アンデスの山旅 第2日目

 

リマ〜ワラス  

2009.6.2(火)  霧雨〜晴れ・夕方一時雷雨


 

カウララフ
コノコーチャ峠(4080m)から見る、カウヤラフ(5686m)

 

2009.6.2(火)
リマ 0800
ハイウェイ 0900
バランカ(昼食) 1130〜1230
ラキア 1330
コノコーチャ峠 1420〜1455
ワラス 1820

ペルーの朝

離発着する航空機の音で目覚める、リマ空港は24時間運用なのだ。
冬のペルー海岸地方特有のお天気と言う、どんよりした曇り空、霧雨が降っている。

短い時間であったがベットで休む眠りは深く、気持ちの良い目覚めである。
ホテルの朝食はバイキング形式でフルーツが美味しい。

ガイドのエリンケ君が今日から帰国まで、同行してくれる。
まだ20代の明るく良く動く好青年だ。

 

パン・アメリカン・ハイウェイ

私達7人では勿体ない大型バスでワイラス回廊の中心地「ワラス」へと向かう。
リマ市内はちょうど通勤時間とあって車の洪水、クラクションがあちこちで鳴り響いている。
食べ物や新聞を持った物売りが車が止まると寄って来る。
交差点にはヘルメットに制服、黒皮の長靴姿の白バイの警察官が格好よく決めて立っている。

市街地を抜けると住宅地なのかスラム街なのか、粗末な日干しレンガで作られた小さな家が建ち並んでいる。
まさに掘建て小屋のような物も多く、貧富の差が大きいような感じを受けた。

1時間ほどでリマ市街を抜け、アルゼンチンからアラスカまで通じていると言う「パン・アメリカン・ハイウェイ」に入る。
海岸線に近いのに荒涼とした砂地が続く中を片側2車線の立派な道が真っすぐに延びて、霧雨の中に霞んでいた。

 

魚料理

リマから約200km北上し、バランカ近くの海岸レストランで昼食。
海岸近くの丘の上には大きなキリスト像が立てられいた。

キリスト像大きなキリスト像が建つ海岸

赤道に近い熱帯の海とはとても思えないような、鉛色の淋しい色の海である。
漁をしているのか、手漕ぎの漁船が数隻漂っていた。

小さなレストランは目の前の海から上がった魚料理のお店。
セビチェと呼ばれる白身魚のお刺身をレモン酢等で〆て、ニンニクや香辛料を合わせ、タマネギやジャガイモが添えられていて、大変美味しい。
日本で出されても馴染むような感じである。

セビチェセビチェ

この他にタコとイカの唐揚げ、ピラフと、どれも私達の口に合い美味しかった。
陽気なご主人がペルーの歌を披露してくれ、ペルービールやインカコーラを呑みつつ楽しい一時を過ごす事が出来た。

陽気な主人椅子を太鼓代わりに・・

 

コノコーチャ峠へ

昼食を摂った町からアメリカン・ハイウェイに別れ、東へと山地へと入って行く。
サトウキビ畑や唐辛子畑などの農村地帯を抜けると、大きな谷が次第に勾配を急にして行く、その中を車はS字カーブを描きながら荒涼とした砂岩の谷を果てしなく登り続ける。
内陸に入るに従い霧は晴れ、お天気になってきた、気温も上がっているようだ。
荒涼とした砂岩の山肌にサボテンがニョキニョキ生えている。
まさに西部劇の世界、思ってもいなかっただけにビックリしながら見入ってしまう。

サボテンがあちこちにサボテン

海岸線からワイラス回廊に通じるこの道は、古くインカ時代からあるそうで、その昔伝令が情報連絡のためこの道を走ったそうだ。
伝令の中継地が各所にあり、小さな宿場になっていて「チャスキ・タンポ」と呼ばれているとか。
その一つラキアと言う集落で一休み、道路沿いにはマリア様の像が立っていて、日本のお地蔵様と同じような感じらしい。

宿場小さな集落

車は喘ぐようにノロノロ走る大型トラックを無理矢理追い抜きながら、急な坂道を峠に向かってひた走る。
標高2400mを越えると荒涼とした砂岩の岩に、花が目立つようになり、牛やロバの放牧も見られるようになってきた。

谷を上り詰めて行く谷間

コノコーチャ峠(4080m)に着くとこれまで谷間で閉ざされていた展望が一気に広がり、思わず歓声が上がる。
コノコーチャとはコノ(温かい)、コーチャ(湖)の意味で湖の三カ所から温泉が湧きだしているそうである。

コノコーチャ峠コノコーチャ峠

峠の東側にはコノコーチャ湖が広がり、広大な草原が果てしなく広がっている。
日本では見られない、果てしない広がり、牧歌的な自然の大牧場だ。


大草原が広がる大草原


さすがに4000mを超えているだけあって、風が冷涼だ。フリースを一枚羽織りたくなる気温である。
この湖から北へ延びるワイラス回廊沿いにサンタ川が流れ下っている。

ここコノコーチャ峠からは本来であれば私達がこれから訪ね歩くブランカ山群の山々も見えるのであるが、この日は積乱雲が広がり始め暗く曇ってきて見えないのが残念だ。

カウララフ
本来ならこのような景観が見え始める。(帰路、撮影)


南東にはペルーのブランカ山群と並ぶ、ワイワッシュ山群もその姿を望めると言う。
北東にはブランカ山群の南端、カウヤラフ(5686m)が端正な姿を見え佇んでいた。

カウララフカウヤラフ(5686m)

 

ワラス

ワイラス回廊の中心地「ワラス」には、日暮れの色濃い夕刻にやっと到着した。
コノコーチャ峠からの道では時ならぬ雷雨が一時的に降り、アンデスの虹が我々を出迎えてくれた。

アンデスの虹アンデスの虹

ここでワラスの町の周辺イメージを把握しておこう。

まず、南北に走る二本の山脈を思い浮かべて欲しい。
西側はネグラ(黒い)山脈で、4・5000m級の山が連なっている。
東側のそれはブランカ(白い)山群で、5・6000m級の山の連なりである。

ネグラ山脈はその名の通り、黒々としていて雪は無い。
ブランカ山群は、雪と氷に覆われ白く輝いている。

2つの山脈の間隔は約30km、その間にある標高3000mほどの緩やかな幅広い大きな谷がワイラス回廊で、その中を幹線道路とサンタ川が貫き、街や集落が点在している。

ネグラ山脈の西側は下って太平洋に面し、ブランカ山群の東側は高度を下げて熱帯雨林帯となりアマゾンの原生林へと続いている。

そしてブランカ山群の南は、約50kmに亘って高度3・4000mの高原が続き、その先にワイワッシュ山群が次の高みを作っている。

こんな地域の中心に位置するのが、ワラスの街。
人口8万人、山裾に広がる美しい街である。
その街の山側に今夜の宿、「アンディーノ・ホテル」が建っていた。
ペルー政府の三ツ星マークを付けた、格調高い立派なホテルであった。

ワラス
ホテルからの町並みとワスカランなどの山々

このホテルはペルー人の経営ではなく、スイス人の経営。
全てヨーロッパスタイルで従業員もヨーロッパの人が多い。
夕食もフルコースでとても美味しかった。

夕食をとりながら写真の話で皆さん盛り上がるが、私には内容が高度で濃すぎ、理解できないことが多かった。
どうやら、今回のツアーは山を見て歩くというより撮影会という側面が強いようだ。
私以外の参加者の皆さんは写真家それもコンテストに作品を発表したり、著名な写真グループに属し、芸術山岳写真を狙って参加している方々ばかりである。

こうなったら、見栄を張っても仕方がない。
正直に素人である事を告げ、教えを乞いながら、お仲間に入れてもらう事をお願いした。

 

 

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3日目に続く

 

 

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