春の足音

道央   2018.3.28(水)〜4.6(金)   晴れ・曇り

 


 

水芭蕉

 

全国的に、今年の春は一気に、しかも駆け足でやってきたようだ。
各地に大雪をもたらすなど厳しかった冬を取り戻すかの勢いで気温上昇、東日本や西日本では3月20日頃には桜が開花し月末には満開で春爛漫とか。
早すぎる春の訪れに少々戸惑い気味の方も多かったのでは。

ここ北国でも激しい寒暖の変化を繰り返しながらも着実に春は訪れ、待っていた人々の気持ちを明るく弾ませている。
そんな春の足音に耳を傾け、春の気配を感じ取ってみた。

 

暖気

例年だと北国では3月中頃から徐々に気温が上がり始め、風物詩にもなっている庭や道路の雪割りに精を出す姿があちこちで見られるようになる。
ところが、今年は3月中旬に急激に気温が上がり最高気温が13℃にもなる日が1週間も続いた。
雪割りをする必要もなく、道路や庭の雪や氷は数日の間にみるみる溶け、約5ヶ月ぶりに黒い土が姿を現した。

そんな気配を真っ先に感じ取る草花が、福寿草とふきのとうである。
小川の土手を歩いてみると、南斜面に点在する小さな黄色や黄緑が目に入る。
北国に春を運んでくる、幸せの色なのだ。

福寿草
小川の土手に咲き出した 今年一番咲きの福寿草

 

花びらをパラボラアンテナのように開き、貴重な太陽の熱を逃すまいとする懸命な姿がなんとも愛おしい。

福寿草
大きく開いて虫を誘う

その懸命な気配を敏感に感じ取った蜂たちが、せっせと蜜を吸いながら交配の後押しだ。

ふきのとうも土手の北斜面のは硬い蕾状態だけど、南斜面のは大きく育ち美味しそう。

ふきのとう
ふきのとう

少々頂いて天ぷらや蕗味噌に。春の香りと味を楽しませてもらった。

こちらは少し薄い色の福寿草、レモンイエローに近いかな?

福寿草
福寿草

 

家の近くにある小さな湿地へ行ってみると、残っている雪を掻き分けるように座禅草が顔をのぞかせ始めていた。
1週間もすれば、座禅するお坊様の形をした黄色の花を咲かせることだろう。

 

寒の戻り

1週間近く続いた異常な暖かさから一転、寒の戻りで13℃近くあった最高気温が0℃前後、最低気温は-10℃位まで下り、2月下旬から3月上旬の気温に逆戻り。
暖かさに慣れた体が気温の急激な変化についていけず、外に出るのもおっくうになってしまう。

私たち人間だけでなく、芽を出したばかりの花たちも思わぬ寒さに戸惑っているように見える。
かなり大きく花弁(仏炎苞)を伸ばした座禅草など、その代表格ではなかろうか?
覗きに行ってみると案の定、花を咲かせることもできず、ひたすらじっと耐えている。

座禅草
寒さに耐える、座禅草

聞くところによると、座禅草は自身で発熱する機能を持っていて、その熱を仏炎苞とも呼ばれる花弁の中に溜めて花を咲かせ、繁殖のための虫を呼び寄せるという。
だが、いくら頑張って発熱しても余りの寒さで温度を上げられず、花を咲かせるには至らないのだろう。

「辛いだろうが、頑張って耐えろよ! きっと、あと2・3日の辛抱だ。」と声をかける。

 

座禅草
地面から顔を出したばかりの座禅草

 

そして小1週間して再訪すると、
咲いていた、咲いていましたよ。
「頑張ったね!」

座禅草
開花した座禅草

寒さを耐え・しのぎ切って、見事に花を咲かせた座禅草。
黄色の花粉が飛び散っているところを見ると、虫たちもたくさん訪れたのだろう。

 

座禅草
なかなか美形の座禅草

今まであまり気にも留めなかったけれど、姿・形・色にかなり違いがある。
丸いもの、背の高いもの、赤みが強いもの、艶があるもの・ないもの。

花一つ一つにも夫々個性はあるものだな・・・。

座禅草
丸い座禅草

 

三寒四温

4月に入り三寒四温のお天気が続き、人も草花も穏やかにそれぞれを過ごし始めたように見える。
やはりいつも通りの生活が心を穏やかにし、優しくもするのだろう。

 

千歳湖

水芭蕉はどんな様子か気になって、毎年見に行っている千歳湖に出向いてみた。

今年は雪解けが一気に進んだせいなのか、全体に水量が多い感じ。
湖から流れ出る水路沿いに広がる湿原の水量も例年より大分多い。

水芭蕉
水芭蕉

 

まだ咲き始めで、量は多くないけれど、早咲きの花が咲き出している。
ただ残念なのは、寒の戻りの寒さで痛めつけられ花や葉の先が黒や・茶色に変色している花が多いこと。

水芭蕉
咲き出した水芭蕉たち

綺麗な姿を撮ってあげようと思うのだが、傷んでいる花が多くて構図選びに苦労する。

花を選んで歩き回る。
長靴を履いていても水量が多いし、ぬかるむ所も多いので、体のバランスを保つのも注意が必要だ。

水芭蕉
花や葉の先が傷んで変色してしまった花も多い

 

順光、逆光、水のきらめき、条件を変えて花たちの表情を探っていく。

イメージに近い写真が撮れた時は嬉しいものだ。

水芭蕉
水芭蕉

せっかく咲いてくれた花たち、傷んでしまった花が多いのも天候という逆らえない要素のためだと分かっていても、つい避けてしまう人の業を感じてしまう。
「ごめんね。」

 

庭の花たち

千歳湖から戻ってくると、山の花たちの様子を知りたくて植えた庭のカタクリやアツマイチゲが咲き出していた。

そろそろの山歩きの時期になったのを喜び、ちょっと一枚。

水芭蕉
庭の一角に咲き出したアツマイチゲとカタクリ

 

カタクリは木漏れ日の環境が気に入ったのか、少しづつ繁殖しているようで今年も元気に花をつけた。
優しげなピンクの花びらが何ともいとおしい。

カタクリ
カタクリ

 

アツマイチゲは、おしとやかな花。
上品で清楚な花を咲かせるとわずかな期間葉を茂らせ、あっという間に地表から姿を消して次の花たちに場所を譲る。

健気でおしとやか。好きな花の一つである。

アツマイチゲ
アツマイチゲ

 

ナニワズも花をつけている。
どこにでもあり、珍しくもないが、春を感じさせてくれる花なのである。

ナニワズ
ナニワズ

 

 

いよいよ、今年も山や野の花を楽しめる季節がやってきた。

今年はカミさんが膝の裏側の筋と筋肉を痛め、遠出はできない状況にある。
せめて写真を撮ってきて、季節を感じ気力を回復してもらいたいと思っている。

 

 

 

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