待ちに待っていた、春の妖精たち
北国も2019年4月に入ってやっと春の気配が濃厚になってきた。
とは言え、気温の変化・寒暖の差は大きく今年は10日単位で春と冬を行ったり来たり。
そんな気温の激しい変化に体がついて行けず、3月には風邪をこじらせ肺炎になり大変な思いをさせられた。
おおむね回復するまで約1ヶ月、過信せず体を労わる大事さを実感させられた。毎年楽しみにしている春の妖精たちとの出会い、天候が安定した4月の中旬に日帰りであちこち訪ね歩いてみた。
日高路
春の妖精たちと白く輝く山々とのコラボを見たくて、少し早めの時期に日高路を訪れた。
三石の道の駅からは春と言うより冬の装いそのままの日高主稜線が神々しく連なっていた。
神々しく鎮座する日高主稜線の山々
走る国道沿いには、花の気配も感じられない。
いささか不安を感じながら着いた様似の観音山、カタクリとアズマイチゲそしてエゾエンゴサクの大群落に何度も歓声を上げた所なのだが、悪い予想は当たりエンゴサクと僅かなアズマイチゲが咲いているだけだった。
エゾエンゴサク
この日は大気が澄み切って遠望が素晴らしい。
アポイ岳や吉田岳、ピンネシリが手が届くほど大きくくっきり見えている。
アポイ岳(右)と吉田岳(左)山肌にはまだかなりの雪が残り、登山道も雪に覆われている。やはり春の訪れは遅れめなのだ。
観音山に咲き始めているアズマイチゲを丹念に見て歩く。
咲き始めのアズマイチゲ咲き始めだけに、まことに新鮮で清楚。
だけど、少し色気と言うか品が今一歩の感じがする。
清楚感は満ち溢れているのだが・・・
花がまだ楽しめないとあれば、日高の山々の景観を求めるしかない。
そこで近場の楽古岳の勇姿を求めて天馬街道を登ってみる。途中にある幾つもの牧場から日高の主稜線が見え隠れしている。
牧場越しに日高の主稜線が姿を現した
天馬街道の楽古岳への分岐近くで、スックと立つ楽古岳が目に飛び込んできた。
「凄い! 素晴らしい!」
思わず膝の痛いのも忘れ、カメラを持って放牧場の中を走り回ってしまった。
春の陽光を浴びて、スックと屹立する楽古岳
次いで、浦河優駿ビレッジ「アエル」のトレッキングルートを歩きながら日高主稜線の山々を眺める。
このトレッキングルート適度なアップダウンもあり距離も約4Kmと手軽だが、ホーストレッキングも行われているようで馬の落し物があちこちに。景観に目を奪われていると、とんだ目にあうのでご用心。
トレッキングルートからの日高主稜線の山々定かではないが、野塚岳〜トヨニ岳付近の山並みであろうと思う。
トレッキングルートにある展望台で
優駿ビレッジアエルには立派な施設が立ち並んでいて家族で遊んでいる人たちも多い。
私たちもここの施設をお借りして、お昼ご飯。
雄大な眺めを満喫しながらのお昼は、おにぎりだけの粗食でも満足感溢れるものになりました。帰路途中、時々立ち寄る小さな魚屋さんで飛び切り新鮮なカレイとつぶ貝を購入し、晩御飯に。
千歳湖
日高路から数日、水芭蕉を見に千歳湖へ行ってみた。
水芭蕉はまさに旬でどれもとても美しい。
千歳湖の水芭蕉
例年堪能しているせいか、綺麗で清々しい花ばかりなのに、そんなに感動しない。
慣れ過ぎって不幸なことでもあるのだな。
咲き誇る 千歳湖の水芭蕉それでも清楚な花や澄み切った流れを見ていると、心が洗われるような感じになってくる。
自然が持つ力なのだろう。
花も水もきれい 心が洗われるよう
水芭蕉の咲く湿地の脇の雑木林、そこには可憐なヒメイチゲが結構見られる。
ついでだからと探しに行くが、やはり少し早めだったのか数えるほどしか見られなかった。
まだ少なかったヒメイチゲ
水芭蕉を見たその足で、座禅草の様子を見に行った。
小さな湿地を持つ小さな公園である。幾つかが花を咲かせて、ちょこんと座っている。
座禅草これから多くの花が顔をのぞかせるようでまだ数は少なかったが、今年も見られて安堵する。
祠の中は暖かいのかな?
庭の花
気温や天候の不順さに上手く対応して春の花を咲かせているのは、各家庭のお庭。
垣根や建物で風をさえぎり、陽だまりの暖かさを演出してくれるのだから、花にとっても過ごしやすい絶好の環境なのだろう。
今回も、春の妖精を一番堪能できたのは我が家の庭やご近所のお庭でである。
クロッカス庭を彩る早春の花といえばクロッカスが代表だろう。
可憐に咲き競い、花が終われば静かに姿を隠すところも春の妖精らしい。庭岩の南側の陽だまりではカタクリとアズマイチゲが一緒に咲き出し、春を演出している。
気持ちが優しくなるような感じがして、日に何度も覗きに行く。
アズマイチゲとカタクリ
カタクリも庭の中ではあるが、勝手に住みやすい場所に移動して株を大きくし自己主張し始めた。
カタクリ
繁殖力の強い「チオノドクサ」、いつの間にか庭の空き地を埋め尽くす勢いで勢力図を拡大している。
でも花が終われば、姿を消してしまうので決して邪魔にはならない節度を持った花なのだ。
チオノドクサ
キバナアマナもチオノドクサ同様に繁殖力の強い花。
この2種類の花の勢力争いは中々の見もの、ここはチオノドクサの勝ち・こちらはキバナアマナの優勢勝ちと判定も難しい。
キバナアマナ
カタクリやキバナアマナに遅れること約1週間、我が家の庭ではいわゆる園芸種と呼ばれる花たちが咲き出したちまち主役へおどりでる。
玉咲きプリムラその一つが玉咲きプリムラ、淡い色合いの玉咲きの花が何とも可愛く春らしい雰囲気を漂わせている。色も白・ピンク・紫など幾つもあるから人気があるのだろう。
私のお気に入りの花の一つであるオキナグサも花を付け始めた。
白い綿毛の包まれた茎や葉の間から白と紫の花を咲かせる。
庭なので何度でも足を運んで観察できるのも嬉しい点だ。
白のオキナグサ
北米原産のサンギナリアも庭の一等地をもらい、しっかり根付き順調に数を増やしている。
カミさんが友人から分けて頂いたものは、八重だったそうだが我が家に来てからは原種帰りをして一重の花を咲かせている。
サンギナリア
サンギナリアこの花は、抱く葉の中から丸い蕾が頭を出す。
その様子が子を慈しむ母のようで何とも愛おしいのだ。
数を増やしているサンギナリア
そして今回の花旅の最後を飾るのは、タツタソウ。
軍艦「タツタ」の乗組員がロシアから持ち帰ったという北方系の花だ。
タツタソウ
この花の淡く明るい薄紫の花は何か惹きつけるものを持っている。
短命だからこそ持つ不思議な魅力なのかな・・・。
春の妖精たち早春の花はこれ以降も、ニリンソウ・キクザキイチゲ・ヒトリシズカなどなどが後に続き、桜やキタコブシが咲けば本格的な春。
サクラソウの仲間たちがわが世を謳歌する時期には、夏山シーズンの幕開けだ。毎年変わらなく続く光景ほど、気の休まることはない。
新しい御代である「令和」が、穏やかで平和な時代であるよう願いつつ、少しでも長く自然の中で自然を楽しみつつ生きていきたいものだと思っている。