アンデスの山旅 第4日目

 

パロン湖、 ピラミデ(5885m)、 チャクララフ(6112m)

  
2009.6.4(木)  晴れのち曇り


 

ピラミデ
ピラミデ(5885m)

 

2009.6.4(木)
ワラス 0630
カルワス 0800
カラス 0845
大岩壁 0950
パロン湖 1120〜1400
カラス 1620
カルワス 1720

デカッ!

ワイラス回廊をワラスからカルワスへと北に向かうと、ペルー第一位の高峰ワスカラン(6768m)が圧倒的な大きさと迫力で迫ってくる。
道路際にマリア像が立っている所でチョピリ撮影タイム。
ほんのスナップのつもりが、一人が三脚を立てると次々に大掛かりとなり、小1時間も掛かってしまう。
これも撮影旅行の特徴なのだろう。

ワスカランは勿論だが、北のワンドイ(6395m)、東のチョピカルキ(6354m)も堂々としていて、ブランカ山群の核心部が近い事を示している。
まさに胸躍り沸き立つような気分である。

 

 

ワスカラン
マリア像の後ろに聳え立つ、ワスカラン

 

とてつもない道

カラスから東に延びるパロン谷、約30kmに及ぶ未舗装の狭い道を進んで行く。
とてつもない悪路が続き、車は四苦八苦。
最近大雨が降ったとかで、小さな土砂崩れがあちこちにあり、小沢が深くえぐられたりして、岩の除去や埋め戻しに時間が掛かる。
その都度全員が車から降りて、車高を少しでも高くして通過する。
車には山刀やツルハシ、スコップ等が常備されており、邪魔な木の枝を切り払い、岩を砕き、穴を埋め戻しながらの通行である。
山刀を力強く振るドライバーに、どなたかが「侍!」と言ったら通じたらしく、嬉しそうな顔をしていた。

 

大岩壁

標高3200m付近で前方に氷河が削ったと思われる大岩壁が現れてきた。
高さ500〜700m位の垂直に切れ落ちた巨大な岩壁が連なっている。

岩壁大岩壁の一部

その大岩壁の間を流れる沢沿いに道は急なジグを切りつつ付けられている。
よくぞ作ったと誉めたくなる道である。
それにしても見事な岩壁、クライミング好きの人には堪らない場なのではないのだろうか?

大岩壁の間を縫うように行く岩壁

 

パロン湖

標高4140mのパロン湖、その美しさから「アンデスの宝石」と讃えられている所だ。
パロン湖には展望台や小屋が設けられていて観光地感覚、わずかな距離だがトレッキング道路も整備されている。

私達が到着すると、湖開きなのか地元のお偉いさんたちが十数人集まって式典を催していた。
私達も参加するよう求められたが、訳の判らない話をただ並んで聞いても仕方ないので丁寧にご遠慮申し上げた。

湖の展望台からは湖面の向こうに氷に覆われたピラミデの三角錐が屹立しており、湖面の青と相まってその美しさはまさに絵のようだ。

パロン湖
パロン湖展望台からのピラミデ、右はチャクララフ

皆さん、それぞれ気に入った所で撮影タイム。
私はKNさん、IEさんとトレッキング道を進み、チャクララフが良く見える所まで行ってみる。
ガイドが私達にしっかり付いてきて、見守っている。
トレッキング道が終わりガレ場を進んで行くが、ガイドがこれ以上は危険だと言うので、ガレ場にそれぞれ三脚を立て撮影に取りかかった。

パロン湖
ピラミデとチャクララフが見える所へ

あいにく、山は良く見えているのだが背景に雲がべったり。
東側のアマゾン方面から押し寄せているような感じである。
すっきり青空に映える白く輝く鋭峰の姿をカメラに収めるべく、ジッと待つがなかなか雲は動いてくれない。
動き出したと思えば、次の雲が沸き上がってきて私達を焦らし意地悪しているようでもある。

それにしてもピラミデの鋭角三角錐の姿はこの世のものとは思えないほど見事である。
このような山容に直接巡り会ったのは、初めてである。
急な山肌に刻まれた雪と氷の襞の変化も面白い。
ジッと見入っているだけで、時間が経つのも忘れ、幸せな気分。

ピラミデ屹立するピラミデの勇姿

そしてサミット(山頂)付近の雪と氷の襞模様も美しい。
本当に来て良かったとしみじみ思う。
私等が登れる山ではないが、精一杯山との会話を楽しむ。

雪と氷の芸術品ぴらみで

一方、チャクララフ(6112m)も負けじと鋭い岩峰を天に突き上げている。
隣同士の位置関係なのにこちらはピラミデほど氷に覆われおらず、黒いむき出しの岩肌が不気味な印象を与えている。
山頂下部はオーバーハングしていて雪が付かないのだろう。

チャクララフ
チャクララフ(6112m)

私は正直「もう十分」の感なのであるが、KNさん、IEさんは青空になるまでと平然として動かない。
これがカメラマン根性なのだろう。
仕方ないので、自分を映して記念撮影だ。

パロン湖

湖面は前日のラフコルタ湖と同様、氷河湖特有のエメラルド・グリーンの神秘的な色と雰囲気でひっそりと佇んでいる。

 

ガイド

昼過ぎになってガイドたちが昼食を運んできてくれる。
昨日は草原での贅沢な昼食だったが、今日はお弁当だ。
ボリューム満点のお弁当にフルーツや飲み物も付いている。

ガイド達は私達の荷物や三脚等も気軽に運んでくれ、こまめに動いてくれ本当に助かる。
皆さんが撮影に夢中の時は岩陰等で寝転んで静かにしている。
私も撮影に飽きて、一緒に寝転んでいるとガイドの一人が「自分はこの近くのピスコ(5752m)に登った」と山頂の一部が見えている山を指さしながら話してくれた。
私が山登りが趣味で「日本ではかなりの数の山に登っている」と言うと、「ピスコ」はアイゼンやピッケルは必要だが、緩やかなルートを選べる易しい山なので、案内するから来年来てくれと誘う。
なんだか、その気になりそうで怖い。
空約束はしない方が良いと、返事はしなかった。

それにしても、ここのガイドは皆若くて気のいい奴らばかりだ。
話をしていても気が休まり楽しくさせる雰囲気を持っている。

 

満足

1400まで撮影を堪能し、宿に戻る事に。
最後まで雲はとれず、すっきりとした青空をバックにした山の姿は見ることが出来なかった。
皆さんはイメージしていた写真が撮れず残念がっている様子だが、私にとっては存分に山の姿を眼に焼き付ける事が出来、大満足の1日であった。

今日の宿はカルワスにある「アブエロ」ホテル。
ペルー人の経営で、ご主人はブランカ山群の地図や解説書などを書かれているブランカ山群を誇りに思い愛している人だ。
温厚そうな方で、ホテルはこじんまりしているがなかなか良いホテルである。
街でその地図を購入、1/20万の概図で等高線等は簡略化されているが見易く山座同定するには丁度良い。


体調

アンデスを歩くにあたって心配していた事がある。
一つは半月板を手術したばかりの左膝の状態。
もう一つはいわゆる、高山病である。

左膝は歩くと少し痛み、腫れても居るようだ。
でも痛みは我慢できないほどではないし、痛み止めの薬は服用していない。
今日もパロン湖のほとりを2km位歩いたと思うけれど、支障はなかった。
明日からも左膝を意識しながら慎重に歩き、この旅を楽しんで行きたいものだ。

高山病の方は多くの方達が息苦しい、歩くのが辛い、頭が痛い、気分が悪いなどの症状を訴えているし、動作を見ていると体調が完全でないのが判る。
幸い私にはそのような気配は全く無い。
毎日4300m位まで登り、夜は3000m前後の所まで降りているのが良い結果になっているのかも知れない。
明日からは連日5000m近くまで上がり行動する予定になっている。
支障無く歩け、楽しめるよう祈るばかりである。

 

今日、新たに見た花々

 

HANA
HANA
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HANA
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HANA
HANA

 

 

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第5日目に続く

 

 

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