遍路6日目

(18番恩山寺、19番立江寺、勝浦町坂本)

 

おひな様

 

遍路6日目 
 2008.3.10(月) 晴れ

0600 出発(徳島市)
0705 園瀬川
0750 勝浦川
0915〜0940 18番 恩山寺
1030〜1110 19番 立江寺
1145〜1210 櫛淵 八幡神社
1250〜1305 勝浦川 河原
1315〜1335 勝浦町
1435 勝浦川 横瀬橋
1500 ふれあいの里 坂本
   
今日の歩行距離
47049歩
29.6km
総歩行距離
221971歩
138.6km

早立ち

前夜雷注意報が出されかなりの雨が降ったが目覚めると道路は濡れているものの、雨は止んでいた。

昨夜の湿布攻撃でカミさんの筋肉痛も大分治まり良くなったよう。
ただ左足首が少し痛いというのでしっかりテーピングをする。
私も右足の小指に小さなマメが出来ていたので、テープを二重に張り保護した。

徳島市内をラッシュ時間帯に通過するのは嫌だと、可能な限り早立ちする事にし6時にはホテルを出発した。
人通りも少ない市内を抜け、二軒屋の駅付近から国道55号線に出る。
市街地も早朝だと散歩の人が居るくらいで、挨拶を交わしながら気持ちよく歩ける。
川を3本渡った所のコンビニで朝食を購入、その場でおにぎりを食べる。
郊外型の大型店舗が並ぶ道を進み田園風景になり、しばらく行くと大きく奇麗な勝浦川。
昨日慈眼寺に行くには勝浦川を渡ってすぐに右折したが、恩山寺へは直進だ。

小松島にある「弘法大師お杖の水」で、これまでも毎日のように顔を合わせていた横浜の方とお会いし、恩山寺へご一緒する。
まじめを絵に描いたような人だ、その上体力も抜群、足も強い。

 

恩山寺、立江寺

小高い山の中腹にある恩山寺の山門はとても古く歴史を感じさせる。
古いのは良いが、傾いている。何か意図があるのだろうか?
山門から遍路道を登って境内に向かっていると、聞き慣れた「プォ〜・ブォ〜」という音、もしやと思ったらプ〜プ〜おじさん夫妻も昨日は徳島で休養日だったそうだ。

恩山寺山門恩山寺山門

石の階段を上がった所にあるどっしりした本堂をお参り、写経を写経入れに納めようとするが先達さんが引き連れた団体の方達がズラリと正面に並んでいて近づけない。
仕方ないので彼らのお参りが終わるまで待つはめになった。

お大師様にあやかって恩山寺

本堂から一段下った所に大師堂、観音堂。ゆっくりお参りした後、境内を散策。
お寺の裏手は公園になっているようで整備され、展望台もあるようだった。

次の立江寺へは県道沿いを歩く、車が多くせわしない。
約1時間で町中に建つ立江寺、山門も本堂も堂々として立派である。

立江寺山門立江寺山門から

多宝塔や毘沙門堂なども独特の姿形で美しく、全体に明るい感じがする。

立江寺多宝塔立江寺

時間もあるからとゆっくりするが、ここでも事前勉強不足が・・・。
知らないとは良い事もたまにはあるけれど大概は損をする、立江寺の天井絵が見事なのだそうだ。

立江寺立江寺本堂

 

徳島カツと竹輪

立江寺前のお店で昼食用にパンとみかん、そしてTVで見た事のある徳島名物のカツと竹輪を見つけ購入。
徳島カツは魚のすり身を薄く延ばしパン粉をつけて揚げたもの、竹輪は竹の棒に巻き付けてある。

立江寺からはのどかな田園地帯の中を歩いて行く、菜の花の黄色が映えて奇麗だし、香りも素敵だ。
途中に遍路のための休憩所やトイレもあって嬉しい。

満開の菜の花菜の花

櫛淵の八幡神社の境内をお借りして昼食。
名物の徳島カツは魚なのに肉の感じがして結構美味しい。
TVで板東英二さんが、子供の頃からよく食べて育ったと言っていたのを思い出した。

 

ビックひな祭り

勝浦町に入ると、ビックひな祭りという地域おこしのお祭りをやっていた、通り沿いの商店の店先に赤い暖簾、絨毯、そして様々なおひな様達が飾られ、とても美しく優雅な雰囲気。
ただ道が狭いため危なくておちおちしていられないのが残念だが、素晴らしい町おこしの活動だと感じた。

おひな様各店の店先に飾られている

町の中心部の広場に大きな桜の老木が早くも花をつけている。
その前に店があるお菓子屋さんのご主人が「お接待しますから、どうぞ中へ」と誘って下さる。
直前に河原で休み、みかんや竹輪を食べたばかり。お話だけ伺う事にした。

川津桜ならぬ夢桜夢桜

このご主人、なかなかのユーモアの持ち主。
桜の老木をカミさんが「川津桜ですか?」と聞くと「これは、夢桜ですよ!」
笑い付きの楽しいお接待、有り難うございました。

 

不満顔

夢桜の商店街から約1時間歩くと、20番鶴林寺への遍路道入り口。
ここにお遍路さんから良く利用されている大きく立派な民宿がある。
通りかかると、既に顔なじみになっているお遍路さんや、見た事のある顔のお遍路さんが何人も外に座っている。
挨拶すると、皆さん午後3時までは中に入れてくれないので仕方なく外に居るのだと不満そう。
朝ご一緒した横浜の方は、ぶらぶらしていても惨めだから星の岩屋まで行きますと話しておられた。

私達が今日の宿として予約している「ふれあいの里 坂本」はどうなのだろう、心配になって来た。

 

大歓待

私達は16号線をさらに進み、勝浦川の横瀬橋から宿に電話を入れる。
橋の所にあるJAで待つよう言われ、しばらく待っていると軽ワゴンでおばちゃんが迎えに来てくれた。

勝浦川から横瀬橋から鶴林寺の山を見る

純朴そのもののおばちゃんの危なっかしい運転に時々目をつぶりながら、この山里の話を色々聞きながら宿へ向かった。(徳島の人、特に女性の運転はすごく怖いと感じた)

 

「ふれあいの里 坂本」は廃校になった小学校を改築して体験型宿泊所兼、集会所などに使ってる施設で、明るく清潔、静かで大変良い所。
従業員の皆さんは皆地元の方で明るく、真っすぐ、計算高さなど何も無い良い人達だ。
施設も快適、お風呂も大きく気持ちよい、10畳以上ある元職員室を改装した部屋に泊めて頂いた。

塀の上にもおひな様森本さんの家

お風呂に入りゆっくりしていると、宿の人がこの集落でもそれぞれの家におひな様を飾っているので見て来てはと誘ってくれる。
その中でも、この付近の旧家である森本さんのお家に案内され奥様から直接色々説明して頂いた。

古いひな人形絢爛たるおひな様

森本さんのお屋敷は160年以上前のもので歴史を感じさせながらも贅を尽くしていてとても立派。
そのお屋敷のあちこちにセンス良くおひな様が置かれ、中庭ではおひな様達が楽しそうに遊んでいる。

庭に遊ぶおひな様達中庭のおひな様

奥様に言わせると、ひな人形達に自由に遊んでもらっているのだそうだ。

千葉の旧家生まれのカミさんと奥様は馬も波長も合うようで、楽しそうなおしゃべりは尽きず1時間もお邪魔をしてしまった。
本当に楽しい時間を過ごさせて頂き、結構なものを拝見させて頂いて有り難うございました。

家々の軒先家々の軒先にもおひな様が

宿の夕食は、田舎の母さんの手作り料理と言った感じの料理が沢山並び、美味しく心暖まる食事であった。

そして夕食後、またまた嬉しいお接待が。
送迎してくれたおばちゃんがカミさんのためにわざわざ自宅からキンカンを摘んで来てくれた。
車の中でカミさんが、キンカンが大好きで喘息の予防にもなるのに売っている所が無いと言ったのを覚えていてくれたのだ。

本当に純朴で親切、心優しい人達。

私達が自信を持ってお勧めする遍路宿の一つである。

 

 

足首が痛いのが気になっていたが無事に宿に着けて一安心。
切り立った山間に段々に石段が築かれ、山の上まで家が建っている。
みかんや梅の木が良く手入れされていて山里に住む人の心意気が伝わってくる。
宿の方の紹介で旧家のおひな様を見せて頂く。
奥様が丁寧に説明して下さり庭や離れに自由に遊ぶおひな様を初めて観て驚く。
「おひな様も、時には自由に遊びたいでしょう!」の言葉が心に残った。

喘息なので甘く煮たキンカンが好きだと話したら、「木はあっても忙しくて収穫する間が無いの」と言っていたのに、夜にわざわざ届けて下さった。
どうして皆こんなに優しいのだろうか。
心優しい人達に力を頂いて、明日から又頑張ろう。

夢桜 夫婦で愛でる ひなの里

 

 

 

 

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