アンデスの山旅 第5日目

 

ヤンガヌコ峠(4737m)、ワンドイ(6395m)、ワスカラン(6768m)、

チョピカルキ(6354m)、チャクララフ(6112m)、ピスコ(5753m)

2009.6.5(金)  晴れ


 

ワンドイ
ワンドイ南峰南壁

 

2009.6.5(金)
カルワス 0640
ユンガイ 0715
ワスカラン国立公園入り口 0805
C4500m地点 1030〜1115
ヤンガヌコ峠 1200
モロコーチャ湖 1230〜1345
ヤナマ 1600

核心部

今日は標高4700mのヤンガヌコ峠を越えて、アマゾン側へと入って行く。
この道は古くインカ時代から通られていた重要な交通路の一つだったそうだ。

その間、ブランカ山群の核心部とも言える主要な山々を見ることができる、今回のツアーの目玉的存在のコースなのである。

その期待なのか、あるいは昨日までの余りの絶景に興奮したのか、昨夜も眠れなかった。これで2日連続である。
たいていの所で、ぐっすり眠れるのを特技としてきた私なのに一体どうした事だろう。
一昨日は眠れないなら眠らなくてもと思っていたが、それが2日も続くと体に変調が起きているのではと、心配になってくる。

もしかしたら、高山病の一種なのだろうか?

 

ワスカラン国立公園

ホテルのあるカルワスからユンガイを経由してヤンガヌコ谷へ入って行く。
ユンガイの街は地震による大雪崩によって壊滅したという悲しい歴史がある。
1970.5.31に発生した大地震、地震だけでなく更にワスカラン北峰の分厚い氷河が崩壊し、土石流となって襲い、町は氷と土砂で埋め尽くされてしまったそうだ。

ヤンガヌコ峠へ通じる道は古くからの道であると同時に、今は観光道路の性格も有している。
そのため昨日までの悪路とは違い道幅も広く手入れもされていて、安心して車に乗っていられる。

C3400メートル地点にワスカラン国立公園のゲートがあり、公園事務所が設置されていた。

事務所公園事務所

事務所の中は公園説明展示場ともなっていて、コンドルの剥製や公園の説明等が所狭しと展示されていた。

また、民族衣装のおばあさんとお嬢さんが居て、写真モデルを勤めてくれていた。

コンドル

ワスカラン国立公園はブランカ山群の内、標高3400m以上の区域が指定されて各種の保護活動や規制措置が適用されているとの事である。

 

ワスカラン北峰

公園ゲートは入ると間もなく2つの湖(ヤンガヌコ湖)があり、その近くにワスカラン北峰の展望台がある。

北峰展望台
ワスカラン北峰展望台

ワスカラン北峰北面の氷壁が美しいと言うより凄惨な感じさえ見せて屹立している。
白い氷の峯が真っ青な空を突き破ってゆくような景観である。

わすからん
ワスカラン北峰(6655m)

昨日までは合う人も居なかったが、ここには観光客が何人も行き交っている。
カナダやドイツのカップル達が歓声を上げている。
私の望遠のファインダーを覗かせてあげると、「凄い凄い!」と喜んでくれた。

ここから峠に向かっていると、広場のような所があり、牛が沢山集められていた。
聞くと、この辺りの牛の競りが行われているのだそうだ。

牛の競り市牛の競り

 

凄すぎるぞ〜!

C4500メートル地点からトレッキング・ルートが北東方向へ延びている。
その道を少し進む台地上は、まさに大景観の展望台。息を呑むとはこのことを言うのだろう。

北西から北にかけて、ワンドイの主峰(6395m)と東(6000m)、西(6356m)、南(6160m)の4峰が特異な姿で聳え、その東にはピスコ(5752m)、チャクララフの西峰(6112m)と東峰(6001m)が並び立っている。

目を反転させて南を見れば、ワスカラン北峰(6655m)、南峰(6768m)、そしてチョピカルキ(6354m)が威風堂々とその姿を見せている。

山好きには堪えられない大景観。ただただ見入ってしまう。
素晴らしい、何という凄さだ。なかば放心状態、出るはため息ばかりである。

ワンドイ
ワンドイ。 左から南峰(6160m)、西峰(6356m)、主峰(6395m)、東峰(6000m)

 

山
チョピカルキ(6354m)北面

 

yama
ワンドイ南峰の大岩壁、奥は西峰

 

やま
チャクララフの氷壁。左から西峰(6112m)、東峰(6001m)

 

山
ピスコ(5752m)

 

yama
ワスカラン。左から南峰(6768m)、北峰(6655m)

 

tani
ヤンガヌコ谷を見下ろす。正面はヤンガヌコ湖。
左の山はワスカラン北峰、右はワンドイ南峰

 

ヤンガヌコ峠

ヤンガヌコ峠(4737m)からはうねうねとジグを切って登ってくる道を背景に北側の山々が純白な姿を展開している。
自然と文明のせめぎ合いの構図にも見える。

山と向き合っていると登山ルートがはっきり見えてくる事がある。
今回もピスコへの登山ルートをしっかり想定でき、登山意欲がくすぐられる。
1日目はあのサイドモレーンの下まで、2日目は一気にサミット往復そして・・・など。
ピスコなら私でも登れそうな気がする、登ってみたい。そんな気になってきた。

やま
ヤンガヌコ峠から北側の大景観
左からワンドイ4峰、ピスコ、チャクララフ

峠は車一台がやっと通れる位の道幅、今日の最高到達高度記念に歩いて通過してみる。

峠
歩いて峠を通過する

 

モロコーチャ湖

ヤンガヌコ峠を抜け、東側へ降りる道はアマゾン熱帯雨林へと続いて行く。
峠は分水嶺ともなっているのだ。
「槍の穂先で小便すれば〜、北と南へ泣き別れ・・・」と日本では唄われてきたが、ここでは西と東へ別れてそれぞれ太平洋と大西洋に注がれる。

峠から少し降りるとモロコーチャ湖という小さな湖がある。
湖畔にはルピナスが咲き、湖を挟んでチョピカルキの北面が落ち込んでいる別天地である。
ここで昼食と撮影。

やま
モロコーチャ湖に映えるチョピカルキ(6354m)北面

撮影はものの5分で私は終了。
皆さんが熱心に撮影している様子を訪れ歩く。
皆さんプロ級の腕で、写真コンテストや作品展などで優れた成績を収め、また目指しての撮影だから真剣そのものだ。
主用しているカメラもフィルムの中判カメラがメインである。
構図を決め、ピントを精密に合わせ、イメージに合う瞬間をひたすら待っている。

私はルピナス咲く草原に寝転び、ただ山を眺めている。
まさに天国、人生の楽園である。

 

山
チョピカルキとルピナス

気持ちよくひっくり返っていると、ガイド達がお弁当を持ってきてくれた。
今日も完食だ、食べられればバテないという若い頃からの私の信条である。
ガイド達も少しは暇なのだろう、私が山好きなのを知って登った山の事を話してくれ、私に日本の山の事を尋ねてくる。旧知の仲のようだ。

アンデスの山々を訪ね始めて今日で4日目。
皆さんの行いが良いのか、晴れ男が居るのか、お天気に恵まれ予定されていた山々は全て見ることができ、心に納めることができた。
さらにツアーリーダーの行き届いた配慮、綿密な事前調査などにより、参加者全員が快適に楽しく過ごせている事に感謝の気持ちで一杯である。

 

ヤマナ

今日の宿はアマゾンサイドに15kmほど下った小さな町「ヤマナ」にある。
チョピカルキの東面やコントライェルバス、チャクララフの東面などが望める小さな小奇麗な町である。
観光客は珍しいのか近所の人達が集まってきて私達を興味深そうに眺めていた。
ホテルは小さい、それは全くかまわないのだが、シャワーのお湯はおろか水させ出ないのにはいささか参った。
勿論、タオルや石けんの類いは何も無い。
お料理もお腹に詰めるだけのものだ。

参加者の一人がデジカメのメディアが一杯になったので交換した所、間違って記録済みのメディアを初期化してしまったと嘆いている。
デジタルメディアの怖さ、注意しなければ・・・。

 

今日、新たに見た花々

hana
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第6日目に続く

 


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