礼文島西海岸  (道北)   1999.7.15  霧のち晴れ



7.15
スコトン岬 0730
鮑コタン 0830
ゴロタ岬 0915
鉄府 0940
澄海岬 1000
西上泊 1030
召国 1130
アマナ岩 1230
宇遠内 1320
香深井 1445
香深 1620
利尻岳を登った後、そのまま帰るのは勿体ないと、礼文島にも2泊して色々歩いてみる事にしました。

7.14の午前中に利尻島から礼文島へフェリーで渡り、予約してあった民宿に荷物を置いて、まずは島南部の観光名所の一つである「桃岩」付近を歩いてみました。

イブキトラノオを中心とする花々が咲き乱れる桃岩周辺の丘陵地帯をのんびり散策しました。
風が少し強いものの、海を挟んで浮かぶ利尻岳を見ながら歩いているとまるで別世界にいるような豊かな感じです。

ここで出合った若者と話をしていると、彼から「西海岸を歩いて疲れたけど一生の思い出になると思うほど感動した」と聞き、私達も急遽チャレンジしてみる事にしました。

宿に帰って、西海岸8時間コースについて俄勉強です。
礼文島は島の東側は比較的穏やかな地形で人々は東側の海辺にへばり付くように住んでいるのですが、西側は地形的にも気象的にも厳しく、現在人家はほとんど無いそうです。
ルート図とスコトン岬までのバスの時間、食料と飲み物を準備して明日に備えます。

翌朝、香深の宿から朝一番のバスで約1時間、島の最北端、スコタン岬に到着です。
深い霧に覆われていて、直ぐ傍のトド岩も霞んで見えないぐらいでした。


西海岸縦走の出発地、スコトン岬

朝一番のバスに乗ってきた20人ほどの人の大半は、私達と同様、西海岸を歩く人達のようです。
西海岸を歩くには4時間コースと8時間コースがあり、準備を整え三々五々に出発しています。
ですが、ほとんどが学生らしく、中高年は私達夫婦だけです。

スコトン岬からは海岸線を歩き出します。
単調な道ですが、道端にはイワベンケイやノコギリソウ、ツリガネニンジン、クサフジ、イチリンソウなどが極く普通の草花として、何処にでも咲いています。

西海岸8時間コースと言うからには海岸線を歩くのだろうと思っていると、ゴロタ岬と言う所では100mをゆうに越える高さを越えて行き、山歩きの気分です。


ゴロタ岬

深い霧は晴れてきましたが、物凄い強風です。岬に立つと体が持っていかれそうで怖いぐらいです。
高い所から見る海はまさに青く澄み切っていて、北国の海と言うより南国の海のようです。

2時間半ほど歩くと、澄海岬(すかい岬)と言うとても美しい小さな入り江に着きました。
ここには東海岸から唯一道路が通じている所で、観光地としてバスが通り、売店もありました。


澄海岬

西海岸4時間コースはここから東海岸へと向かいますが、私達はこのまま南下して行きます。
バスで来ていた同年配の人達に歩いて島の南まで行くのだと言うと、呆れたような顔をされてしまいました。

ここからが縦走の核心部です。
アマナ岩と呼ばれる所までは、海岸線は断崖絶壁の為、それを避けて起伏の激しい山道が続きます。
丁度、礼文島最高峰の「礼文岳」の西側を歩いて行くのです。
しかも林の中で見通しも利きません。
アップダウンの連続で、海岸線を歩くだけと思っていた体には精神的につらい所です。
ただ、林の中に咲く、レブンウスユキソウ、ハクサンチドリなどが疲れを癒してくれました。


道は海岸線の絶壁の上を行く

朝、歩き始めた20人ほどの人達も、歩いている内に幾つかのグループの塊になっていきました。
最初の内は、私達が追い付くと、「オジサン・オバサンに負けてなるものか」と急ぎ足になっていた若者たちとも、話をするようになり、打ち解け合うようになってきます。

多くは自分の体力・気力を試そうと思っている若者のようでした。
そんな中、若い女性が一人、誰とも話しもせず黙々と歩き通していました。
きっと何か、心に期すものがあったのでしょう。
あえて話し掛けたりはしなかったのですが、人生の縮図を見たような気になりました。

結構つらい山道を耐えると、やっと視界が開け、アマナ岩と呼ばれる海岸への急斜面の下りです。


アマナ岩への下り

晴れていて、海の色がコバルトブルーに澄み切っていて本当に美しく、見飽きないほどでした。

アマナ岩の海岸で少し遅めのお昼ご飯、そして少しの間岩陰でお昼寝です。


アマナ岩の海岸で

アマナ岩から海岸伝いにゴロゴロした石沿いに歩くと「宇遠内」、以前はこの宇遠内からさらに南の地蔵岩まで行けたそうですが、この時は道が崩れ、危険と言う事で立入り禁止の措置がとられていました。

ここから一山越えて、東側の「香深井」まで横断して行きました。
この山道沿いにも、オダマキ、チシマフウロ、レブンゲンゲ、ウスユキソウ、ヨツバシオガマなどの花々が咲き競うように咲いていました。

ようやくの思いで、香深井に着きました。
8時間も、人も車も通る道も無い荒々しい自然の中、花に囲まれて歩くなんて、今の時代何処で体験出来るでしょうか?

礼文島西海岸、本当に歩いてみて良かったと感じました。
ですが一方では、このコース、利尻岳登山より正直言って疲れました。
なめてはいけませんね!

前日歩いた、桃岩での写真も御紹介しましょう。


桃岩近くの猫岩を見下ろす

利尻島でも、礼文島でも、色々なものを食べました。
その中でもウニは期待していただけに機会が有る毎に食べたのですが、礼文と利尻では僅かしか離れていないのに、味に違いがあるような気がしました。
1番美味しいと感じたのは、旅館でも寿司屋でも無く、礼文島の観光客相手のよしず張りの仮設小屋で食べたものでした。


強風の中、利尻岳をバックに

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