カルルスの氷筍(ニョロニョロ)

道央  2018.2.26(月)  晴れ

 

 

氷筍

 


 

 

 
2018.2.26(月)
サンライバスキー場 1040
もぐもぐタイム 1120〜35
氷筍洞窟 1205〜40
サンライバスキー場 1345

 

 

 

 

 

氷筍

皆様は「氷筍」という氷の芸術を、ご存知でしょうか?
本ページでも2004.3に「大滝の円山ニョロニョロ」で紹介していますが、知名度としては低いのではないかと思います。

氷柱(つらら)は軒先や洞窟の天井などから水滴が滴り落ちる直前に凍りつき、下へと伸びる氷の柱。
これに対して氷筍は、天井などから滴たった雫が落ちた瞬間に凍り付いたもので下から上へと伸び上がる氷の柱。
-3℃程の洞窟内で出来ることが多いらしく、それが保たれる地形や気象条件の所が少ないため、なかなか見られない氷の芸術なのです。
言わば、氷柱は鍾乳洞における鐘乳石、氷筍は石筍に似ていると言えるかもしれません。

そんな氷筍が以前紹介した大滝の円山の他にも、登別のカルルス温泉から北西約4Kmにある山中の洞窟にもあると言う情報を得て、見に行ってきました。

 

サンライバスキー場

千歳の自宅を朝8時半に出発、苫小牧・白老を経由して登別からカルルス温泉へ。
さすが太平洋沿岸で全般に雪は少なく、国道は乾いて夏道並みで千歳や札幌とは大違い。
登別からオロフレ峠に向かう道々に入り、登別温泉への道を右に分けると北国らしい雪道に。
カルルス温泉隣のサンライバスキー場の駐車場に車を止め、準備を整える。

スキー場
サンライバスキー場 正面奥が来馬岳

平日でスキーを楽しんでいる人は少なく、ほとんどが外国人観光客。
初めてのスキーを恐る恐る楽しんでいる様子が微笑ましい。

目的の氷筍洞窟へは途中まで林道が利用できる。
ロッジや売店の前を通り、スキー場に向かって一番右のリフトの下を通過して林道へと向かう。
目的の洞窟は来馬岳(1040m)の北北東にあり標高約550m、スキー場は来馬岳の東側で標高約350mだから、概ね来馬岳の中腹を東から北へ回り込むように緩やかに登るイメージである。

利用する林道は明瞭で広く歩き易い、前日の日曜日にかなりの人が訪れたようでしっかりしたトレースが残り、まるで遊歩道のよう。
スノーシューを履いたが、つぼ足でも全く問題ない。
鳥の声を楽しんだり、おしゃべりしたりのお散歩気分で進んでいく。

 

もぐもぐタイム

少しお腹が空いてきた。
時間は1120、いつもお昼を食べている時間である。
歳をとって体の機能は衰えつつあるのに、腹時計だけはしっかり働いている私なのです。

もぐもぐタイム
林道で、もぐもぐタイム

林道に立ったまま、もぐもぐ。
持参した堅焼きパンのサンドイッチを半分、カミさんはトイレを心配してか飲み物を控えている。
女性はこんな時にも色々と大変なのだなあ〜。
その点、私ら男性は何の配慮も必要なしで申し訳ない気分。

 

ピンクテープ

再び歩き始めて間もなく、林道は途切れた。
周囲は平凡な地形で、明瞭な尾根や沢筋も見当たらず、何の特徴もない。
地形判断に戸惑う場面が多そうな地形である。

幸い、この日はしっかりしたトレースが残っており安心してトレースを辿る。
それでも来馬岳の北につながるカルルス山などに行くのであろうか、左に分けるトレースが2本ほどありその都度ルートを確認しながら進んでいく。

そんな時有難いのが、赤やピンクのテープである。
不安を感じた時、探すと必ずと言って良いほどテープが誘導してくれる。

沢を2度ほど小さなスノーブリッジを利用して越え、少し煩いほどの赤・ピンク・青のテープに導かれ緩やかに登っていくと、目的の洞窟に。思ったより大分早く到着した。

洞窟入り口
到着した洞窟入り口

 

デカくて長い!

狭い洞窟内では氷筍に触れ折ってしまう心配があるので、ザックを降ろして空身になり、滑らないようストックを一本持って洞内に入る。

入り口から見える氷筍は予想したよりずっと大きく長く、期待が膨らむ。
大きさが分かるよう、カミさんに立ってもらい比較してみた。

洞窟
入り口付近の氷筍 大きさが分かると思う

洞窟内は奥に行くほど地面も氷で覆われツルツル。
転んだり、氷筍を折ったりしないよう細心の注意を払いながら氷筍を見て回る。

凄い!
こんなに大きく成長するものなのか?

氷筍
色や形、模様も千差万別の氷筍たち

長さは2mから3mにも達し、太さは数cmから20cmぐらい。
色も無色透明なもの、ブルー掛かっているもの、氷の中に作られる模様も渦巻あり縦縞あり濃淡ありと千差万別で美しい。

氷筍

 

光が差し込んでいる所と光が届かない所でその表情は大きく異なり、さらに氷筍と氷柱が混在し、床も氷で輝き、一部には沢水が流れているなど、想像をはるかに超えた多様な姿形が摩訶不思議な感覚に誘い込む。

 

氷筍
様々な氷の芸術品が並び、その向こうには沢水が流れている

 

光と影

このような洞窟では光とその対比でもある暗がり・影の存在が否が応でも意識させられる。
山頂などから景観を眺める時には、あまり意識しない感覚である。

よく写真や絵画は光と影の芸術と言われるが、全くその通りだな〜と納得させられる。
私には上手くコントロールできないけれど、カメラの絞りやシャッタースピードを変化させ、表情を写し取ろうと試みる。

氷筍
光を浴びて輝く氷筍

洞窟の中はかなり狭い、氷筍は小さなものが多いだろうとマクロレンズなどを持ってきて広角側は35mmレンズしか持って来なかった。
狭い所で大きな氷筍を撮るには広角レンズが打って付けなのに・・・、仕方なく35mmレンズで体を屈めたり伸ばしたりと苦戦する。
カミさんから「それ以上退がったら水の中に落ちるわよ!」「氷に触りそうよ!」と注意喚起。


氷筍
逆光の氷柱(左側)と氷筍

 

氷筍
氷の造形や模様が美しい氷筍を狙って

 

氷筍
大きな氷筍の前でご満悦

 

暗がりに目が慣れてくると、一本一本の氷筍の形が色々なものを連想させる。
動物や鳥、植物、野菜やキノコなどなど・・・。
自然の造形の不思議さなのだろう。規則的に並んでいるかと思えば、思わぬ変化を見せたりする。

例えば次の写真。皆様には何に見えますでしょうか?
私たちも、鹿が上を眺めているとか、ハシビロコウが佇んでいるとか、ヒールを履いた女性の足とか、色々な見え方を考えたり楽しんだり・そして笑わせてもらいました。

氷筍
さて、何に見えますか?


氷筍
同じ氷筍でも見る角度を変えると・・・

 

大きいものに目が行き勝ちですが、氷筍の赤ちゃん達の姿も可愛いものです。
生まれたての氷筍がどんな姿に成長するのか、見届けたい気分にさせてくれます。

氷筍
まだ小さな産まれたての氷筍の赤ちゃん達

 

氷筍
明るい外を背景に

 

今年1月の新聞に載った記者探訪の情報で知ったカルルスの洞窟氷筍。
近くだから見に行こう位の気持ちで大きな期待はしていなかったのですが、どうしてどうして素晴らしい氷筍を堪能することができました。
自然の造詣の深さの一面に触れられた感覚さえ持つことができました。

行かれる方は、その時々の気温や条件によって氷筍の状態は大きく異なると思いますので、その辺はご理解の上、行ってみてください。
積雪でトレースがない時もありますので、ルート判断は的確に行ってくださいね。
特徴のない平凡な地形で迷い易いと思いますので、不安を感じたら戻りながらピンクテープを探すことです。それでもダメなら諦めて再チャレンジをお願いします。

豪快かつ繊細な美しい氷の芸術に出会えることを祈っております。

 

 

 

 

 

inserted by FC2 system