサイトにある「だむみえ〜る」と云うレストランから10分ほど登ると山頂見晴台があるというので登ってみる。
景観そのものは代わり映えしないが、ダムの全景と放流を見ることができた。
豊平峡ダムの全景と放流
木漏れ日の広葉樹林の落ち着いた色合いの紅葉は、私たちの好きな光景。
木漏れ日に映える一本の楓を切り取ってみた。
木漏れ日の紅葉
木漏れ日の紅葉とは対照的な華やかな岩肌の紅葉がレストランの上に広がっている。
観光客、特に中国や韓国の人たちにはこちらが圧倒的な人気である。
日本の風情を喜んでくれるのは嬉しいけれど、もう少し静かに穏やかにしてくれないものかな?
華やかな色合いが広がる、岩肌の紅葉
朝里岳中腹
豊平峡を満喫し、次いで標高7・800m 位の所が良さそうだと朝里岳中腹の札幌国際スキー場へ足を延ばす。
ちなみに豊平峡と札幌国際スキー場は札幌の2代紅葉スポットとのポスターが貼ってあった。(他にも北大構内や西岡公園、平岡樹芸センターなどもそのように言われており、真偽のほどは定かではない)ここは歩いて散策することは叶わず、ゴンドラで山頂駅を往復するのみ。
シニア券(気持ちお安くしてくれる)を購入して、全くの観光客気分。ゴンドラには窓一面に破損防止のシートが貼られていて、それが劣化しているのか変な光が入ってくるし歪むしで写真には不向き。
ドアの窓を15cmほど開けることができたので、そこからカメラを構える。山頂駅の標高は約1100mだから、紅葉は中腹のゴンドラ中間地点ぐらいが良いようなのだ。
ゴンドラ中間地点付近の紅葉
中間点を過ぎてからしばらくの間は、まさに一面の黄色の中を行く。
ゴンドラが黄色の渦に巻き込まれ揺れ動いているような気分に。
一面黄色の中をゴンドラが行く
ダケカンバの黄色・黄色が延々と続いている。
こんなにダケカンバの林だったんだ、と改めて驚く。これはこれで、思いもしなかった素晴らしい経験だった。
山頂駅に着くと、ダケカンバの葉は散っていて黄色はもうない。
一部に昨日降ったものか、シャーベット状の雪が残っていた。紅葉は無いが、展望は一級品だ。
小樽の街や湊、積丹の山々、石狩の海岸、増毛山地や樺戸の山、夕張山地の山々、手稲山などの札幌近郊の山々などが手に取るように見えている。
山頂駅から小樽市街地と湊
手稲山とゴンドラ 遠くに霞むのは夕張山地
山頂駅付近での唯一の紅葉は、ゲレンデに取り残されたように残っている一群れの木々。
精一杯の生き様を見せている。
ダケカンバの黄葉は散ってしまったが・・・
国際スキー場では歩いて楽しむことは出来ずゴンドラ往復だったが、豊平峡とは一味違う黄色の黄葉を満喫することができた。
麓でも存在感たっぷりの一本の見事な黄葉を見つけ、見とれてしまった。
一本の黄葉
帰路、休憩した札幌湖の展望台では小天狗岳や札幌岳を望む景観に癒された。
小天狗岳と札幌岳(奥)を眺められる札幌湖
恵庭渓谷
千歳への帰路、混雑する札幌市街地を避けるべく石山から支笏湖へ通じる国道453号線へ。
途中から恵庭方面に左折、するとそれまで気にもならなかった木々の色が急に鮮やかになってきた。
これなら滝の紅葉が綺麗かもしれない、立ち寄ってみようか。まずは、「白扇の滝」
良い感じで色付いている、歩き慣れた自分のポイントへ直行する。
白扇の滝
「綺麗だね〜」
「丁度良い色合いじゃない。素晴らしいわ」
白扇の滝
赤が少し足りない感じだが、旬の色合いで美しい。
あと数日が見頃なのかもしれない。
白扇の滝
次いで、「三段の滝」
この滝は滝水が葉に隠れて全体を見ることが難しい。
撮影ポイントを慎重に選ぶ。
三段の滝
白扇の滝とは異なり、一本の真っ赤な楓が滝を引き立て良い感じ。
ただ「秋入日はつるべ落とし」の言葉通り、夕日が山陰に隠れはじめ光に勢いがなくなり、気が急かされる。
最後は「ラルマナイの滝」
遊歩道が崩落して滝下まで降りられなくなっている。
ラルマナイの滝
滝の近くから全景が思ったより良く見られ、紅葉の始まった一枝とのコラボが楽しめた。
残念だが光がなくなり、景観はどんどん平板な印象に変わってくる。
撮影はこれまで。もう一度目に焼き付けて帰路につく。
今回はいわば、秋の観光コース巡り。
今までは敬遠して寄り付かなかったコースであり場所であったが、時期が良かったのかとても素晴らしく心に残った。汗をかき苦労しながら登っての紅葉や景観はもちろん素晴らしいのだが、 さして苦労せずに見る景観や紅葉も美しさに変わりはない。
私自身、特にこれからは痛めている膝を始め、体の不具合がもっと増えてくる筈だ。
その状態に応じて楽しむ選択肢を数多く持つことが、生きがいにも通じるだろう。
そのためにはある程度の妥協も必要、我慢できる範囲を少しづつ広げていきたいと思う。