4月も下旬、G/Wも間近になってきました。
本州では早くも桜は散り、夏日や真夏日というニュースが飛び交っている。
北海道でもG/W前半には桜前線が到達する見込みだし、近くの林や野では宝石を撒き散らしたような山菜や小さな花たちの緑・ピンク・黄色・白などが目立つようになってきた。まさに春の妖精たちの、長い灰色の冬を乗り切った小さな喜びが舞い踊る光景。
仏頂面の爺様の気持ちさえ明るく弾ませてくれる、春の使者なのだ。そんな彼らの可憐な姿や表情を少し訪ねてみた。
庭や野原で
庭の一角に産毛に覆われた大きめの塊が土から顔を出し、3・4日もすると白い産着に包まれた蕾が幾つも。
毎年楽しみにしている、「我が家の春の使者」である。
産毛に包まれたオキナグサいつもは白と紫の花がほぼ同時に咲くのだが、今年は一足早く白のオキナグサが顔を見せてくれたのだ。
その他、小さな黄色があちこちに。「キバナアマナ」の花たちだ。
生命力が強いのか、何時の間にか庭のあちこちに勢力範囲を広げている。
でもその控えめな色と大きさは少しの嫌味もなく、苦にならない。
「チヨノドクサ」と共演する様子は、自然に溶け込んだ野の姿そのものだ。
キバナアマナとチヨノドクサ
小さな蕾を沢山付けた赤い茎がこんもり盛り上がっている。
カミさんの大好きな「タツタソウ」。
2・3日もすると、青紫と言うか藤色の上品な花が一斉に花を開いた。
タツタソウ日露戦争当時、軍艦「龍田」の軍人さんがシベリアから持ち帰った花。
花好きの風雅な兵隊さんのおかげで、多くの人たちに親しまれるようになった花。
花の命は短くて3日もすれば花を閉じる、代わりに糸巻の型をした葉がこんもりと繁り「糸巻草」の別称も可愛らしい。
そしてこちらもアメリカ原産である「サンギナリア」。
園芸用に品種改良されたものだが、なんとも可愛い姿の花である。
サンギナリア大きな葉で蕾を大事そうに包んで立ち上がってくる姿は、愛する我が子を抱きしめているようでもある。
大きく開く純白の花は清楚でお淑やかなのに、なぜか目を惹き目立つ存在。
一重と八重のものがあるが、我が家のは一重で原種に近いらしい。
大事に育て増やしたい、我が家の春の妖精の一つである。
最後に春の妖精とは呼ばれない栽培種の「玉咲サクラソウ」であるが、半分が日光を浴び半分影に覆われた花が光り輝いているように見えたのが春らしく、ご紹介。
玉咲サクラソウ
日高路の妖精たち
4/26(木)、日高路に咲く春の妖精たちに会いに行こうとドライブの旅に。
お天気は晴れて暖かく花や景観を見に行くには最高と出かけたのだが、ちょっと変。
全体がどんより白っぽく霞み、晴れ晴れとした気分になれないのだ。
原因はどうやら「PM2.5」、シベリアの森林火災の影響らしい。
様似、天神山
麓のスポーツ広場に車を停めて、ゆっくり登っていく。
すぐに「エゾエンゴサク」たちのお出迎え。
エゾエンゴサク
エゾエンゴサクには白系・青系・紫系・赤系と変化が多く、それが魅力の一つにもなっている。
ここには、私の好きな水色の花が多く嬉しい。すでに花は見頃を終えようとしていて、種を付けているものも多い。
春の妖精たちは、自らの受粉を終えると清く地表から姿を消し、他の花たちに場所を譲る。
それが潔さや清潔感を感じさせる一面でもある。
種を付けているエゾエンゴサク
少し登れば、天狗山山頂広場。
幾つも置かれている観音様の石像の周りは、「カタクリ」がたくさん。
春の観音山を象徴する風情である。
観音様とカタクリの花「綺麗だね〜。春爛漫、観音様も楽しそう。」
平日のせいか、訪れているのは私たちだけ。
こんな贅沢を独り占めして良いのだろうか? と思いつつ、のんびり散策を楽しむ。
ちょっと一休みカタクリの花たち、盛りを過ぎているものも多いけれど蕾を持った花もたくさん。
結構長い期間楽しめるようだ。
旬の花を探して一枚。
カタクリ
「アヅマイチゲ」や「ニリンソウ」も咲いている。
我が家の庭にも咲いているが、やはり広々をした野に咲いているのがお似合いだ。
アヅマイチゲアヅマイチゲとキクザキイチゲ、最近まで私には見分けが難しかった。
花ではなく、葉で見分けると比較的容易。
葉が楕円形で先端も緩やかに丸みを帯びた切れ込みなのが、アズマイチゲ。
葉が春菊のような切れ込みの大きいのが、キクザキイチゲと思ってほぼ間違いないようだ。ニリンソウは群生している様子が似合っている。
ニリンソウ蕾や開いたばかりの花が、ほのかな赤みに染まるのが可愛らしい。
ニリンソウの蕾
天神山には、樹齢四百年と言われる「柏のご神木」が健在だ。
柏の木とはとても思えない、ゴツゴツした木肌。
年月を耐え曲がった樹影。圧倒されるものがそこにはある。
天神山のご神木
静内 判官館
様似から沢筋や牧場で花や子馬の仕草などを楽しみながら静内まで戻り、判官館公園へ。
膝を痛めている私たち二人、庇いながらも鍛えなくてはと広い園内をゆっくり散策。
観音山と同じような花々が咲いている、目立つのは「オオバナエンレイソウ」。
丁度、旬の花たちが咲きだした時期で、新鮮で綺麗な花ばかり。
オオバナエンレイソウ
カタクリやアズマイチゲも負けじと咲き競っている。
カタクリ園内は緩やかなアップダウンがあり、コースは自由に選べる。
山歩きから遠ざかっていた体には、緩やかな登り下りが結構しんどい。
「こんな傾斜なのに足に来るよ! 情けない。」そんな私たちを花たちが励ましてくれる。
アズマイチゲ「G/W明けからは、意識して簡単な低山から歩き始めよう。なにせ今が、これからの人生で一番若いのだから・・・」
そんな頑張る話をしているのに、花を理由にカメラを構え一休み。
先が思いやられるかな〜?
オオバナエンレイソウ
1時間半ほどの散策を楽しんで、出発点へ戻ってきた。
広場に腰を下ろし、お菓子を食べながら、帰宅への気力を取り戻す。
結構 疲れたね〜!
大気汚染
この日は晴れているのに、白っぽい霞がかかったようなどんよりした天気だった。
日高路を訪ねる時の楽しみである、雄大な海岸線も雪を頂く日高山脈の大景観も白く霞んで何も見えない。
今回の視界不良はロシアの森林火災の影響だと後から聞いたが、東京オリンピックがあった1960年ごろの日本も大気汚染が激しく、今TVで見る北京の様子と同じだった 。
光化学スモッグ注意報が連日発令されていた中を遊びまわっていた高校時代のことや、澄み切った青空を飛んでいた飛行機が羽田に降りるためドブネズミ色に汚れた空気層に突っ込んでいく様に驚いたことなどを思い出し、日本も良い時代になったものだと話しながらハンドルを握る。途中、喉がいがらっぽくなって何度もうがいをしながらの運転だ。
疲れて戻った我が家の庭、石に根付いたツツジが一輪の花を付けていた。
まさしく「ど根性ツツジ」なのであった。
ど根性ツツジ
今年、後期高齢者の仲間入りをする私だが、自分の足で行きたい所へを目標に、鍛えながら楽しんでいきたいと思っている。
庭のど根性ツツジに負けぬよう頑張ろう、もちろん様似の観音山のご神木に敵う訳は無いのだが・・・。