|
お勤め
|
朝食を済ませ0745に十楽寺を出発、皆さん三々五々に歩き出し、相前後しながらアスファルトの道を行く。
途中、車の窓から女の子が手を振りながら「お遍路さん、頑張って〜!」と声を掛けてくれる。
きっと運転しているお母さんが教えたものだろうが、この地にはこういう文化・しきたりが残されているのだろう。
今日も元気に張り切って
約1時間歩くと、田園地帯にある8番熊谷寺。
立派な二重の山門がとても印象的、山門を潜り境内に入れば美しい多宝塔が出迎えてくれた。
重厚な熊谷山門
美しい姿の熊谷寺多宝塔
熊谷寺から南へ向かい9番法輪寺へ、途中ご老人が道を教えてくれる。
その丁寧な事、何度も何度も言い方を変えて教えてくれる、ご親切に有り難うございました。法輪寺でお参りしていると、この付近の顔役のようなおじいさんが、カミさんを捕まえてお経のあげ方、お寺の見方などを細々説明しだした。
笑顔でお礼を言いながら対応しているカミさん、なかなか解放してくれず少々困り顔。
そばでニヤニヤしながら眺めていると、次は私の所にやってきてザックの担ぎ方がなっていないとストラップを一杯に締め上げ「こうして歩くものだ!」と強くおっしゃる。
まさか、山歩きが趣味で40年以上ザックを背負っているとは言えず、丁寧にお礼申し上げ許して頂いた。
退散しようとして納経所の方を見ると、従業員のお姉さんが申し訳なさそうに会釈している、もしかしたら何時もの事なのかも・・・。
山門を出てしばらく歩き、見えなくなってから二人ともザックの再調整、あ〜苦しかった!でもこの方から、「せっかくお参りにきたのだから時間をかけて本尊や建物、仏像などを良く見て行くように」という話や、お経を唱える時には姓名と年齢を名乗り「・・・について、このようにする積りです。どうぞお見届け下さい」と言うものだと教えられ、それは全くその通りだと感じたので、以後私達はそれを守ってお参りするようになりました。本当に有り難うございました。
切幡寺へは山麓を少し登って行く、参道下にある小さなうどん屋さんのおばあさんが「荷物を置いて行きなさい。見ててあげるから」の声。
有り難く、荷物を置かせてもらい空身で参道を上がり、真新しい山門を潜ると333段の階段が待っていた。
切幡寺の名物、333段の階段
この階段、大変な思いをしたとの話をネットで幾つも聞いていたので恐る恐る登ってみたが、あっけない感じで登りきってしまった。
風格ある本堂、太子堂、切幡寺の名のいわれでもある機織りの娘さんが即身成仏したと言う観音様の像、本堂の上にある重厚かつ荘厳な多宝塔、そして徳島平野を一望する眺めも素晴らしく、それらが相まって何とも有り難い気配、雰囲気を漂わせていたのだと思う。
気品ある観音様
切幡寺の多宝塔
切幡寺から見た徳島平野
荷物を預けていたうどん屋さんで昼食、中々商売上手なおばあさん親子と馬鹿話をしながら笑いの一時を過ごす事が出来た。
11番藤井寺へは、切幡寺から真っすぐ南下して吉野川を渡る。
ここは沈下橋とか潜水橋と呼ばれる洪水時には流れの中に沈み、橋自体は流されないようになっている橋が架かっている事で有名である。
土手に上がると、その橋が見えるが吉野川の流れは細く思っていたより小さい川のようである。
吉野川の沈下橋
この沈下橋、幅が狭い割には車の通行量が多くて怖い。
端ぎりぎりに避けないと車が通れないし、一杯に避けると欄干が無いから川に落ちそうなのである。
吉野川は思ったより小さいとの第一印象は大間違い、最初の橋を渡った所は対岸ではなく中州、幅1km近くあり畑地帯になっている。それも本格的な畑、洪水時にはどうなるのか心配になるほどであった。
吉野川本流は中州の先にあり、そこにも沈下橋が架かっている。
吉野川の河原で一休み、暑いぐらいの日差しに夏みかんの甘酸っぱさがとても美味しかった。
ゆったり流れる吉野川
吉野川を渡ると吉野川市、明日は前半の難所と言われる焼山寺の山越えだ。
明日の食料や飲み物を求めて、遍路道を離れ市内の商店でお買い物。
カミさんが美味しそうで安いとポンカンを3kg、その他を合わせて5kg以上のお買い物。
9+5=14kgとなった私のザックは、高さが高くなり担ぐと菅笠が邪魔になる。
カミさんに菅笠を持ってもらい、登山モードで頑張る。「ああ、用心棒は辛いな〜」藤井寺へは狭い道が曲がりくねって続いている、最後は民家の軒先を良いのだろうかと思いながら通っていくと、壊れかけているような山門があり全体に薄暗く寂れた陰気な雰囲気。
納経所にいた老人も覇気がなく、「チョットー!」という感じ。
名の通り、藤の花のシーズンは華やかなのだろうが、あまり好きになれなかったお寺であった。
でも今日も宿が一緒だったプ〜プ〜おじさん夫婦は霊気を感じたと興奮気味に話していた、私が鈍感なだけできっとありがたいお寺なのだ。今日の宿は藤井寺近くの「旅館よしの」。
家族で経営している比較的新しい庶民的な民宿、可もなく不可もない宿だが、食事のボリュウームはすごく若い人向きかも。
|