道東の旅

 2019.9.2(月)〜9.5(木)

 

羅臼湖

 

 2019年の夏、北海道は8月のお盆から雨がちのお天気と薄ら寒い日が続き、野外で遊ぶ気力も削がれるような日々であった。
9月に入って天気予報に晴れマークが連続するようになり、この機会を逃すまいと満足な計画も持たないまま旅に出ることにした。

行き先は道東地方、山歩きを中心にすると一山で概ね一日を費やしてしまうため、今回は今まで行ったり見たりしていない所を重点に回ろうと考えた。
もちろんこれまで通り、山巡り、岬巡り、湖巡りなども外せないポイントである。
単なる観光旅行になる可能性大であるが、私達なりの感性で道東の魅力を発見し味わえたら嬉しいと思っているのである。

 


 

道東の旅・1日目 9/2 (月) 晴れ

 

道東へ

 朝6時に出発、東千歳ICから道東道に乗り本別へ。
本別からは足寄、陸別、津別、小清水を経由して知床峠まで、久々の長距離ドライブだ。

途中、陸別の道の駅で大休憩、ここは廃線になっている旧ふるさと鉄道銀河線の陸別駅を利用した道の駅で、覗いてみると朝ドラ「なつぞら」のラッピング列車が停車していた。

陸別駅
朝ドラ「なつぞら」列車

駅周辺には約5Kmの線路が残されていて、体験乗車やトロッコ体験などができる施設としても利用されているそうだ。
ちょうど銀河鉄道999の特別塗装の列車なども停車していてラッキー。
鉄道ファンやちびっこたちには人気の企画なのではと感じられた。

銀河鉄道
銀河鉄道999のラッピング車両

 

知床峠

 陸別から津別、美幌、小清水のルートは通ったのは確か一回だけ、ほとんど記憶にない景観が車窓を流れていく。
小清水町の田園風景の中を進んでいると、懐かしい優美な姿が目に飛び込んできた。
斜里岳のスックと屹立する美しい姿にカミさんと思わず歓声、沢と滝を楽しみながら登った記憶が蘇る。

斜里岳
斜里岳の優美な姿

斜里の街を過ぎると道は海岸沿いになり、海別岳〜遠音別岳の山並みを間近に感じつつドライブする喜びを実感。どっしりした良い山だ。

海別岳
海別岳

斜里からウトロに入ると、オシンコシンの滝。
観光バスが何台も止まり、トイレなどの施設も新しくきれいに改装されている。
私達も観光客の一員と化して滝見物、オシンコシンの滝は昔と変わらない姿で水しぶきを飛散させながら勇壮に流れ落ちていた。

オシンコシンの滝
オシンコシンの滝

丁度お昼にウトロの道の駅に到着、お腹も空いたと食事処で煮魚定食を注文。
この煮魚、大きなカレイのカマの部分で分厚く新鮮、それに真っ黒な煮汁がたっぷり。
見た目は真っ黒で「どうかな?」と思うほどだったが、食べてびっくり絶品なのだ。
食べられるだろうかと思うほどの大きさなのに、あっさり完食。
煮汁が特に美味しく、思わずご飯にかけて頂いたほど。
これで¥1.300 は、お得感満載の定食であった。

 

6時間半かけて到着した知床峠は、快晴で羅臼岳が圧倒的な迫力で迫ってくる。
前回来た時は、濃い霧に覆われ何も見えなかったので峠から見る羅臼岳は初めてなのである。

羅臼岳
知床峠からの羅臼岳

羅臼岳や斜里岳を目の前にすると、やはり登りたくなるのは山好き人間の人情だ。
今回はそれをぐっと堪えなくてはならないのが、辛いところである。

羅臼岳
登った気分になって・・・は無理か

「山頂の岩場は大変だったわ」
「岩の間から簾のように滴り落ちる水が美味しかったな」
思い出話に花を咲かせ、気持ちを切り替える。

 

羅臼湖

 羅臼岳に登らない代わりのお楽しみは、羅臼湖を訪ねること。
知床峠から2Kmほど羅臼側に下った所から西へ入った、天頂山の南にある湖。
前々から一度訪ねたいと思っていた、今回のチャンスに是非にと考えたのだ。

 羅臼湖への入口付近は駐車禁止になっているので、知床峠から徒歩で向かう。
峠を下る道からは海越しに国後島が良く見えている、羅臼山と爺爺岳だけが私には判別可能。
自然たっぷりな大きな島、返還されることを期待したいがロシアのしたたかな外交姿勢を見るととても難しいことだと思わざるを得ない。

国後島
国後島を遠望 

約30分強歩いて羅臼湖入り口、入山届を記入し歩き出す。
道は、ぬかるみが多く避けながら歩くのに苦戦する。
長靴を持ってくるべきだったと思うが後の祭り。もっと調べて来なきゃ・・・・と、後悔する。
すれ違った若者に道の状況を尋ねると、「こんなものじゃないです。やぶれかぶれで行ってきました」とズボンも靴も泥だらけ、「あれまあ〜!」。
カミさんはズボンの裾をまくりあげ、被害最小限に自己防衛。

参ったな〜と思いつつ歩くこと1時間弱。
二の沼を過ぎ、三の沼に到着。
静かな沼と針葉樹の林に囲まれた美しい沼、振り返れば沼越に羅臼岳が鎮座している。

三の沼

羅臼湖・三の沼 と 羅臼岳

羅臼湖・三の沼の静寂で美しい景観に満足感は急上昇、沼に映る羅臼岳や流れる雲の変化を楽しみゆっくりと堪能する。

三の沼
三の沼で

ここで交差した若者達からも道の状況を聞き、これ以上ドロドロに汚れるのも困ると私達は三の沼で引き返すことに。
事前準備不足で長靴を持参しなかったための途中敗退で羅臼湖には辿り着かなかったが、雰囲気は十分楽しめたと心は満足、知床峠へ登り返す足取りも軽かった。

 

フレペの滝

 知床峠から知床自然センターへ、ここからフレペの滝まで遊歩道が整備されている。
前回この付近を訪れたのは羅臼岳登山が目的であったため、フレペの滝などは見ることもしなかった。
今回は時間の許す限り色々と見て回りたいのだ。と言っても時間は午後4時少し前で時間は限られているけれど・・・。

始めは深い森を歩き、次いで草原を海に向かって横切って行くと、展望台が見えてくる。
そこがフレペの滝の展望台。でも、私の眼を引いたのは滝よりも山。
知床連山が見事な姿で横たわっている、清々しくも神々しい。見とれてしまう光景なのである。

知床連山
フレペの滝展望台から見る 知床連山

羅臼岳、三ツ峰、サシルイ岳、オッカバケ岳、知円別岳、硫黄山と並ぶ知床連山。
素晴らしい山並み景観、一度は是非にでも歩いてみたかったがもう無理だろう。
近くから手に取るように眺められだけでも十分な喜びである。

 肝心のフレペの滝も見てみよう。
切り立った100m近い断崖の途中から染み出す水が幾筋も流れ落ちている。
滝らしい豪快な迫力は感じられないけれど、珍しい部類の滝だと思う。

フレペの滝
フレペの滝

よく分からないが、今は水量が少ない時期なのかもしれない。
染み出すように流れることから、乙女の涙とも呼ばれることがあるそうだ。

滝自体は水量が少ないので迫力はあまり感じないが、断崖絶壁とオホーツクの海が織りなす景観は恐ろしいほどの迫力で見る者に迫ってくる。
ちょうどカヤックの一団がフレペの滝へ漕ぎ寄せてくるところで、一段と高さを感じる事ができた。

るれペの断崖とカヤック
フレペの断崖と漕ぎ寄せるカヤック

フレペの滝は、知床連山と海に落ちる断崖絶壁そしてオホーツクの海を肌で感じられる所。
私達もゆっくり時間をかけ楽しむことができ満足した。

フレペの滝
フレペの滝展望台から滝と知床連山を眺める

 

プユニ岬 落日

知床自然センターへ戻ると時刻は午後5時半を過ぎたところ。
頃合いも良しと、この付近でオホーツクに落ちる夕日を見ることに。
プユニ岬展望台付近の路側帯に駐車し展望台へ。

そこからは夕日を浴びたウトロの町並みと海岸線が見えていた。

ウトロの町並み
夕日を浴びるウトロの町並みと海岸線

日の入りまで20分ぐらいあったが、次第に赤紫を帯びた光に覆われ海の色が染まっていく。
幻想的な気配・雰囲気に染まりだすオホーツクの海は、なかなかのものである。

オホーツクの夕日
夕日色に染まりだしたオホーツクの海

美しい夕日ではあるが、ちょうど日が落ちる辺りには雲が居座っている。これは・・・・。

ウトロの道の駅まで降りて様子を見るが、落日を見るのは無理みたい。
更に西へと車を走らせるが、結局雲間からの光が拡散する様子が精一杯だった。

落日
オシンコシンの滝付近からの落日

 

 さて、今日の泊まりはどこにするか?
ウトロの道の駅でもよいのだが、ここは利用する人々のマナーが悪いためか、車中泊は禁止、火気厳禁、ゴミは・・・と仮眠以外はすべてお断りで違反したら即警察へ通報し取り締まるとのこと。
利用者側の自業自得の側面があるとは言え、道の駅の設立目的からは少々かけ離れてはいないだろうか?
こんな怖い道の駅は、こちらからお断りである。
そこで温泉もある清里の「パパスランドさっつる」へ移動、ゆっくり温泉に入り食事も頂いて翌日に備えた。

 

 

 

 

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